06-05-24 - 06-11-24
聞いていたかもしれないHの場合(06/05/24)
お題:
>【タミルナドゥ州】
【武内宿禰】
>【ワンワン】
>【楽説】
【加茂川】
【東北関東大震災】
加茂川が全国にあるのでどれを使おうか悩んだ挙げ句、使わなかった回です。
実はこの回は日中が少し忙しく、書き始めた段階で頭もあまり回っていなかったので、何をどうしてこんなものを書いたのかよく覚えていないのです。しかし、文体を見てみるとおそらく前日に書いた寓話っぽいものに引き摺られて書いている気がします。
登場人物の名前は、確かカマルムールが「蓮の根」、スヴェタミスティが「白い骨」をサンスクリット語に機械翻訳したものを、 Google翻訳で喋ってもらったものをヒアリングして付けた気がします。割と雑につけていますね。
そもそも、タミルナドゥは名前通りにタミル語話者が多い地域なので、サンスクリット語からの流用はあんまりないはずなのですが、どうしてサンスクリット語で名前をつけたのか今となっては不明です。まあ仏陀がサンスクリット語なのでそこから安直に使ったとか、そんな感じだと思います。
タミルナドゥとスヴェタミスティの問答は、最近(残念ながら)流行っている宗教の象徴化を揶揄して書いた気がします。雑に書くと皮肉を直球で混ぜてしまう癖があるのですが、実際に読んでみるとあまり美しくないため、気をつけないといけませんね。
おそらくこれも皮肉に引っ張られてのことだとは思うのですが、楽説無礙弁才の青年に国の種を蒔かせています。この単語は本来、「仏法最高だからみんなでキめようぜ選手権上位入賞者」みたいな意味なのですが、国が採用するならまだしも採用して国を作らせるのはちょっと意地の悪い物言いが過ぎている気がします。なにか嫌なことでもあったのかもしれませんが、覚えていません。
ついでに言うと、パーンディヤがサラッと滅んでいますが、史実だとかなり長く(一旦滅亡するまで1000年ぐらい)存在していた王国なので、全方位に当たり散らしながら書いていたことが伺えます。
どうにも、かなり雑に書いた回です。よほど眠かったのかしら。
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センチメタルなIさんの場合(06/06/24)
お題:
>【チェーン】
>【由比ガ浜】
>【ワキン】
【パトライ】
【オーガナイザー】
【奴隷海岸】
色々とうまくいかなかった回です。
本当はパトライ(パトラ)を使いたかったのですが、他のお題と食べ合わせが悪かったので使えませんでした。十二使徒のアンデレがイエーイ十字で殉教した地なので、ギャグでもシリアスでもほのぼのでもボノボのでも、何でもできそうだったのですが仕方ないですね。ほのぼのは難しいかもしれません。
何を使うかと思って色々考えたのですが、奴隷海岸になんとなく引っ張られた気がします。これも安易に主人公を作った弊害ですね。由比ヶ浜に新規の死体は埋まっていないと思ますが。
実はワキンに関しては昔の体験が混じっています。私は金魚を飼った経験がないのですが、叔父が金魚に限らずメダカや鯉やら(つまり川や縁日で調達できそうな魚)をそれなりに飼っていました。たまに叔父の家に行くと、魚の様子をちらっと見てすぐに興味をなくす幼少期だったのですが、金魚も種類によって大人しかったり活発だったりと傾向が違ったのを覚えています。
特に印象的だったのが喧嘩っ早い金魚がいたことです。金魚すくい経由の金魚だったので、おそらくワキンだったとは思うのですが、定かではありません。小さい個体を突き回す姿を見て、なんとなく金魚が嫌いだった時期がありました。後にペットショップの熱帯魚を見てこんなものなんだなと思い直しましたが。まあ、カブトクワガタが喧嘩をしているのは平気で見ていたので、色が綺麗だったのが許せなかったのでしょう。
という話をワキンという単語をみて思い出したので、弱いものいじめの話にしようかなと思ったのです。幼い頃に見た推定ワキンは(おそらく)天寿を全うしたのですが、魚を擬人化する発想がこの日はうかばなかったので、個人的な願望も込めて猫ちゃんに登場していただきました。
夜の蝶を魚に例えたのは私の偏見がなせる業で、夜の蝶業はなんとなく潰しが効かない気がするし、熱帯魚だよなあという偏見から夜のチェーン店が舞台になりました。蝶の人々になにか思う所はないのですが、赤カブトみたいなやつは嫌いです。
その日が来るといいなあと、やっぱり思うのです。
