異世界への鍵を持つ者達13.5(アグリ到着)
どうやら地図に記されていた場所へ到着できたようだ。
気持ちが良いほどの青空の下、私は全身に受ける風を感じながら地上を確認する。
思っていたより大きな町だ。なにやら馬車か何かに人が乗り込み、町の外へと脱出していくのが見えるが――。
町の正面の森からは巨大な魔獣が2匹、押し寄せてきているようだ。
あれでは全員の脱出は間に合わないだろう。
「あの魔獣の真上まで移動したら、お前は帰りなさい」
「ヒヒンッ」
訓練生時代の鎧を引っ張り出し、剣も普段は家に飾っている父から譲り受けた無名の一振りだ。
私は全身に魔力を巡らせるイメージと共に、呪文を唱える。
「我が魔力よ、肉体に留め、それに連なるものへ力を与えよ――
全身と鎧、そして剣へと白く光る魔力が伝わっていく。
「いきます!」
ペガサスから飛び降りた私は、全身に
「セイクリッド、ストラァァァイクッッ!!」
声に呼応して魔力がさらに光り輝く――魔力と生命エネルギーが合わさり放たれるそれは“戦技”と呼ばれる。
私の扱う技は、その中でも“聖戦技”と呼ばれるモノだ。
魔法と同じように呪文が必要だが、この呪文は叫ぶだけでいいので分かりやすい。
そして自身が光弾のようになった私は――赤い甲羅の魔獣の身体を、ぶち抜いたのだった。
「エビリャアアアア!?」
魔獣の断末魔が耳元にまでよく響いてくる。
上手く地上へと降り立った私は、向こうがこちらを認識する前に――すかさず隣の黒い蛇へと向き直り、次の攻撃へと移る。
魔獣との戦闘の基本は、先手必勝。
「――貫け。ホーリースラスト」
剣から放たれた突きは、まるで巨大な槍のような光り輝く姿形となり、その黒い身体と首を切断したのだった。
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