好きって、どう書けばいい? 不器用なふたりが挑む恋愛小説代行
- ★★★ Excellent!!!
読書が趣味の高校二年生・樫井悠羽は、同じクラスの美少女・藤宮空澄から、ある「お願い」をされる。それは自分をヒロインにした恋愛小説を書いてほしい、というものだった。樫井は、ある条件と引き換えにその依頼を引き受けることに……。
ヒロインの藤宮さんは、クールビューティーな女の子です。同年代の女子たちが夢中になっている「恋愛」に密かに憧れてはいるものの、彼女自身は「好き」という感情がよくわからない。そんな彼女に恋愛を理解させるために、どんなプロットで、どんな物語を書けばいいのか、というのが本作のテーマとなっていきます。
藤宮さん本人をヒロインにする以上、まずは樫井くんに藤宮さんについて深く知ってもらう必要がある。そんな理由から、二人は一緒に"デート"をすることになるんですが、クールな藤宮さんだけでなく、樫井くんもかなりのドライな性格で、イマドキの高校生のデートとは思えぬ真面目すぎるやり取りがシュールで笑ってしまうんですよ。
やがて藤宮さんだけでなく樫井にもある秘密が明かされ、代行するはずの小説は思いもよらぬ方向へ。恋心のもどかしさと向き合う青春ラブコメディ。
(「代行サービス」4選/文=愛咲優詩)