シーズン2 The Hitman 汚職警官をぶちのめせ!!

第14話 MWF──最重要指名手配犯

 長めの銀髪、潤いのある肌、薄い唇、三白眼、碧い目。そんなカルエ・キャベンディッシュに転生してしまった少年は、激戦で疲れた身体を癒やすべく、ベッドに身体を倒していた。


(激動だったな……。まさかカルエに転生するなんて)


 カルエに入り込んで3日間。一言で表すのなら、激動の3日間だった。

 ラスボス候補のオルタナという小汚い男を殺し、情報屋のレイ・ウォーカーと出会い、この街でもっとも恐ろしい存在のひとりマルガレーテに勝ち、悪徳警官アラビカを消すと決めた。


 そんなカルエの隣には、泥のごとく眠る22歳の美人ルキアがいる。彼女は毛布を被らず寝ているため、可愛い寝顔が露わになっていた。


(でも、こんな可愛い子といっしょにいられるんだ。死にたくはないね。ルキアにも死んでほしくないしさ)


 そんなことを考えながら、カルエは眠りにつく。


 *


「──カルエ、いつまで寝てるの?」


 朝を迎え、カルエはルキアに身体を揺さぶられる。

 ただ、カルエも疲れ切っているので、狸寝入りを決め込む。


「もう昼よ? 貴方そんなに眠れるタイプの人間じゃないでしょ」


 カルエは薄目を開け、デジタル時計が12:45となっているのを確認する。きのう眠り始めたのが2時頃だったはずなので、ざっと10時間寝ている計算となる。

 というわけで、カルエは気だるさを覚えながらも起き上がる。


「目覚めのコーヒーは?」

「いまから淹れるわ。まったく、私は貴方のお母さんじゃないのに」

「そんなこと言うなよ~。おれのほうが年上だけどさ」

「男ってこんなのばかりね……」


 愚痴を吐きながら、ルキアはカルエのためにコーヒーを用意する。サイバーパンクものにふさわしい、軍隊のレーションみたいにパサパサで美味しくなさそうな朝食、基昼食も用意されていた。


「さぁーて、ニュースでも見ようかな」

「もう、らしくもないとツッコむのも面倒だわ」


 らしくもない行動を繰り返すカルエに呆れるルキアを横に、カルエはベッドに座りテレビをつける。


『速報です。ウィング・シティの最重要指名手配犯が更新されました』

「んん?」カルエは間抜けな声を出す。

『新たに最重要指名手配犯──MWFに指定されたのは、『カルエ・キャベンディッシュ』です。ランクはB。メイ地区を中心に活動しており──』

「マジかヨ」


 まさかの出来事に再びベッドへ入り込もうとしたカルエを、ルキアが止めた。彼女の顔は緊迫していた。

 そりゃそうだ。ウィング・シティの最重要指名手配犯に指定されるということは、裏社会に歴然たる影響力を持つ人物だと認められるようなものだからである。そして、原作が始まった時点で最重要指名手配犯は6人いる。そのうちのひとりは、きのう闘って引き分けたマルガレーテである。


「……これからどうするつもりよ。警察も本気で貴方を逮捕しにかかるわ。貴方、マルガレーテと同列になったのよ?」

「あー、アラビカのクソ野郎が手はずを整えたのか」

「え?」

「武器取引するはずだったオルタナを消した。ヤツらの中じゃ、マルガレーテにおれは勝ってる。だったら、MWFになるのも仕方ない」

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