第8話 面接
長い時間待つことになるなと思っていたのだけれど、私の前にいた2人はあっさりと1人10分程度で出てきてしまったため予定時刻通りになってしまった。
中から研究室の先輩が1人出てきて声を掛けてきた。
「次は・・・松下君だよね?あってる?じゃあ入って入って」
面接特有の「ノック何回する」とかそういうお決まりなことも無く中に入ることになった。面接会場は割とありがちな感じではあったものの、さっき聞いた通りでとにかく面接官が多い。森田先生はもちろんの事、院生、学部生が勢ぞろいしていた。
よく見ると何人かは手におもちゃの銃とかピコピコハンマーを持っている。この後、物ボケでもやらされるのだろうか?
「じゃあまずは自己紹介をお願いします。名前と出身地と出身高校を教えてください」
「はい、えー松下です。出身地は長野県。高校は・・・」
と高校名を言うと4年生の先輩が食いついた。
「俺と一緒じゃん」
ということは高校の隣のクラスに居たことになる。でも全然知らない人だったし、名前も聞いたことが無かった。
その後いろいろなことを聞かれたような気がするのだけれど実は何を聞かれたのか
覚えていない。
運動部のキャプテンをしていること、下宿していること。部活の顧問とコーチ。それから体育科の教授から森田研を薦められたこと。そんなことを話した気がする。
ただ、一つだけ気が付いたことが有ってそれはよくよく見ると面接は学部生のペースで進められていてあまり森田先生は介入しないということ。先生が介入するときは実験内容とかそういう内容の話の時だった。
「なんだか面接というよりは大人数で行う井戸端会議のような感じがする」
そんなことを心の中で思ったくらいに緊張はしなかった。
なんだかんだ話していると面接終了と言われ、頭を下げて外に出た。すると前に話した彼が並んでいた。
「どうだった?」
「うーん・・・人はいっぱいいたよ」
伝えられるのはこれだけ。本当にそれ以外は特にという感じだったから。
「そうなんだぁ・・・」
それだけ伝えると私はいつものように部活へ向かって行った。
そして話が早いことに次の日には連絡が入り、合格していた。それから早速ゼミの日程が組まれ「3年生のゼミ」が始まることになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます