第9話三人組

季節は流れ、新たな人生が始まってから六年が過ぎた頃。私は庭裏で歌の練習をするのが日課になっていたんだけど…


この日は近所に住む悪ガキ三人組が、何故か我が家の敷地内でいつかの間にか白目をむいて倒れていたコトから始まった。


肝心の私はと言うと彼等の侵入にはいっさい気付かず、後方でなにかが倒れ込むような音がドサドサと連続して聞こえて来たので驚いて振り返ると、そこには彼等が地面へと倒れ込んでいて…


なにが起きたか分からず、この時はまだ見たことなどなかったが、まさか、これは魔物の仕業なのでは?っと思い周囲を見渡すも人っこ一人いなく、


警戒を解いた私は両親に知らせなくてはと思い、家の中に戻ろうとした時、


「うっ…うう…ッ。」


倒れていた三人うち一人が目を覚ましたので「大丈夫?」っと心配がてらに声を掛けたのだが、


「うっ、うわぁぁぁ!」


私を見るなり唐突に悲鳴を上げ後退りし、両隣に倒れていた二人の友人に気づくなり彼等を激しく揺さぶる。


それによって目を覚ました彼等もまた、私を見るなり驚いたように悲鳴を上げ、三人はこの場から逃げるように去っていった。


一体なにが起きたのか分からず、その場に棒立ちしていると先程の彼等の悲鳴を聞いたであろう、アヴェントとエセルがすぐさま裏庭に駆けつけてくれた。


「エリー!どこだい⁉︎」


二人は私の姿を見るなり身を案じてくれて、

エセルは私にゲガはないかと体中を隈なく触り確認する。


「エリー‼︎大丈夫?なにがあったの?今の悲鳴は?怪我とかはない?」


色々聞きたいことがあるようだが、私にも先程の出来事の意図が分からず、


「大丈夫。怪我とかしてないよ。


私にもよくわからないけど、どこからか悲鳴が聞こえて来ただけだよ。」


上手い説明も出来ないし、彼等も元気に走って逃げていったので、見た限りではなにか大事に至るようなケガもなかったと都合よく解釈した上で、私はこの話を早々に切り上げようと知らぬ存ぜぬを押し通した。


あの三人組はうちの敷地内に勝手に侵入して来た不審者ではあるが、私とさほど歳も変わらなそうな子供達だったので、特に危険性もないだろうし、なによりコトを大事にしたくなかったのだ。


なにせこの二人、結構過保護だからね。

そんな私の発言を聞いてアヴェントも納得してくれたのか、


「そうか…内の近くで子供達が遊んでいて、はしゃいでただけなのかも知れないね。」


「そうね。でも結構近くで聞こえたから、

パパとママはエリーになにかあったのかと心配しちゃったわ。」


二人は胸を撫で下ろすと続けざまに、


「さぁ、エリー、今日はもう家に入っておいで、」


「…はい。」


私はアヴェントの言う通りに家の中に入り、玄関の扉を閉めた。


この時はなぜあの三人組が私の側で倒れていたのかを深くは考えはしなかったが、それから数日もしないうちにまたしてもこの悪ガキ三人組と再会することとなり、


のちに今回起きた出来事の深刻さに気づくこととなる。




















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