果たして彼女は心まで寝取られていたのだろうか?【合計PV1000突破!】
※諸事情によりユカでお届けします。何か見た事ある?幻覚です。
何だかよくわからないモノと戦い続けた。
良く分からない理由で我慢して、良く分からない理由で気持ち良くなっていた。
思い返せば私は、正義のヒーローへの憧れだけで生きてきたと思う。
憧れだけ、それは私自身には何も無い証明だと思った。
なりたかったモノになれて、皆に認められて、物語の主人公の様になって、憧れのヒーローと自分が繋がって、私はその色んな種類の快楽の虜になっていた。
だって、知らなかったから。
知らなかったんじゃない、知ろうとしなかった。
外から、自分から、聞こうと、見ようとしなかった。
人間の、ヒーローであること以外の、大切な事。
多分、両親も兄姉も、友達も私に言っていた。
そして、後…後…は……何かが霞んで見えない。
私は私の意思で都合の悪い事に全部蓋をした。
不知火防戦に入る前、高校卒業前まではまだ子供だった。
入学式の時、成績優秀な生徒は不知火本体の現役で日本を守っている人達と面会があった。
何度か失敗をしているが、将来有望な生徒だと。
皆さん、頑張れって言ってくれた。
そして私の憧れ、昔から仲の良い人に教えたら『?』ってなってたけど…知る人ぞ知るヒーロー……って言うと本人に怒られそうだけど。
ナインテイルズと言う特殊部隊のリーダー、コードネームは【怨嗟猫】のネネコ総長。
本当のヒーロー、陰ながら誰にも評価されず悪を断つ。
あの白い怪物を手玉に取り続ける戦略の天才と言われる人。
裏切った異能部隊【敬死天】と言う部隊の伝説と言われる存在、
私も恐怖したクリスマスの日、白い怪物達を束ねる堕天使と呼ばれる者達との死闘。
私はあの日、この人に助けられた事を後から知り、いつかお礼を言いたいと思っていた。
防戦の資料庫に入れる様になった時に詳しく知り、会える日が楽しみになった…筈だった……
「失礼します!相武由佳と申します!この度はナインテイル…」
足を組んで不機嫌そうに私のプロフィールを見ているネネコ総長。
『相武由佳、ね……アンタ何がしたいの?』
「え?」
『いや、誰かを守りたいんだったら普通に生活して守りなよ。身体でも鍛えたり、自分の力の研究に使うとかさ、何かあった時に周りの人間を守れる様にしときなよ』
「あ、いえ!防専で人を守れる技術を……」
『肉体強化だっけ?外界、宇宙から来た力を使って……ねぇ。何の努力も無しに与えられた力、そんなもん危険極まりない。何かあった時って、自分の力で周りを傷つけない様にする努力しろって意味なんだけど』
「え?私が?」
『そうだよ。ヒーロー気取りでコントロール出来ない力を振りかざし、未熟な心で判断出来ない奴が力の恩恵で指揮する立場に入り、同じメンタルの力の無い奴を犠牲にして悲劇に酔う……馬鹿みてぇだよな』
「いえ、そんな……」
『ずっと、ずーっと、思ってたよ。私はね、防専とやらの立ち上げに反対だった。お前みたいな奴が戦場に…違うな、実際にこちらの世界に来ると一番の不安要素なんだ…何も知らない……すぐ負ける、すぐ折れる…でなければ騙される、利用される。それとも、ヒーローになって目立つ以外に防専の力を得て守りたい奴とか、理由は、揺るぎ無いモノはあるのかな?』
「それは……」
『まぁ頑張りなよ。私の仕事は粛清…味方の敵で、敵は志を同じとする味方だったりする。こちら側にいる限り、次会う時は操られたり裏切ったりした時だから。会わない事を祈ってるよ』
私はこの時……何も答えられなかった。
強くなれる石が身体にめり込んでから、ずっと忘れてたから…大切な事を…存在を…
負けて、滅茶苦茶にされて、瓜生先輩に慰められて、それでも成績は良いから、次期瓜生先輩のバディ候補となり、地球を守るヒーローを気取り、失敗して仲間達が離れても私が強くならないと思い込み、失敗と過ちを繰り返して………
そして今……
――魔法少女やめんかいっ!意味ないんじゃい!――
パァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!
