第8話 耳に3つのホクロの女

その夜 私は、 友達との飲み会の帰り道の事


細い路地に入り 後数100mで、家に着く辺りに来た時。後から誰かが、ゆっくり着いてきてるのに気がついた。


私は 怖くなり 急足になった。後ろの足音も 早くなり、街灯の光が 少し暗くなった所で 道の脇に誰かに手を引っ張られ口を塞がれ「しーっ」と耳元で、女性の声だ。


私は体が 硬直し、このまま 殴られる 殺される?


走り出す足音が 前を通りすぎて行くのが聞こえた。


「もう いいでしょう」 聞き覚えのある声。振り向くと あの警部補そう原西さんだ。


私は目を丸くした。「何故?って顔してますね 宮崎から帰って来られて、私達は ずっとあなたをマークしてました。きっと 犯人もしくは、関係者が何らかの型で 接触してくるのでは、と思い。宮本からも 言われてましたしね」 


私は 思わず

「え!」と聞き返した 「あなたが 首をつっこみすぎてると」原西警部補は 苦笑いをしていた。インカムに連絡が あったようで「取り逃した?何やってんだ しっかりしろ!足取りを追えいいな!」と指示している。



あれから 私の周りで 特に変わった事は 起きていない。私も普通に 仕事に通う日々に戻った。


そう1ヶ月程たった日のお昼の時間に 仕事場の皆んなと昼食食べていた時の事。テレビから 流れて来た。


竹川氏の秘書が飛び降り自殺?もしくは殺人か?


いつもなら 特に気にしないのに あの事件以来 殺人と言う言葉に 耳が敏感に反応するみたいだ。


竹川氏は 国有地を 手に入れる為多額のお金を、動かしたのでは?と疑惑になっている。


13時から 緊急記者会見と速報が 出た。


画面が変わり アナウンサーが「今 竹川氏が 会見を行う ベルサール東京の前です。そろそろ車が 到着する予定です。来ました 車が黒のセダンタイプです。中は 容易には、みる事は 出来ません」


車が入り口で 2台止まった。中から 数人の人物が 降りて来た。中には 竹川氏もいる。記者達に揉みくちゃにされながら中に 入ろうと必死だ。


女の人も竹川氏に続いている誰だろう?薄いグレーのスーツを綺麗に着こなしている。スタイルの良さがスーツごしに わかる。


秘書?歳が、竹川氏と余り変わらないように見えた。その女性も揉みくちゃだった。その時 その女性の耳元に 記者の手があたった。


髪の毛から 耳たぶが 見えた瞬間 私は 「え??うそ」耳たぶに 3つのホクロが 並んでいた。私は 直ぐ携帯をとった。宮本巡査長に電話をかけた。携帯から 懐かしい声がした。


「宮本ですどうしました?」

すずは「テレビ、テレビをつけて。耳です 耳」 

宮本「耳??耳が どうしました?今テレビを見れる状況では ないんですよ」


すずは「耳たぶに 3つのホクロが並んでるの」

宮本「誰が、ですか?」

すずは「分からない。竹川氏の記者会見会場に一緒に入った女性。歳の頃は 50代の綺麗な方です」

宮本「それは もしかしたら 竹川氏の夫人の 陽菜夫人かも 分かりました お手柄じゃないですか?調べてみます。ありがとう。又連絡するから」

「わかったわ。待ってる。」携帯を切った。


いち早く伝えたかった。でも 待ってるって言ってしまった。向こうが 連絡するからって言ったし、そりゃー待つわよね。事件の真相を知りたいだけよ。そう知りたいだけ。


記者会見は 次の通りだった。

「自分には 噂になっている 多額のお金の件は、全く身に覚えが無く 又 秘書の死に関しても 主治医から 女性の更年期では と 話が以前からあり 彼女は、治療は していた。と 聞いていましたが、回復し プライベートも仕事も順調のように見えました。その矢さきに…と涙をこぼしながら 優秀な秘書でした。」と語った。


皆もきっと同じ事を考えたと思う。うさん臭い!絶対こいつが何か知ってる!


じゃー秘書の死は こいつだとして 高千穂でのスケさんの奥さんが言っていた、耳に3つのホクロが並んでる陽菜夫人が もしかして あの ちなつちゃんの母親だとして、彼女の周りで 3人の死人が 出ている。


どう繋がる?彼女は若い頃 嫌になった元旦那の元を離れ、そして 竹川氏と結婚。でも 竹川氏も そーバカじゃないよねー 綺麗かもしれないけど あの欲多き、竹川氏が 彼女身元を知って結婚するかなー? 


それと ちなつちゃんを 彼女が 殺す事出来るかなー?実の娘でしょ 出来るかー? 


ポロポロン、ポロポロン会社の電話が鳴って我に帰った。昼休みは とっくに終わっていた。ハゲ親父こと社長がこっちを睨んでいたのは 気のせいと思いこませた私だった。

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