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彼と出会う前のJさんの場合(06/07/24)
お題:
>【キリスト】
【早稲田二文】
《けいふくでんてつみくにあはらせん》
>【わらべ】
【グリザイユ】
>【焼き菓子】
前日のイエーイ十字不発をおそらく引きずっていた回です。
実のところ、このネタはなんとなくずっと考えていたネタでした。と言っても、具体的にこのシーンというわけではなく、新約聖書の福音書の行間をおとぎ話風に書いてみたいなあというぐらいです。ただし、主人公にするなら正典でぽっと出てくるので捏造しやすいユダか、なんだかんだ出番がない割には重要なところでちゃっかり出てくるトマスあたりか、いっそ各種マリアによるマリア様たちが見てるにしようか程度のことは考えていました。全員「福音書」自体は世に出ているので盛りやすいというのもありますし(内容や解釈については論じませんが、まあネタにはなるよという意味です。誰も読んでいないとはいますが念の為)。
その上でお題をみると、早稲田二文と京福電鉄は難しそうでしたので、わらべ、グリザイユ、焼き菓子から選ぶことに。実のところ、わらべとグリザイユで書こうと決めていましたので、マリア様たちが見てる路線は某コードに引きづられそうなので除外。トマスとユダはどちらでも良かったのですが、アルファベットの順番がJだったので Judasさんをチョイスしました。
ユダで有名な話といえばやはり裏切りのシーンだと思いましたので、その辺りを書くことに。ただ、聖書をそのまま使うと「邪悪な裏切り者ユダ」か「必要なことをした決意の人ユダ」になってしまい、使い古されたネタになってしまいます。そこで、後者のユダを踏襲しつつもそれはそれとしてショックを受けている人間臭いユダというキャラクターで進めることにしました。
最初のシーンは当初、おっさんが本当にユダで子供はイエスの神の子としての霊という設定でしたが、書いている内にこの子はちょっとイエスのイメージではないなと感じましたので、じゃあ誰にしようかと考えることに。そこで、偽預言者注意の張り紙(黙示録)を思い出し、「偽預言者や神の子ではない預言者の周囲で、同じことが繰り返されてきた。そして、その繰り返しの中で、ある預言者がキリスト(救い主)に至るために必要な者が現れる。ある行動を宿命付けられたその姿は、聖霊の声と悪霊のささやきを伴い、ありふれた人の姿をしていた …… 」というイントロを思いついたので、子供の方をユダに書き換えました。
そうして、歴史にはよくあることですが、同じことが同じように繰り返されてしまうのですが、ユダの前に現れた子供が正しいこととも間違えとも言わず、苦難が訪れるということだけを伝えるのでした。このオチはかなり悩みながら書いていて、ユダが最終的に泣き崩れることは決まっていたのですが、喜びと悲しみのどちらにするかは最後まで決まっていなかったのです。
決まらないまま最後のシーンまで来てしまったのですが、両方の理由で泣いても良いよなと言うことでユダ自身がしたことをそのまま突きつけるエンディングに。子供のセリフはルカの福音書からの意訳です。
エンディングで苦労しいたのは、ユダが子供帰りしていたことです。当時のユダに戻したほうが感受性も高くなるし、繰り返しとそのエンドポイントを強調できるかなと思ったのですが、子供帰りしていたために彼を男呼ばわりできなかったのは誤算でした。そのために、最後のシーンは読みにくくなっていると思いますがご容赦ください。
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鉱山で働くKさんが受けたインタビューの場合(06/08/24)
お題:
【ソラン県】
>【小山】
【ナディールシャー】
>【セイヨウカラハナソウ】(ホップ)
>【シャープ】
【柳原】
無理に明るくしようとして失敗した気がする回です。
セイヨウカラハナソウがホップのことだと知ったので、酒でも入れれば明るくなるだろうと思い、ホップを中心に考え始めました。と言うのも、ここ数回ほどいまいち暗く説教臭い話を書いていたので、パッと明るい話が書きたかったのです。とはいえ、お題が頭空っぽで書くには不向きでしたので、酒飲みがグダグダとくだを巻く話しになりました。
ところが、書き始めてみるとどうにも暗い話になってしまいました。私の中のドイツが冷戦集結あたりからマイナーアップデートしかされていないのが原因だとは思うのですが、ビールと言えばドイツと言うイメージが先行していたので、仕方なく続行。
