第5話『第3魔導学校の友人』

 学校に到着。


 俺の学校は。神奈川県立第3魔導まどう高校である。

 神奈川県には第1魔導高校、第2魔導高校、第3魔導高校、第4魔導高校の4つの魔導高校がある。どの高校も、共通として魔導科があり、魔法・魔術関連の授業をうけられる学校である。


 もちろん、大学進学も視野にいれた授業も受けられる。冒険者になるもよし、大学進学もよし。就職するもよし。

 俺はプロの魔導士まどうしを目指しているので、この高校を選んだのだ。


 1年3組の教室に入る。

 そう、俺は高校1年生なのである。

 

 中には、生徒が3人にいた。

 俺は席に座り、スクールバックを置く。

 

 まだ、朝の8時02分だ。

 なぜ、こんなに早いのかって?

 宿題をするためだ。

 どうしても、家だと『キャラトピア』にダイブして、時間を使いはたしてしまう。

 最近では1000連ガチャをした事によって、たくさんの仲間が手に入った。

 そして、念願ねんがんのUR《ウルトラレア》であるサラも手に入れた。

 

 家で勉強する時間?

 正直、ないと思う。


 宿題に集中。2教科かたづいた所。


「おう、空音!」

「空音くん。おはよう」


 見知った男子生徒に声をかけれた。

 俺は顔を上げ。


「二人とも、おはよう」


 クラスメイトで友人の二人である。


 最初に「おう、空音!」と声をかけてくれたのは龍千地次郎(りゅうぜんじ じろう)。次に挨拶してくれたのは、久遠強司(くおん きょうじ)だ。


「クマができてるな。夜更よふかしでもしたか?」


 次郎は俺の後ろの席である。


「え? クマができてる?」

「ああ、うっすらな」


 次郎の髪型はスポーツ刈りのツンツンヘアーである。

 ワックスのかためているせいか、ワックスの臭いでプンプンする。

 まあ、オシャレだと思うけど。


「昨日は12時半に寝てたんだよ」


「遅いな、何をしてたんだ?」


「別に……『スマグリ』をいじってただけだよ」


 セイラと話してたなんて、話せないな。


「あれか? 卑猥ひわいなサイトでも見てたか?」


 次郎はニヤニヤしながら、小声で言う。


「馬鹿! ちげぇよ!」


 そんなサイト、俺、見ないからな!!


「ふふ、エロ次郎は。朝から元気だね」


 俺の右隣の席で、微笑びしょうする強司。

 強司はさわやかなショートレイヤーである。耳にはピアス、首にはネックレスををつけているオシャレさんである。

 顔立ちも整っているし、スタイルもいい。

 強司って、モテそうだな。


「エロ次郎って……お前、変なあだ名、つけるなよ!」

エロ次郎がジロリと強司を睨む。


「はいはい、エロ次郎。落ち着いて~」


「おい、空音そらね!!」


 怒られたが、次郎が悪いんだからな。


「ちなみに僕は午前2時、寝たよ。読書してたんだ」


 強司が話題わだいを変えてくれた。


「読書か、何の本?」

俺がその話題に乗る。


「ラノベだよ。僕、最近、はまってるんだ。マイブームっていう奴」


 強司が読書好きだって知っていた。毎日、時間があれば読んでいるらしい。


「へぇ~、何系?」


「転生とか転移ものだね」


「俺もそういうの好き」


 ラノベは俺が中学2年生から好きだったな。一時期、転生、転移ものばかり読んでいた。


「読書かぁ、まあ、おれはあまり得意じゃねぇな。てか、お前って、確かショートスリパーだよな」

次郎が問う。


「そうそう、3時間くらい、寝れば十分だよ」

強司は笑顔で頷く。


「3時間とか、ヤバいだろ!」


「ふふ、スゴイだろ?」


「そんだけしか寝てないのに、クマもできてないし、むしろ元気なのが不思議だよ」


 俺がそう言うと。


「まあ、僕は元気100倍になれる魔法が扱えるからね。3日間、フルに活動できるよ?」

 強司は答える。

 そんな魔法があるんだな。


「そういえば、いつだか、その魔術をかけてくれたな」

次郎は腕を組む。


「そうなのか?」

へぇ~、そんな魔法をかけてくれたんだな。


「元気すぎて、5日間は眠れなくなる。ちょっとした地獄だったが」

 次郎は苦笑くしょうし、遠い目をする。


「ヤバいね」

そんな魔法、かけられたくない!


 強司は「ふふ」と笑い。


「空音もよかったら、魔法かけてあげようか?」


遠慮えんりょします!」


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