たぶん最強の戦術だよな……
第14話 二撃目
「ちょっと気になってたんだけど……どうして創造主様はキミを作ったんだい?」
「人類の宝を守るためだ」
「ふーん……じゃあ宝の番人ってのは間違ってないわけだ」
本当はもっと違う目的のために作られたのかと思ったが、どうやらそんなこともないらしい。
ララはさらに質問を続ける。
「創造主様ってのは魔王側の人間だったの?」
「違う」
「じゃあ人間側?」
「それも違う」
「一匹狼か……ボクと同じだな」謎の親近感を得た。「それにしてもさぁ……とんでもない技術力だよね。500年前に作られた機械とは思えない性能をしてる」
500年間無敗。そして現代の手練れたちを一撃で倒してしまう攻撃力、防御力。どれを取っても500年前の技術力とは思えない。現代の技術力をすべて集結させて、ようやく届くような存在に見えた。
ララはアテナに近づいて、
「ねぇ、中身を見せてよ。ちゃんと元に戻すからさぁ」
「断る。私を分解して良いのは創造主だけだ」
「……なんか前もこんな会話したね……」どうしてもアテナの中身が見たいララだった。「キミを分解したいなら、無理やりぶっ壊すしかないってことか……」
「そういうことだ」
壊されない自信があるがゆえの言葉だった。
「じゃあ、挑戦してみよう」ララは作っていた大砲の場所に戻って、「これ、ぶっ放すよ。粉々になっても文句は言わないことだ」
「こちらからも忠告だ」
「反撃するってんでしょ? 大丈夫大丈夫。盾のほうも強化したから」攻撃力、防御力ともに大幅にパワーアップしたはずだ。「じゃあ、行くよー」
軽い掛け声とともに、ララは大砲を発射した。
これまでになほど激しい破壊音が鳴り響いた。洞窟全体が崩れてしまうのではないかという程の超威力だった。爆炎と爆風が地面を破壊しながら広がっていった。
「作戦その2。攻撃力を最大まで高めて一撃で破壊してみる」
速度と携帯性は落ちたが威力は極限まで高めた。これで勝てないのなら、しばらく勝利は遠いだろう。
しかし、
「ダメか」
爆炎から飛び出してくるアテナを見て、ララはつぶやいた。
アテナの体は、やはり無傷だった。この攻撃でダメージゼロならお手上げである。
とはいえまだ戦いは続いている。ララは今度は盾を構えて、アテナの攻撃を受けた。
「ぐへ……!」
相変わらずマヌケな悲鳴を上げて、ララは壁に叩きつけられた。
盾は一撃で粉々になっていた。全身の骨がきしむほどの衝撃を受けたのも変わらなかった。
だが、唯一前回と違うことがあった。
「お……」ララは壁際でフラフラとさまよいながら、「意識……意識、保ったよ……!」
ほとんど虫の息だが、たしかにララの意識は存在した。今までアテナと対戦した生物は、全員が一撃でやられていた。
しかしララはなんとか意識を保った。頭から血を流して今にも倒れそうだが、たしかな前進だった。
「どうだ見たか――」勝ち誇ろうとした瞬間、顔面にハンマーが直撃した。「あ……二撃目があんのね……」
今度は盾もなく、アテナのハンマーが顔面に当たった。
当然耐えられるわけもなく、ララはあっけなく意識を手放した。
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