第16話 処理対決
排水処理の話を興味津々で聞いてくれる会社は、時々規制値を越えてしまうところです。編み出した「魔法の処理剤」で基準の規制値以下になることを紹介します。最初に、最悪事態を想定し、「極道薬剤」金属キレートを扱ってるか、そうでないかは、ホームページにあるめっき製品の種類で確認しておきます。
通常、政府の規制基準を超えて処理に困っているは順応型の会社です。ということは、マニュアル通りの作業以外の発想がなく、「報連相」が十分でないことを想定しておく必要があります。
「極道薬剤」金属キレートを使っていなければ、標準の処理を行います。pHと偽金で「悪役令嬢」から解放させた「ホームレス」を「スライムスラッジ」にし、「魔法の処理剤」を使って、「反逆イオン」マイナや「悪役」オルガ、アンモをへばり付かせ処理する「魔術」のようなことを紹介します。
相手は、うさんくさい目をしながら聞いています。
「極道薬剤」金属キレートなど処理の難しい薬剤の対処法として、企業によっては、悪臭を放つものや、高価な特殊薬剤を使っています。それをやめて、代わりに編み出した「魔法の処理剤」を使う話を続けます。
順応型の会社では、極道系薬剤の濃厚廃水など濃度の高い廃水が時々流れてきて、少ない「魔法の処理剤」では処理できないことがしばしば起こります。原因の多くは「極道薬剤」金属キレートめっき液で使った、ろ布洗浄液や汚れた回収液で濃厚廃水と呼ばれるものです。その量は少量ですが、これらが濃度の低い排水に混ざることで処理できなくなります。そこで、別系統でその少量の濃厚廃水だけ処理することに変更する話をします。(ちなみに、重金属イオン濃度が1 g/L程度以上高濃度の液を廃水と呼び、それより低いものを排水と使い分けて呼んでいます。)
濃度の高い廃水には他のめっき液や前後処理液が含まれていないため、「魔法の処理剤」の使用率を少なくして安価に処理出来ることを紹介します。
安価な話には、興味が沸くようです。
他の排水に合流させず、少量なのでバケツに入れて貢物を少量加えた上で「魔法の処理剤」を投入し、「スライムスラッジ」作ると上澄みがほとんど出なくなるので、そのまま固めて廃棄する話には、聞いたことがないので驚いて聞いていますが、ビーカーで実演すると魔術の効果てきめんで納得してもらえます。その方法は教科書にないため、それを紹介するのは、カギを握る管理者だけではダメで、末端の作業者にも伝えます。
一般的に、会社が顧客になるかどうかは、以前より安価に処理できるかどうかで決まります。
多くの場合、高い薬剤に変えれば排水基準が達成できると思っているところがほとんどです。そこで、従来のコストと提案する処理のコストを比較して安ければすぐに採用試験が始まります。持続可能な世界SDGsを企業理念に掲げているところでは、処理費用が多少高額になっても仕方ないとしているところも多く、政府規制を守るため、ふんだんに処理剤を使ってきたところでは、半額近い処理費用だと分かると飛び付いてくれるところもあります。
顧客になる可能性のある会社には、排水を水で希釈して基準値ギリギリに対応しているところもあります。従来から使用している薬剤量と単価からコストを計算し、それに比べ安くて、排水基準を下回っているかどうかを確かめます。
その方法は始めに、水洗水量を減らせるか聞きますが、大方、そうするとそんなことをしたら手が震えると回答してきます。そこで排水を水で薄めすぎているので「スライムスラッジ」が少な過ぎ、凝集沈降しにくいのを防ぐため、これまでに分析した結果から、pHが弱酸性で導電率が10 mS/cmより低い場合、鉄イオンを50 ppm(1リットルに0.05g)加えます。次に、極道薬剤を使っていなければ、50 ppm「変身手榴弾」を添加し、困っている政府規制物質の濃度を測ります。その結果、基準を上回っているようなら、加える量でギリギリのコストを狙って「投網ゾル」を加え処理します。
排水処理で困っている会社には、これまで、たくさん買っている排水処理薬剤の会社から、盆暮れの付届けやゴルフ•飲食接待のお誘いがやってきています。
大量に処理剤を買っていた担当部署では、身の保全を図るための作戦会議が始まります。社長が儲けにならない排水処理より、顧客のゴルフ接待に忙しくて排水処理現場は担当にお任せだと、現場担当はこれまで投資してきた「設備が対応できない」などの言い訳から始まって、通常より高濃度の液を「やって見たが処理できなかった」ということまで並べ立て、処理できないことを押し通そうとします。
これまで購入してきた薬剤会社は、その話を聞くと、おもてなしの仕方を心得ているので、注文量が減ることを避けるため、さらに誠意のこもったおもてなしを心掛けてきます。おもてなしする会社薬剤を続けるか「魔法の処理剤」に切り替えるか、選ぶのは会社にお任せです。
深追いをすると注文が減ったところや貢物の恩恵に与っていたところから夜道に付け狙われることになりますので。
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