「ギャアア゙ア゙ア゙ッ!?ヤベデェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙!!!」
兜を被ったお化けみたいな人?に何か言われてはお尻を叩かれる。
その都度、胸の石が身体から抜けていく。
変身すると出てくる顔のマスクも粉々にされている。
何も目隠しで見えなくなっていた心の視界が、突然剥がされた様な感覚……
マスクを失い、石が離れていく度に気付く……頭から無くなっていた普通の感覚。
恐怖とか、諦めとか、不安、後悔…普通の感情。
――変身ヒロイン辞めないのは怪物チ〇★ン好きだからぁッ!?嫌だったら辞めろ貴様ァッ!!――
「ヤベバズッ!ビーローヤベバズガラッ!!」
兜の化物にひたすら謝り、許しを乞う。
忘れていた事を思い出す、人としての記憶?
今までの事を思い出し、心が恐怖で震えた。
白い怪物に拐われた時、何で変身を解けなければ大丈夫だと思った?
隔絶した力の差があるにも関わらず、変身して…ヤラレに行ってるだけの私だった…何で?
全てを思い出した…ちやほやされ浮かれ、大事な人を蔑ろにして、快楽に溺れ、ヒーローとしての資格がない自分を知った時……私の心が折れた。
そして、大切な人を思い出す。
――この女はとりあえず、段ボールに詰めて防専に投げ込もう――
――え?本当に段ボール何ですね、大丈夫なんですか?――
また……防専に戻る?……もう無理だ……イヤ……それにソラ…私、何でソラの事忘れてた?
違う、会ってた!会ってたのに……防専に入ってから…何であんな態度を取っていた!?
イクコさんの時も、あんな態度でいたら私に連絡なんかする筈ない!
ずっと側にいてくれたソラ、私が守らなきゃって思う前……
平和な世界で、ヒーローに守られている世界で、いや、ヒーローなんか要らない世界で、いつか二人でと思っていた、ただ静かに楽しく暮らしている私とソラの姿を……想像して……願って……
何で忘れてたんだ?何で?何で?なんで?
とにかく…そ、ソラに、謝らなきゃ…ソラに…
私は段ボールに入れられで防専に投げ込まれ、心神喪失状態と診断され、誰にも会ってなかった。
瓜生さんから、仲間達からも連絡が来たが見なかった。聞かなかった。
違う、本当は心を取り戻したけど、取り戻す前の今までに起きていた事が恐ろしくて気持ち悪くて…そう、思い出すのは怪物の暴力と仲間の裏切りと私の裏切り、ただ大義があるかの様に馬鹿げた行動を、おおよそ人とかけ離れた行動や行為していた私を思い出し……心が壊れかけた。
そんな中の、救いの様にメールが来た。
ソラからのメール、今晩、近所の公園で会いたいと一言だけ。
「許してもらえなくても、謝らなきゃ……」
私は防専の制服では無く私服に着替えて、胸に埋まっていた…この間の兜を被った化物にお尻を何回も叩かれた時に身体から外れた不思議な石を病室に置いて、脱走するように公園に向かった。
なんで…私はソラが助けてくれると思ったんだろう?
