第15話 会社の予測
排水分析は、排水基準値以下に処理できているか調べるためのものです。したがって、排水処理前の原水がある場合は、分析する前にまず、排水処理を行います。分析を妨害する時の対策から編み出した魔法の処理剤「変身手榴弾」と「投網ゾル」を使って、従来は処理の難しかった規制項目を基準値以下になるように処理する手順と使用量を決める必要があります。
そこで、排水原水を眺めながら、想像力を働かせて、そこで働く作業員の技術力を知るため、インターネットで会社情報を調べ、製品に使う薬剤や技術力、管理力を予想します。一般的に、資本金や従業員数などの規模の大きい方が技術力は高い傾向になりますが、大きいところが管理できているとは限りません。昔ながらの上意下達式の命令系統を持つ順応型のところと、創造的な臨機応変の対応力を持っている創造型とでは、対応力が大きく異なります。会社の社長の挨拶で、持続可能な世界SDGsに対する取り組みが紋切り型かどうか、独特のめっき加工があるかなど判別する大きなヒントになります。ひと昔前は順応型がほとんどでしたが、順応型の会社は減る一方で、もはや技術立国を返上するレベルになっています。しかし、排水処理で困っているところの多くは、順応型です。
そういった順応型会社の「報連相」では、処理の現場トラブルで「これ絶対やばい、大変です」ということを聞いた、ヒラ上司は「やばいらしいですよ」と主任に報告します。それを聞いた主任は「やばいかもしれないって」と係長に報告し、それを受けた係長は「懸念すべき事項が一つあるようです」と課長に報告し、それを聞いた課長は「一つを除き問題ありません」と部長に報告した結果、部長は「ほぼ問題なく、順調です」と社長に報告することで社長は「うむ、よしよし」といった具合に、展開することが多いようで、原因究明は難しいようです。
「魔法の処理剤」を編み出す前には、分析の妨害対策から薬剤を使わなくて掃除するだけで済む方法を編み出したことなどのノウハウの蓄積があります。高価な薬剤を使わずに、社員の濃度管理教育でミスをなくすと突発的な事故を改善できる場合もあり、排水を眺めながら抜本的な改革ができる会社かどうかその管理力を想定します。
処理する場所の大きさ、設備の古さ、薬剤の添加方法などをインターネット情報や処理の難しい薬剤をどうやって対応しているのか聞き取り情報も含めた結果を踏まえ、排水処理に使用する薬剤の種類と量を決めます。
順応型の会社には設備や管理力を考えながら細かい手順、添加量やpH管理の仕方、電極洗浄方法に至るまで、きめ細かく示すことになります。
一方、創造型の会社では、一例を紹介すると、どういうときに効果があるのか、使い方の細かい質問があり、その後は自分達で最適条件を見出す実験を行ってくれるので手間がかかりません。
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