第12話ページ23.24 梅クリームのロールケーキ

入れ、熱めの風呂に浸かった。湯船に浸かると手足に血液が循環されるのがジンジンと伝わってくる。この感覚が健三は好きで、熱い風呂を好んだ。湯船で手足のマッサージをしながら、良い新作が出来たと喜んでいたが、美里と誠の相談事をすっかり忘れていたことを思い出した。情報が少ないので、もう少し情報が欲しい事を誠に連絡する事にして、入浴剤入りの湯船で手足のマッサージに専念した。風呂上り直後に誠にラインをした。

健三は好物の肉巻きロールを旨い、旨いと何度も言いながら平らげた。珍しくご飯もおかわりをするほどだ。朝、昼兼用のスイーツと自分で作った試作スイーツを食べただけだったので、お腹も空いていた健三は夕飯を食べて大満足した。

「昨日の夕方に来た二人は何の相談?」

「あの二人は兄弟で、ネットに出品した商品を同じ人が毎回買ってくれるから心配なんだって」

「ストーカーみたいな人かい?」

「それが商品を手渡しするらしくて、その際は兄弟で持ってきてくれて良いって言ってくれてるらしいよ」

 それから健三の知った野中家の事情を話した。

「お父さんと思ったけど亡くなってるんじゃ違うね。あんた一回顔を見てきたら?」

「それ良いね。出品してもらって、受け渡しの時について行って、森山さんって人を見に行こう」

 健三は立ち上がって、冷蔵庫に入れていた梅クリームのロールケーキを則子の前に置いた。

「ロールケーキにしたんだ。見た目はクリームが二層になって良いんじゃない。生地には粉糖をかけたら良いかもね」

 一口食べた則子は二層のクリームを絶賛した。

「今までに食べたことがないクリームの味だ

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