第14話 ページ27.28 梅ロールのネーミング決定
「母さん、それが良いんじゃないか。和歌山の梅を使ってると言わなくても伝わる名前だし、むしろ和歌山の人も食べたくなるんじゃない?」
「そうだね。紀州梅ロールで決定だね」
親子での新商品のネーミング会議なんてこんなものだ。決まるときは直ぐに決まる。二人なので賛成か反対しかないので大抵は長引かない。
健三の頭の中には紀州梅ロールを試作している時に思いついたもう一つのアイディアが浮かんでいた。忘れないようにメモに書き、食後の水出しコーヒーを飲んでいると、スマホからラインのお知らせの電子音が鳴った。
【出品の件、了解しました。美里に伝えたところ、使っていない文房具のセットがあるので出品しますと言っています】
【分かりました。森山さんが買ってくれた時はお知らせ下さい。受け渡しの時に一緒に行きます】
誠と美里の話では毎回、森山さんが購入すると言っていたので今回もそうであった時の事を考えた。そもそも健三の顔を森山が知る由もないので変装は要らない。尾行はその時で考える。商品の受け渡しのやり取りを詳細に知りたいので、出来るだけ近づかないとダメだが、元来細身の体系で身長もそれほど高くない健三はあまり目立たない。悪く言えば地味な見た目なのでそれなりに近くに居ても怪しまれることはないと軽く考えた。こうして週に一度の定休日を過ごした。
定休日明けのうららの朝は忙しい。毎日営業していれば昨日の商品でも次の日に売れるが、一昨日の商品では売れない。もっとも売れ残りがほぼないように定休日前は調整しているのだが。
「ホールケーキの予約の阿部さんのケーキ出来ました」
健三が則子に伝え、予約表のお誕生日おめでとうプレートに名前を入れ、ローソクの数
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