第11話ページ21.22 肉ロールで閃く

 健三は量販店で買ったスエットを履き、上もまた量販店で買った半袖シャツにうららの制服を羽織り作業していた。昨夜の寝る時と同じ格好で。

「夕飯にお肉屋さんの肉巻きロール買ってきたよ」

 近所の肉屋の名物総菜で、数種類の野菜を細長く切り、豚バラ肉で巻き、甘辛い醤油タレで味付けした健三の大好物が夕飯になった。

「ありがとう、マヨネーズをたっぷり乗せて食べたら最高なんだよな」

 そう言った瞬間、健三の頭の中に梅クリームを使った新スイーツの形が下りて来た。

「そうか、ロールケーキだ、ロールケーキ生地で梅クリームと通常のクリームを重ねて巻けば良いんだ」

 健三は夕飯も取らずに、一階に降りてロール生地を出し、全体にクリームをナッぺして、センター部分に来るように中心に梅クリームを絞り、外側にシャンテリークリームが覆う形でロールケーキを巻いた。断面は周りのクリームが真っ白、中心がほんのりピンク色の二層になったクリームで⦅の⦆にならないクリームたっぷりのロールケーキが出来上がった。二切れをカットし、二階に持って上がる時に窓の外を見ると、辺りはすっかり夜になっている。試作品を作ることに没頭して、時間を忘れる程だった。健三は世の中にスイーツ男子なる言葉が出来る前からスイーツ男子だった。幼稚園の頃に両親が離婚し、母と二人で暮らす事になって三十数年。うららの歴史と共に始まった健三のスイーツ男子生活だった。幼稚園の頃も、四十路直前の健三も同じ気持ちでスイーツが大好きだ。

「試作品が出来たから食後に食べて。感想も詳しく聞かせて」

 二階に上がった健三は母にカットした試作品を見せた。

「お風呂入れてるよ、先に入って」

 母に促され、試作品をキッチンの冷蔵庫に

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