試合の緊張感と青春感が最高に素敵な物語!!

★★★★★★★★★★…★
星:無限

竹刀を構え合っている状況の描写が多かったと思うのですが、常に試合特有の緊張感が読者側に伝わってきていて飽きさせない。すごい。いかに自分の間合いを取るか、相手に呑み込まれないかの瀬戸際で技を見極めてその中で隙を見つけていく。主人公の思考が緻密に書かれていてまるでこちらも面金越しに相手を見ているような心地になりました。そう思わせる描写力さすがです。――剣道は頭脳戦なのかと思いきや、決勝のシーンのように「雷鎚」とも呼ぶべき感覚的にしか打てないし直感的にしか防げない技もある。それに遭遇してしまった時の主人公の戸惑いと感情表現も本当に良かったです。
あと先輩のキャラクター! 剣道強くてあの爽やかさは主人公くんじゃなくても惚れますわ……。でもそこで自分の想いに「全国優勝したら」という試練を化す主人公くんもかっこいい。剣道の良さだけでなく、二人のひたむきに一つのことに取り組んでいく姿ややり取りからの「青春感」もビシバシと伝わってきて、とっっっても素晴らしくて胸が熱くなりました。まじで。
正直、高校で始めてから関東決勝まで行くとか「天才の話かよ…ケッ…」ってなりそうだったんですけど、読んでいくにつれて主人公くんの努力や懸ける情熱が痛いほど伝わってきて、もう最後には全身全霊全力応援していました、彼のこと。かっこいいし、すごすぎる。
(私事ですが)大学生になってこういう青春感とは少し遠くなっていたのですが、この作品を読んで、やっぱり良いものだなと懐かしい気持ちになっていました。素敵な作品をありがとうございました!

(あと…すみませんまじでこんなこと言うの恐縮なんですけど、①試合で蹲踞をするのは始め終わりの礼の時だけかと。試合の二本目以降や竹刀交換等で一旦下がる場合は白線で立ったまま向かい合う&立ったまま竹刀をおさめる、だった気がします。②お互い一本ずつ取って三本目になるときの審判の掛け声は「勝負!」です確か。詳しくは全剣連の審判規則とか見てもらえれば間違いないと思います。)

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交剣知愛