昭和40年 あの時の後悔を糧に

第7話 金稼ぎと信頼できる仲間たち

新たな決意と未来への挑戦

### 彩花との会話

響は車窓から古き良き街並みを眺めながら、松城證券での訪問に思いを巡らせた。彼は自分の計画が成功するためには、しっかりとした金融支援が必要であることを痛感していた。特に、父からの融資100億円を効果的に運用するためには、松城證券との協力が欠かせない。車が静かに走り出す中、響は改めて未来に向けての決意を新たにした。古い街並みと新しい決意が交錯する瞬間、彼は胸の中で希望と覚悟を抱きしめた。

「彩花、これから忙しくなるけど、一緒に頑張ろうね。」響は車内で微笑みながら言った。

「はい、おぼっちゃま。どんな時もお支えいたします。」彩花も微笑み返した。

### 松城證券への訪問準備

松城證券は中堅証券会社の一つであり、松殿家が保有している松城銀行とともに松殿家の金融面を支える重要なパートナーである。ただし、松殿グループの中では傍流に位置することから、微妙な立ち位置であるのも確かなのである。

松城證券の本店に向かうため、準備を整えた。出発前に、彩花が手際よく車を用意し、響と共に乗り込んだ。運転手の爺やは、静かにエンジンをかけ、穏やかに車を走らせた。

### 松城證券への訪問

やがて車は松城證券の本店に到着した。重厚な扉をくぐり、響と彩花は受付に向かった。広々としたエントランスには高級感が漂い、落ち着いた照明がビジネスの場としての格調を高めていた。

「松殿様、お待ちしておりました。どうぞこちらへお進みください。」受付の女性が丁寧に案内し、響たちは応接室に通された。

応接室では、松城證券の頭取である松尾重信と本店営業部長の山口が待っていた。松尾は長年にわたり松殿家の金融面を支えてきた信頼できる人物であり、響も彼の存在に安心感を抱いていた。山口もまた、金融のエキスパートとして名高く、響は二人の前で緊張を感じたが、それ以上に期待を抱いていた。

### 資産運用の相談

「松殿様、お久しぶりです。お元気でいらっしゃいましたか？」松尾は笑顔で響を迎えた。

「松尾さん、お久しぶりです。おかげさまで元気に過ごしております。今日は、資産運用についてご相談に参りました。」響は真剣な表情で答えた。

「なるほど、それは興味深いですね。具体的にどのような運用をお考えですか？」松尾は興味津々に尋ねた。

### 計画の詳細

響は、自分の計画を詳細に説明し始めた。「不動産事業と特許販売を進める中で、効果的な資産運用が不可欠であることを感じました。特に、医療技術や製造業の革新技術に注目しており、それらの特許を取得し販売することで大きな利益を見込んでいます。また、新しい不動産プロジェクトも計画しており、これにより安定した収益基盤を確保したいと考えています。」

松尾と山口は熱心に耳を傾け、時折メモを取りながら響の話に聞き入っていた。

### リスクとアドバイス

「響様の計画は非常に魅力的ですね。ただ、やはりリスクも伴うことを忘れないでいただきたい。特に、初期投資が大きいため、資金運用には慎重を期す必要があります。」松尾は冷静にアドバイスを与えた。

「もちろんです。そのためにも、松城證券のご協力が必要不可欠です。具体的には、資金運用のアドバイスや適切な投資先の紹介など、全面的なサポートをお願いしたいのです。」響は真摯に頼んだ。

### 市場動向と投資先

山口が資料を取り出し、響に見せながら話を続けた。「響様、この資料には現在の市場動向や、お薦めの投資先が記載されています。私たちはお客様の目標に合わせた最適な運用プランを提供いたします。」

響は資料に目を通し、詳細な説明に納得の表情を浮かべた。「ありがとうございます。これなら安心して資産運用をお任せできますね。どうかよろしくお願いします。」

### 具体的なプランの作成

その後、響と松尾、山口は詳細な打ち合わせを重ね、具体的なプランを作り上げていった。松城證券の専門家たちも加わり、響の事業計画は着実に形を成していった。また松松企画室という部署を本店営業部内に新設し、そこへ部長の山口が兼任し、ガタイのいい若手エースの藤本と北山、松殿家の分家筋の正源司を基幹とした24時間対応するため15人体制で対応することとなった。また、兼務する仕事もあり各員、大変な作業が見込まれることから本店近くの土地を購入してそこにマンションを建てることにした。

### 訪問の終了と決意

打ち合わせが終わると、響は松尾に感謝の意を伝え、応接室を後にした。彩花と共に車に戻り、再び街を巡る中で、響の胸には新たな希望が湧き上がっていた。

### 自分だけの秘密

響は心の中で、自分だけの秘密を抱えていることを思い出した。この先の未来の歴史を知っているため、株式売買で成功することは確実だ。彼は既にいくつかの銘柄を頭に浮かべており、タイミングを見計らって購入することで莫大な利益を得る計画を立てていた。

「これからの株式市場の動きを知っているなんて、まるで未来を見通す力を持っているようなものだ。」響は心の中で微笑んだ。

### 新たな挑戦

響はこれから待ち受ける新たな挑戦に胸を躍らせた。彼はこの機会を逃さず、松殿家の名誉を守りながら、自分自身の理想を追求していく決意を新たにしていた。これからの未来には多くの困難が待ち受けているだろうが、それを乗り越えて成功を掴むために、彼は全力を尽くす覚悟だった。

こうして、響の新しい人生が本格的に動き出した。過去の記憶と現在の知識を駆使しながら、彼は未来へと突き進む決意を新たにした。