地球人は良く正義の話をするらしい

【イギィイイ!?♥♥あへ?なにいれたの!?いやぁ!なにィ!?】


 僕の開発した感覚共有の芽…視界と聴覚と単純な思考を遠隔で読み取る事が出来る自信作。

 だけど異物が入ると溶けて消える。

 だから…


「貴様、とにかく性行為は慎め、分かったか、猿め、慎め」


【はィ゙いいいいっ!づ、ずびばぜん…】


 口調を変えようと思ったら誤解されたインディアンみたいな口調に…僕はユカの気持ちも知りたいが、とりあえず地球人はウルトメスの事を知らな過ぎる。

 特に自爆などには十分、注意して貰いたい。


 僕は義体の胸の部分に、以前のウルトの起こした星間戦争の映像を見せる。

 今裏庭にいる義体は大きめの人間みたいな形だから安心だろう。

 僕も工事現場で長く…と言っても一年ちょっと働いている、社会経験はあるからね。


 研修みたいに映像を流す…懐かしいな…ゴリラみたいな奴がウルトメスの五体を引き千切り、最後に首を引っこ抜こうとしたら爆破…痛ぇみたいな顔して去っていくゴリラ。

 ウルトメスの身体を穴だらけにして無理矢理プレイしようとするうまがたの宇宙人、入れた瞬間爆破して股間を無くし呆然とする姿。

 僕は作った遠隔触手ボールに閉じ込めて遥か彼方に飛ばし、離れた後に穴という穴に触手を突っ込んで遠くで爆破したりとか。

 他にも誰かが適当に撃ったアクメビームを食らった瞬間にビビって爆破。

 それ他にも酒池肉林…なかなかの映像だ。


 爆破は良くない、阿鼻叫喚とはこの事を…


【オ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙】


 ユカが吐いた…注意喚起に失敗したらしい。

 そうか…何かが危険と言うのを知らせるのに過剰な映像を使わないのはこの為か…自分の分身みたいな姿の奴の虐殺シーンだからなぁ…流石、地球人は同族の虐殺シーンは隠すもんなぁ。上手い、感心する。


 話を変えよう、ソフトな…だけど核心をついた質問だ。


「貴様は、エッチしたことあるのか?」


【おぇ…ハァハァハァ…え?エッチですか?セ◯クスの事?】


 オブラートに包んだらダイレクトに言われた。

 心が軋んだ…これがキングの体験した領域の一部か…


「エッチッ!!」【はい!あ!あります!エッチあります!】


 そうか…ちょっとムキになってしまった。


「貴様のそれはウルトと言う奴のメスの能力だ。処女でないと弱体化するし、エロくなる。だからウルトメスの中でも弱い方だ。それと胸のコアで変身するんだろうが、それ、弱点だから気を付けて。普通、コアは剥き出しにしない」


【え?そんな…性行為をすると強くなるって…それにコア?】


 誰だ、そんなエロ小説みたいな嘘を教えたのは…

 あぁ…でも知らないんだもんな…しょうがない。


「それウソだ、まぁ良い。自己紹介しろ。しなかったからコレで撃つ」


 僕は指先に虹色のエネルギーを集めてユカに見せる。アクメビームの色だ。さっきまで映像で出ていた。

 気付いて頂けただろうか?


【ヒィッ!?それ!?分かりました!自己紹介!しますっ!】


 かなりビビっているが大丈夫、死にはしないので。

 そして始まる自己紹介…一通り聞いたけど…僕…出てこないな…なんでやねんとかは言わないよ。悔しいけども。


 変身出来るようになった経緯や、防専の存在、この場所はまだ知られてない事、絶対この場所は言わない事等、何かここに来た言い訳ばかりだな、誰とエッチしたか聞きたいのに。

 要は自己紹介と言う名の命乞いだ。


 そういうのじゃなくて、何故エッチな事をしたのかと…と思ったが、考えてみれば彼女の前にいるのは僕、大地宇宙じゃない。

 彼女からすれば良くわからない化け物だ。


【で、ですから…あの…逆らいません!この場所も言いません!先程の快楽拷問はお止め下さい…いえ、命だけは…】


「貴様、自分の命乞いばっかりだな。逃げられると思うなよ?」


【あ!いえ!?貴方様に会うまでは地球を守る気でした!でも!もうあんなの耐えられません!…だからェ゙!?…ア゙…】


 キュイィン…という音と共に顔が外骨格みたいなのに覆われた。

 アレだな、自然回復したんだな。

 サイズや強さがヘボ過ぎてすぐ変身まで回復しちゃうんだな。爆発の心配はなくなったけど…


 結局、何もわからない、正直、意味わからない。

 とりあえず、明日社長に聞いてみよう。


「とりあえず記憶を消す、追って沙汰を下す。一応念の為、誰にも言うなよ?」


【ィ゙ア゙ア゙ア゙!?ェアっ!ゥ゙アアア!】


 こちらは口調が時代劇みたいになったけど、ユカも顔のマスクが着くと何言ってるか全然分からないので、とりあえず胸のコアにアクメビームを撃っといた。


【ィ゙ア゙ッ!?ィ゙ア゙ア゙!!…ッア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙♥ッア゙♥ッア゙♥ア゙ッア゙♥ア゙……………】


 ビームを当てると両手を広げ痙攣し胸やら何やらから金色の液体を噴射し、ドサ…と崩れ落ちるウルトメスのユカ。

 直後に光りに包まれ防専と書いてあるごちゃごちゃしたブーツとグローブはそのままに、身体はすごく際どい服を着たユカが出てきた。


 あ、模様とおんなじビキニみたいな?


 これからめんどくさいから、この生き物はウルト・ユカにしよう。


 とりあえず社長の家の前の道路に置いとおく。

 これで明日までに記憶消しといてくれるだろう。


 ちょっと色々調べないと…………



―――――――――――――――――――――――


 次の日の早朝、僕はあまり眠いと言う感覚は殆ど寝ないので良く分からないが、この日は少し分かった。


 それでも明日は来るとは地球の言葉だ。


 ブオオオ!ガタタンッ!ガタタ!ブオオオン!


 ガガガガガァァァァァァァドオオオオン!!!


 社長の軽トラが僕の家の横の木にぶつかった。

 いつもの事だ。


  

 

  

 

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