第18話

大将のDOGEZA(前準備)


 2月の中旬頃。

 

 ついに国王が開催を宣言した料理祭り、正式に『リオランガフェス』と名前が付き、開催まであと1か月だというのに街中は賑わいを見せていた。

 俺もとして参加できるのを心より楽しみにしていたのだが――。


「頼むッ! オダナカの旦那、力を貸してくれッ!」


 床に座りながら頭を床に付ける――いわゆる土下座。

 石畳をツノでゴリゴリ削りながら、オーガの大将が、土下座を全力で行っていた。


 ラーメンを食べていたら、閉店後に相談があると持ち掛けられた。

 お互いにお得意様でもあるし、大将がこうして相談してくるのも珍しいので二つ返事で承諾した。

 

 そして、これである。

 

「た、大将……いきなりなんですか」

 

 さすがの事態に、俺自身も驚いている。

 大将は顔を上げる。かつてない程、深刻そうな顔だ。

 

「実は……今度のフェスで、嫁さんを賭けて兄弟子と屋台対決する事になったんだ……」

「えぇ!?」


 大将は、事の経緯を話し始めた――。

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