ブルーヴルストについては、最初は単純にドイツ人の血が鉄分不足になりそうだったので入れただけだったのですが、調べてみると地域によっては内容物が違い、東ヨーロッパではソバを入れる地域があるとの記述がありました。これは丁度良いやと思いましたので、元は需要の減少だった失業の原因を移民にすることにしました。
失業者のくだりまで書いた段階で、この流れでどうすれば笑って終わらせるかと筆が止まりました。考えていると主人公が坑夫だった縁でリトル・ダンサー(ISAN 0000-0001-45EA-0000-L-0000-0000-B)を思い出したので、主人公が坑夫の仕事に誇りを持っている点からなにか突破口がないかなと考えた結果、共同体への受容というテーマで書くことに。
本当はもう少し諍いフェイズを丁寧にいくつか書きたかったのですが、時間もなく、また延ばしても話としてはあまり変わらないなと思いましたので、サラッといじめられてサラッと受け入れられる話になりました。
崩落事故のシーンはツッコミどころが多いとは思うのですが、手早く認めさせるにはあれぐらいのインパクトとご都合主義が必要とおもわれましたので、あんな感じに。
話を畳んでいる最中に、認められたからと言って受け入れられるわけでもないよなと思い直したのですが、そのあたりはそれこそ丁寧に書かないと表現できないのでオチも少し弱くなってしまいました。
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[*]情緒不安定なL氏の場合(06/09/24)
お題:
【イエンタイ】
【ワシントン州】
>【野に下る】
>【ワジ・アル・ヒタン】
>【ワイン・ビネガー】
【WAZA】
初めて隕石が降った回です。
WAZAが「技」の表記揺れかと思ったのですが、調べてみると水族館の組合がこんな略称らしいです。水族館とクジラの谷(ワジ・アル・ヒタン)で相性が良いかなと思ったのですが、残り一つが決まらず再考。クジラが頭の中で泳いでいたので、そういえばクジラの谷ってエジプトだけどクレオパトラに酢と真珠の逸話があったなと思いついてその方面でまとめ始めました。
エジプトと言うと、ガザ地区がお隣なのでどうしてもそれに引っ張られ、当初は「ガザの調停役として奮闘するも失敗し、失意にまみれて野に下った男が、クジラの谷で化石に泣き言を漏らす」という話を書いていました。
しかし、このネタはちょっとセンシティブすぎるかなという懸念と、この話について「諦める」主人公を書く意欲がどうしても沸かずにボツに。この時点で残り時間が30分を切っていましたので、何か他にないかなと急いで考えました。
エジプトってどんな国だっけかとぼんやり考えていると、そういえば結構貧富の差が激しい地域だった(気がする)と思い、調べてみるとそれなりに格差がある社会のようでしたので、主人公のモチベーションをそちらにシフトすることに。国内の話でしたので、主人公のスタンスも「諦めて逃げる」ではなく、「努力したが無力」と少しマシなものに書き換えることができました。
しかし、そこまで書いた時点でタイムリミットが来てしまい、隕石を降らせることに。
初隕石なので説明しますと、隕石を降らせるというのは「作者の恣意的な誘導でしか与えられないような状況によって、強引に話を展開させる」ことを隕石を降らせると勝手に呼んでいる手法です。別に隕石である必要はないのですが、このシリーズでは実際に本物の隕石を降らせることにします。
これをやってしまうと作品のリアリティが損なわれてしまうのですが、決めてしまったものは仕方がないので隕石を降らせることに。特に、本物の隕石を降らせることで舞台全部を蒸発させることもでき、便利なのですが、今回はそこまでの威力は必要なかったので主人公にだけ死んでいただきました。最後の抵抗として、クジラの化石には血の涙を流してもらっています。
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今は昔、M山の話(06/10/24)
お題:
【アラファト山】
>【三峰山】
>【草の錦】
【笹子町】
>【アナリスト】
【山科区】
今回も途中で書き直した回です。
最初は何をトチ狂ったかラブコメ風のものを書いていました。設定としては、「三峰山に観光に来た若い二人、陽気な女性と寡黙な男性のカップルだったが、夏の盛りにも関わらず女性が見事な紅葉を称えている。その様子を男性は悲しげな瞳で見つめるばかりであった …… 」みたいな話です。お察しの通り、夏真っ盛りに草の錦が出てきたので某俳句系小説の「季違いじゃが仕方ない」ネタです。
