地球は青かった…が、宇宙の場合はアホだった。
解放⋯⋯とは、名ばかりの侵略戦争。
いや、戦争ですらなかった。
ウルトキングの星は地球からは遠く、周りは文明の発展度が大分低い。
文明と言うか、星に付着した真っ黒い何も無い宇宙をただ見ているだけの目や、二足歩行であっても星の突起を色んな角度から触るだけの石人間等、およそ闘争どころか文明とは程遠い宇宙人しかいなかった。
それを虐殺…と言うか消しているだけ。
そして誰も居なくなった星に旗の様なものを立てて放置。
その行為を解放と呼んで繰り返す馬鹿ことウルトキング。
ただ、噂だけは広まっていた。
地球に近い宇宙人達が徐々に気付いていた。
――あの辺境にいた変なのがおかしくなった――
――地球で学んだ戦争をしているつもりらしい――
暇だからじゃじゃ馬の様に集まり話し合う宇宙人達。
同じく最近、地球人のふりをして大学まで卒業し、一度は就職までしていたエーイチ(仮)がウルトキングとコンタクトをとった。
『ゼェアアア!?』
「ウルトキングさん、お時間よろしいですか?貴方のこれ、何がしたいんですか?後、普通に話して頂いてよろしいですか?』
『ゼア゙?……はい、何がしたいと仰られても、今の地球で言うところのハーレムですね、それで宇宙を解放しようかと思っていますが』
「宇宙、解放と言うか、我々は何にも縛られてませんが?解放されてますが?ハーレムで解放?どうやって?」
『解放って言うと、何かいいじゃないですか』
「そうですか?ちなみに何処に向かっているんですか?」
『地球です、昔住んでいたので』
「え?本気で?【あ】に会いませんでした?銀河系で理由のわからない、不快な事をしている超概念的な凄いの」
『いや、私の時にそんなのはいませんでしたよ』
「そうですか、寝てたんですかね…すれ違いですかね。まぁ別に良いんですが、そのまま進むと我々【地球愛好会】とぶつかりますが?」
『え?えぇ、解放しますよ』
「そうですか、では宣戦布告と言う事で」
『ゼェアアアッ!!!』
「よし、◯す」
エーイチも所属している【銀河系・地球愛好会】
絶対に嫌な絡み方をしてくる【あ】を見なくなってから、周りの星の宇宙人はお忍びで沢山地球に来ている。
その彼らは、愛すべき地球人の文化を楽しむ為に地球の周りに住み、個から群れとなり、いつの間にか群れが地球に習い、会となった。
そして地球愛好会の同志達は思う。
ウルトキングと言う馬鹿(色んな意味で)に地球人を滅ぼされたら堪らんと。
滅ぼすのは無理だとしても、せっかく『み』が『あ』を封印?しているのに、何かのきっかけで『あ』が動き始めたら目も当てられない。
しかし、彼等にも戦争などした事は無い。
消えない身体に精神、無駄に広い宇宙に対しての少ない個体数、故に争う理由は無い、そして死ぬ…いや、消える事すら問題としていない。
その彼らが思いついた。
――もしかしたら色々楽しい事、出来るんじゃないか?――
盛大なごっこ遊びの始まりである。
そして起こる、地球人から見れば阿鼻叫喚な地獄絵図。
色々と良くない要因はあったが、地球人にとってみれば、ウルトメスが人型で人体をしっかり作り込んでいたのが良くなかった。
初戦はパワータイプの宇宙人の、パワーの限りを尽くす攻撃にウルトメスの身体が縦横無尽に歪み、引き裂かれる。
基本は打撃と言う概念が無いため圧殺が多かった。つまり完全なグロ。
その途中、何体かのウルトメスが爆発した。
すると今度は爆発を浴びた元々グロテクスな宇宙人の汚らしい残骸が残る。
宇宙空間では肉片が飛び散り、何百と言うウルトメスと宇宙人の残骸が浮かぶ。
エーイチ曰く、ホラーとかリョナものが好きな友人に見せてやりたいぐらいの映像…であった。
ウルトメスが半分ぐらいに減った所で、残ったある想いを持つ地球愛好会のメンバーに異変が起きる。
――まだ地球を楽しみたいから死にたくねぇな――
死にたく無い、そんな純粋な想いから本気を出し始めた面々。
他の宇宙人を騙しウルトメスとぶつける案を出す者や、檻に閉じ込め間接的に破壊する者、アクメビームと言うウルトキングが地球に合わせた生体を利用した兵器の様なものを作り、無効化…一方的な虐殺をする作戦を行い始めた。
ウルトキングは戦争を良く知らない。
ましてやルール無用の戦争を体験したことが無い。
あっという間にウルトメスは残り僅かとなった。
アクメビームにより爆破すらしなくなったウルトメスはただの人形と同じ、ひたすら玩具にされるウルトメス。
映像的には、正直爆発してた方がまだマシだった。
今度はエロ同人でもあり得ない様な酒池肉林風のグロテクス地獄絵図が出来上がる。
しようがない、知識が無いんだから。
ちなみにこの地獄絵図を見た元人間、相武由香こと、IVYは速攻で吐く程のトラウマになり、宇宙人を見ると助けを懇願する事しか出来なくなった。
まぁまぁ、それはともかく…地獄絵図のその時、ウルトキングはどう思ったか?
『ゼアアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッッ!?!?』
(T卓と同じですね、彼はどんな気持ちだったのでしょうか?)
地球で観察をしていたT卓に自分を重ねるウルトキング、しかし、特にそこまで感情は動いていなかった。
当たり前だ。
寝取られた事もない、そもそも感覚も無く、感情も未発達で自分の分身を滅茶苦茶にされただけなのに、何のショックを受けるのか?
ただ、T卓の死んだ時の爽やかな笑顔を思い出し、模倣した。
股間の棒を大きくさせ、蝋燭の刺さるポコ◯ンを再現した……所で力尽きた。
ウルトキングは核や力を分配する際の配分を大きく間違えており、最後に謎のT卓の最後を真似する事に全てのエネルギーを使い果たし、活動を停止した。
まるで始めてエロい事を致す時に、ズボンの圧迫感だけで絶頂し、始まった直後に賢者モードになってしまった青少年の様だった。
仕方無い、色々始めてだったんだから。童貞だし。
そんなどうしょうもないオチで戦争は終わった。
宇宙人達は『性癖でも変えようとしてたんじゃない?』みたいな軽口を叩いていたが、彼の真意を分かる訳ない。
何故ならファンタジーの中で生きているのだから。
放置されたウルトキングだが、少し経つとまだ戦争が終わってないと勘違いしているゴリラの様な宇宙人が、ウルトキングをバットの様な石でぶっ叩いた。
『ビックリバー・ショウヘイ!ミタカ!オレハ ゴリラ・マツイ!』
言葉の意味が分かってないゴリラ型の宇宙人だったが、ウルトキングの肉体は石バットフルスイングで爆散した。
その時、超硬度のウルトキングの核は壊れず、ホームランボールの様な勢いで地球に飛び、日本の関東近辺の山に刺さった。
この日本で、ウルトキングは奇跡を起こした。
爆散していたウルトメス、壊れなかったいくつかの核、謂わばウルトキングの分裂していた核を複数人の地球人のメスが拾い、核に生命力を捧げた。
――力が欲しい――
――強くなりたい――
――もっと、もっと、もっと――
願い、力を込めればその地球人はウルトメスとなり、宇宙規模であれば僅かな力でも地球人にとっては過ぎた力が手に入る……が、それは同時にウルトキングに生命力を捧げるのと同じであった。
そして蘇るウルトキング……
「ゼアアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッッ!?」
(気付けば地球にいますね、どうしましょうか?)
