第10話 ページ19.20 梅スイーツのクリームが完成
ジを食べてみると、
「もしかして……この合わせ方が正解?」
もう一度食べても、今までのより断然美味しく感じる。美味しく感じると言っても商品にして、お客様に買ってもらうにはまだまだ美味しいとは言えない。次に、梅肉ペーストと合わせたシャンテリークリームをスポンジに塗り、上に通常のシャンテリークリームを乗せて食べた。
「これだ!この味は今までにないスイーツの味だ」
健三は新作の方向性が見えてきたので、水出しコーヒーに氷を入れ一息ついた。気がつくと午後三時を過ぎていた。試作の食べ過ぎでお腹も空いていない。昼食が試作のスイーツになることはこれが初めてではない。秋には芋や栗、かぼちゃに柿に葡萄も数種ある。新作で使いたい食材が多くて毎年、健三は目移りする。
「だたいま。梅を使ったスイーツってのは出来たの?」
則子が歌舞伎から帰って来た午後五時、冷蔵庫に入れていた試作品を出して味見をしてもらった。
「梅クリームと通常のクリームが合わさってレアチーズのような、ヨーグルトのような味わいだね。悪くはないね」
「だろ。梅干しって発酵食品と思われがちだけど、発酵食品じゃないって事を母さん知ってた?」
「違うの?漬けてるからお漬物と一緒じゃないの?」
「違うんだよ。梅を使ったスイーツを作ろうと思った時に色々と調べたんだ。梅干しって塩分濃度が高いよね。だから保存出来るんだ。発酵食品の保存とはまた別ね」
「あんたは物知りだね」
「それとね、酸っぱさを生むクエン酸が健康や疲労回復にも良いんだよ」
「そんな事より服ぐらい着替えなさいよ」
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