ただ、ネタ元がやはりネタ元というのと、書いていてかなり長くなりそうだったのでイントロ時点でやり直しを決意しました。この時点でやはり30分ほど使っていたので、情景描写をしっかりやる時間は(前回の経験から)残っていないことが解っています。そこで、伝承風で話をまとめることにしました。
どんな伝承にするかは決めないまま、とりあえず狛狼のくだりを書き始めたのですが、何かが気に食わなくて5回はリテイクした気がします。そうなるといよいよ時間がなくなり、どうするかと頭を抱えたのですが、宗教家は転じてアナリストみたいなことをしていた時期もあったかなと思い立ち、僧侶を出せるような方向ということでちょっとオカルトな伝承にすることに決めました。
伝承というのはやはり(下ネタか)教訓話がないと面白くないので、何にしようということで最初に思い浮かんだのが流言飛語でした。なぜ最初に思いついたのかは今持ってよくわからないのですが、おそらくアナリストを下ネタとして読んだことの戒めかと思われます。思われないかもしれません。
それはさておき、噂話となればやはり恋バナかなということで大枠が決まり、あとは流れです。第一稿では娘がせがれに嫁ぐ実態はなく、噂の段階だったのですが、それで死ぬのもあまりに哀れだろうということで実態を持たせています。
二日連続で隕石を降らせないために色々駆け足に放ってしまいましたが、最低限書くべきところはかけたと思うのでその点は満足しています。本当はディティールを詰めてシーンとして描きたかったのですが、これはこれで味が出ているので結果オーライではあります。しかし、これに味をしめないようにしたいですね。
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配達ステータスN/Aの手紙の話(06/11/24)
お題:
【NADP】
>【アシュバ】
【ユーゴー】
>【アラゴン】
>【ギュヴェチ】
【イバゲ】
お題が国際色豊かでキレそうになりながら書いた回です。
NADPは略称でなんとでもなるとして、アシュバはインド(サンスクリット語)で馬の意味、ユーゴーはフランス人、アラゴンはスペインのあたりにあった国、キュヴェチはトルコの料理、イバゲはコロンビアの都市と見事にバラバラの場所でした。これには頭を抱えて、どうしようかとしばらく何も書けなかったのですが、各地に散らばっているならばそのどこでもない立場からの視点で旅行記風に書けば良いのでは思いつきました。
最初は旅行記として考えていたので、料理は定番だろうとキュヴェチ中心に考えていたのですが、旅行記にできるほど各地に精通していないことに気がついたため、再び停止。考えていると、各地を「巡ってきた」おじさんがその様子を手紙にしたためる様子がふと浮かんだので、その手紙を書くことにしました。
おじさんの出身地をどこにしようかと思ったのですが、アシュバの響きがかっこよかったのでインド付近にしようと考えました。しかし、インド人が国外を旅をするイメージがいまいち浮かばなかったので、シルクロードから考えることに。すると、馬の縁でモンゴル人に思い至りましたので、モンゴル人のおじさんが主人公になったのです。
しかし、モンゴル人と言っても元国の時代の活発なイメージと脳内のおじさんがミスマッチでしたので、明時代に設定することに。この場合は南回りではなく草原(砂漠)ルートになるのですが、ちょうど同時代にオスマンがいたのを思い出して、巨大国家ということで元と絡ませることができそうだとこの設定を採用しました。そのため、おじさんは隊商の一人ということに。この状況で誰に手紙を書くかなと考えると家族かなと言うことで、受取人も決定しました。
漢人注意については、現在の状況に引っ張られている気がしますが、史実だとどうなのかは申し訳ありませんが存じ上げません。ただし、巨大帝国が崩れるときは大抵足元からと相場が決まっているので、そのあたりを重点的に描いたつもりです。
アラゴンは数合わせ…… と言うと聞こえは悪いですが、隊商ならぎりぎり足を伸ばせるかなという理由でのチョイスです。その後のおじさんの運命については特に決めていませんが、この手紙が届かなかったことだけは確かです。
なんとなく、前回の無常観を引き継いでいる気もしますが、おそらく気の所為でしょう。
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