第19話 提案。男性のアレを着脱式にする
【まえがき】
タイトルから分かる通り、今回はやや下のネタがあります。
ご注意ください。
――――――――――――――――――――
ケルブの冒険者ギルドは、王都のそれより、縦にも横にも大きかった。やはり最上階にはちょこんと部屋が乗っかっていて、そこにギルドマスターいるのは様式美なんだろう。
石造りであるところも同じで、さらに、敷地を囲う独自の防壁まで持っている。どれだけ厳重なんだか。
『冒険者ギルドの敷地内に、初心者用ダンジョンの入り口があります。独自の防壁はダンジョンに対する備えの可能性が高いです』
『ああ、なるほど。街の防壁と同じってことか』
ダンジョンの入り口近くにギルドを建てるとは、豪気というかなんというか。
『それじゃあ中に入るぞ。やることは拠点の登録とどんなクエストがあるかの情報収集だな』
『了承』
扉を開けて中へ入った。
ケルブの活気は、ギルドの中でも同様で、ざわざわと騒がしい。基本的な構造は王都のギルドと同じであるが、役所という感じは全くない。元クラスメイトのように暴れなければ別に良いと思う。
『注意。掲示板にシンゲンを探す手配書があります』
『うえ、もうここまで情報が来てるのか』
俺がお城から脱出した翌日には、王都のギルドで手配書が出回っていた。そこからまだ5日しか経っていない。
掲載されていた手配書は、王都のギルドで見たものと全く同じものだった。似顔絵の適合率が38%のアレ。
『推定。ギルド間での情報共有網』
『ギルドカードやクエストの情報なんかもやりとりしてるだろうからな』
各ギルドで情報共有していないと、ギルドカードが身分証として機能しない。その情報共有網に乗せて、手配書の情報も来ているのだろう。
俺の手配書以外には、召喚や勇者、元クラスメイト関連の情報はなかった。ギルドであれだけやらかしていた元クラスメイトの情報がないというのは、少し不思議に感じる。
考えていても仕方がないので、総合受付で拠点の登録を済ませた。申請用紙1枚で終わるのですごく簡単。ついでに女性でも泊まりやすい宿を紹介してもらっても、所要時間は1分ほど。
『クエストはどんな感じだ?』
『ダンジョン関連のものが多数。Fランクで受注可能なクエストは、王都と差はありません』
『折角だからダンジョンに入ってみたかったけど、ランクを上げるまではお預けか』
『肯定。ダンジョンへ入場可能となるのはEランクからです』
ついでに言えば、最初に入れるのは初心者用ダンジョンのみで、そこをクリアすると中級者用、さらにクリアすると上級者用と、入れるダンジョンが増えていく。
『肉の納品に皮の納品。いかにも冒険者ギルドのクエストって感じで良いな』
こういうのが良いんだよ。犬(魔物(ウルフ))の散歩クエストも面白かったけど、やっぱり冒険者といったら魔物素材の納品だよな。
『よし。今回も薬草を取りまくって、さっさとEランクに上げよう。明日は朝から出かけるぞ』
『了承。宿へのルートを表示』
ギルドに紹介された宿は、確かに治安の良さそうな区画にあり、併設されている食堂の料理もなかなかのお味。ただ、部屋にシャワーが付いてない。
王都で泊まっていた宿はここと同じ値段でシャワーが付いていたが、ケルブでシャワーが付いた宿に泊まるには、だいたい2倍の料金がかかる。日本円だと1泊2万円くらいの感じだ。
『高いな』
値段以外にも結構切実な悩みがある。それは、下手に共用のお風呂場を使えないということ。
『俺って男なんだよな』
骨格は女性だし、胸もあるが、俺は男だ。もちろんアレも男の物だ。
共用のお風呂場は男女別になっていて、男用に入っても女用に入っても、どちらも問題になる。
『王都のサービスに慣れ過ぎたか。どうしよう』
『提案。完全に女性体になる。入浴の際のみ男性体になる』
前者はさすがに抵抗がある。後者は一時的には良いだろうが、解決策にはならない。見慣れない男が宿にいれば、その内問題になること間違いなしだ。
『なんとかならない?』
『提案。男性のアレを着脱式にする』
『んひぃ! 想像しちゃったじゃん! そんな怖い事言うなよシオン!』
思わず想像してしまった状況は、バイオロイドの性能を発揮していやに精細だった。自分のアレがポロっと取れる場面なんて、見たくないぞ。
ちなみに、出来るか出来ないでいったら、できるのがバイオロイドの凄いところ。もちろんできるからと言って、やるつもりはない。
『それ以外。着脱式以外の解決策で頼む』
『提案。男性のアレを体内に収納する』
うーん、これが譲歩できる限界か。妙な突起が無ければ、あとはタオルか何かで隠せば、不意に男だとバレる可能性も低い。
『よし。それでいこう』
『了承。睡眠中に身体機能を更新します』
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