ずっと応援してくれていたから、一緒にいてくれたから?だったら私は性根が腐っている……
「えっと…あの…その…あのね………」
『良いよ、ユカ。全部知ってるんだ…だから…もう無理だ、別れよう。その先輩とやらと上手くやってね。ごめんね、貴重な時間、割いちゃって……バイバイ』
全部…これまでを全部…全部…
それから先の事に、中身なんて無い。
厳しい現実。私はヒーローと浮かれ、間違えて、大切なものを見失い、最後に失っただけ。
先の見えない、真っ暗な世界。
そして、様々な恐怖と大切な人に見せられない筈の痴態がフラッシュバックして私は吐いた。
吐きながら泣いた。
吐いてる私にソラが一瞬、手を置こうとしたけど……その手は仕舞われて、立ち去っていく。
『さようなら、ユカ。無理しないでね』
最後まで優しいんだなぁ、ソラは……
涙で滲む世界、去っていくソラの背中を見ながら、何を言って良いか分からなくなっていると……遠く、公園の入り口にソラを迎えているような複数の人影。
見た事ある、それも防専の部外不出のファイルにあった姿。だから気付いた。
不知火防専の母体、不知火の永遠の敵と言われる透き通った様な光の羽を持つ天使の姿。
陽光の様な温かい笑顔で笑う少女、堕天使・ミカエル
天使の荘厳と猛禽類の獰猛さを持つシスター、熾天使・ガブリエル
後の二人の女性…一人は知らない人。
でも、もう一人は…怨嗟の中に生きる者…ネネコ総長だった。
――私の仕事は粛清…味方の敵で、敵は味方――
何となく、何となくだけど…私は自分の状況に気付いていた。
そして、何故なのかは全く分からないけど、ソラはきっと遠くに行ってしまったんだろう。
ネネコさんが言っていたから。
敵味方で分ければ、仲間にも敵はいる。
正義なんて分かりやすいものはない。
敵もまた味方であると。
であれば、大事な者を、見定めろと。
私に正義を教えてくれた人達。
絶対に勝てない相手に学生を何度も挑ませるのが正義なのか?
戦いの場に身を置かせ、感覚を麻痺させ都合良く使うのが正義の味方なのか?
先日の変な触手の球体に入れられ頭が蕩けるような快楽の後、何度も尻を叩かれ、叩かれる度に意識が覚醒……靄が晴れていく様な気がした。
この一年の事を考える、多分……私は…
私は多分、私の正義の敵……悪の側にいる。
もう、遅いかも知れない……それでも。
昔、私の事をヒーローって言ってくれた人の為に…吐瀉物に塗れた身体を拭い、私は立ち上がった。
自分の過ちを、正義を取り戻す為に。
―――――――――――――――――――――――
『結局連絡は来たんかよ?したんかよ?』
「来てませんよ、してませんよ、とりあえず考える時間を下さいよ」
社長があの日からどうなったと、しつこく聞いてくる。
仕事…資材を運びながら考える。
僕はこんな事になっても、まだユカが好きだ。
造形は変えられるとはいえ、パッとしない僕をユカはいつも見てくれた。
例え途中から好意が変わったとしても。
僕が考え事をしていると社長の周りが騒がしい。
現場監督のサトルさんとアルバイトの一人、サラさんと社長か何か騒いでる。
『はい!?何でア〇ルト女優に私がなるんですか!?』
『社会復帰の第一歩だと思うが?』
『そんな訳ないじゃないですか!!』
『お前、動画監督がこれから悲劇のNTR公園シーンをやるんだぞ?その心意気に殉じてやろうと言う気持ちにならんのか……』
『へぇ、ソラ君、これから公園でNTRで咽び泣くのか、大変だな!』
『そうだよ。お前の狂った女の浮気と違う、本物だ。そんなに嫌がるならまず、お前ら勉強の為にソラのNTRふられシーンを観てから考えろよ。』
『そ、それ、失礼じゃないですか?』
『うるせぇ元裏切り女、それにお前ら人でなしの鳥野郎共もNTR見てこい』
僕のNTRふられシーンとは?
その数日後、まさか変な異世界の生物二人とアルバイトのサラさんと何故か寧々子さんに見られながらフラれるとは思わなかった。
※私、元気に生きておりますが色々と…コメ返しは、ゆっくりと。
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