第48話 俊則との結婚式

この世界は異世界だしゲームが元の世界だ。

まあゲームについては私が完全に壊しちゃったから……


コホン。

それで一応乙女ゲームだから、色々おかしいけど、こういうスチル映えする場面というか施設は、それはもう大層力が入れられている。


聖教会大聖堂。


つい先日最終決戦だった場所だ。

あの時は当然被害が出ることを予想し、色々なものを片付けていた。


確かに、ここの装飾品とか頭がおかしいくらい高額なものばかりだもんね。

まあ教皇様が意外といい人で、信者からのお布施をこういうことに全振りしていたからだけどね。


あ、一応和解済みだよ?

凄くお礼も言われたし。

アイノリア嬢が礼儀正しくなったって泣いて喜んでいたからね。


まあ、私じゃなくてルルのおかげだけど。

うーん。

素直にお礼受け入れられない気分なんだよね。

だってあの子……


完全に覚醒しちゃったし……

百合に。


まあ個人の自由だし、私もその、き、気持ち良くなったから……

アイノリア嬢……あの子もやばい。

あうう。


何はともあれそういうわけで、凄いんですよもうキラキラで。

私も地球で38歳だったけど、やっぱりこういうの憧れるのよね。


※※※※※


「うわー凄いな。ここで舞奈と結婚式挙げるのか……なんか夢みたいだ」


俊則が呆けた顔でつぶやいた。

嬉しそうな顔に私は安心した。


「以外。俊則もっと質素な方が良いかと思っていたけどね」

「うん?あーそうかも。でもさ……奇麗な舞奈がさ、ここで見れるんでしょ?最高だよね」

「あ…うう……もう♡」


俊則が優しい顔で私を見てくれる。

それだけで私はときめいてしまう。


「ねえ舞奈。……ありがとう」

「えっ?なに、突然」

「うん。言ってみたかっただけ。ううん言わせてほしかったんだ。大好きだよ。俺に希望をくれた舞奈が、世界で一番好きだ。……3股の悪い男だけどね」


照れて顔を赤くする俊則。

もう、ズルい。

可愛い♡


「もう、ムードないよ?3股とか言わなくていいの。今は……私だけ見てほしい」

「うん。……舞奈、キスしたい」

「ん…ん♡……んう♡……んん♡……はあ」


そして優しく髪を撫でてくれる。

優しい目が私を見ている。


「ああ、可愛い。舞奈、可愛すぎるよ?もう離したくない」

「あう♡……もう、好き♡」


ああ私たぶん。

ずっと慣れないと思う。


大好き過ぎて……幸せ。


※※※※※


「はあー♡素敵です。ロナリアお姉さま」

「キレイ♡……あーあ、やっぱり舞奈さんに勝てる気しない」


私たちは今二人で誓いを終え、皆が待つ大聖堂へと二人腕を組み出て来た。

二人少し緊張しちゃったけど、教皇様が凄く優しく教えてくれて、問題なく儀式を済ますことができた。


今からお披露目が始まる。


「ロナリア、奇麗よ。とっても。……シュラド様。娘を泣かせたら、たとえ勇者様でもわたくし許しませんからね」


お母様が最初に私たちのところへ来てくれた。

とても3児の母とは思えない美しく可愛らしいお母様。

私は涙が浮かんでしまう。


「もう、ロナリア、ダメよ。せっかくのお化粧落ちちゃうでしょ?もう、可愛い私の娘、幸せになるのですよ」

「はい。お母様。……貴女の娘で良かった」

「っ!?もうっ、お母様まで泣いちゃうじゃない。全く……ありがとう」

「はい」


「おおう、ロナリア~、ぐふっ…ヒグウ…」

「ははは、は。ありがとうお父様」


あー、お父様大変なことになってるわー。


「ロナリア、シュラド様、おめでとう」


そこにすっとお父様を隠すように現れるお兄様。

まあ、ハンカチお父様に渡しているわ。

相変わらずスマートね。


「ありがとうございます。お兄様。ラナお姉さまは……無理ですよね」

「ああ、もうかなり目立つからな。…おめでとうと伝えてほしいと言われているよ」

「はい。あとでお手紙書きますわ」

「ああ、喜ぶだろう。……中の君の事を俺は知らない。でもお前は俺の可愛い妹だ。これからも仲良くしてくれると嬉しい」

「っ!?……いつから…」

「ん?ああ、お前が馬の事故で亡くなって…起きた後からだな。エスコートを頼まれたときか」


はー、やっぱりね。

この人はあり得ないくらい優秀だったわ。


「それでも妹で良いのでしょうか」

「当たり前だ。母上が認めている。他に何か必要か?まあ寂しくはあったがな。でもお前が生きていることが俺は何よりうれしい」


ああ、この家族は…

私転生してきて本当に良かった。


「お兄様、カッコよすぎです。もう、惚れちゃいますよ」

「ははっ、嬉しいが俺はラナ一筋だよ。シュラド様、可愛い妹を頼みます」

「はい。絶対に幸せにします」


※※※※※


そのあとも皆から祝福され、私たちのお披露目は終わった。

私たちは本当に幸せ者だ。


※※※※※


侯爵邸に帰ってからもそれはもう盛り上がったよ。

はあ、絵美里もルルも、メチャクチャ可愛いんだもん。

ちょっと心配しちゃうくらい。


俊則もデレデレしてるしね。

もう。


……でも許してあげる。

だって。

絵美里もルルも。


とっても幸せそうだったから。


あー、やっと一区切りだね。

色々あったけど……


幸せだ。

うん。


私生まれてきてよかった。

もう会えないけど地球のお母さんとお父さん。


大好きだよ。


地球の私……

あんたもいい加減幸せになってね。

私はもう。


とっくに幸せなんだから。

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