その後、ウルトキングは地球人の捧げられた生命力により人間に擬態した。
姿、言葉、振る舞い、ウルトメスの核を拾った地球人からデータを集め、地球人となった。
そこでまず、ウルトキングのとった行動は……ハーレムと寝取られについて知ろうと思った。
やはり馬鹿である。
地球の繁華街をウロウロしていると、全盛期の自分を超える、明らかに異質な存在力を持つ化物に遭遇する。
(コレが奴らの言っていた『あ』なのでしょうか?)
狭い廊下に薄い本が立ち並ぶ書店、そこには対魔忍ア◯ギそっくりの土方の格好をした女が薄い本を立ち読みをしていた。
その薄い本には『NTR(寝盗られ)変身ヒロインの鬼才!最新作!!』と書かれた本を読んでいた。
バレない様に後ろから立ち読みしている内容を見る。
(この化物はT卓と同じ…これだけの化物、教えを乞う価値がありますね)
女は後ろから見られている事に勘づいたのか、何か凄いプレッシャーをウルトキングにかけた、汗をダラダラ垂らしながら。
しかしウルトキングは何を思ったか、同人誌コーナーで立ち読みをしている女に声をかけた。
「すいません、ちょっと教えて欲しいのですが…」
『うお!?な、なんすか?』
女も突然、エロ同人誌コーナーで声をかけらるとは思ってなかった様だ。軽くパニックなっていた。
「あ、敵意とかはないです!ただちょっと教えて貰いたくて、出来ればで良いので!……そ、それの事で」
同人誌を指さすウルトキング。
教えを乞う時に大事なのは礼儀である、T卓は粗暴ながらその様な事も教えていた。
『あ、ああ…エ■同人?好きなんですか?』
この同人誌コーナーにお忍びでいた女こそ、銀河系を統べる?『あ』が間違えて自身の能力を譲渡して自分を超える者を生み出した成れの果て。
数少ない『あ』を制する事の出来る『あ』の娘、既に既婚して4人の子供がいる主婦なのに隠れてエ■書店に通い、実際はスマホのGPSで全部行動か筒抜けの根多龍虎、通称タツである。
「好きかどうかは分かりませんが、気になってしまいまして…何か教えて頂けると……」
明らかに怪しいウルトキング、だがタツは幼少期から道場の師範代をしており、知らない人や普通の親の子供等が素直に教えを乞うと、実はちゃんと対応する。
素直に教えを乞わないと、もしくは抵抗したりおかしな人間には媚薬を浣腸したり全力で逃げ出したりするが実はそれなりにちゃんと出来る。
どちらかと言えば『あ』であり、母親のセツコという名の怪物の方が道場内では問題になっていた。
『えーっと…そうですね。コレなんか、今年のコ三ケで売ってたりして、変身ヒロインものですけど…後、これは珍しく小説が原作で…』
「分かりました、これとこれを読めば良いのですね?ありがとうございます!この恩は忘れません」
こうしてNTR同人誌を買う事が出来た……訳ではなくレジで躓いた。
『1380円になります』
「ゼアアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!?」
『え?なんですか!?』
金の概念が分からないウルトキング…そこにまた、手を差し伸べた。
「ちょ…大丈夫ですか?金無いんですか?じゃあ良いですよ、オレが……」
そうして自分の買うエ■本とクレジットカードを出したタツ。
カードには【HIROYUKI NETA】と書いてあった。
旦那のカードである。
彼女は困ってる人に奢ったという事で旦那のカードで買い物をする罪悪感を誤魔化そうとしていた、最悪である。
『じゃあ、楽しんでください。後、お店でいきなり話しかけない方が良いですよ』
「分かりました、本当にありがとうございます」
この邂逅と教えが後に相武由香やソラ、真田寧々子、ひいては日本最大の裏組織、不知火を巻き込む騒動を起こす事になる。
※次回からちゃんとするんです、と言うか全体的にちゃんと書いてコメント返ししたい!
地球にはNTRと言う文化がある事を、私は知った クマとシオマネキ @akpkumasun
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