第8話挨拶

だが、コレで終わりではない。翌日出社し佐野にプロポーズの事相談せずに行動した為うまくいかなかった事を報告した。


---よっちゃんと結婚⁉︎驚いた。

---お前がよっちゃんって言うな。


皆田の手刀を受け、佐野はこう言った。


---とにかく、おめでとう。


頼子はずっと結婚したかった。両親が喜ぶから。ただ、こっちから言うのは恥ずかしい。皆田を見ていてもプロポーズしそうにないし。そして、ネットで調べた。結果、次のデートで欲しい指輪とサイズを決めよう。さりげなく結婚をチラつかせ、その気にさせる。あたかも、自分で思いついたように。


デート当日、指輪を決めてサイズも測って、今すぐ作ったところで2カ月かかると言われた。2か月後はクリスマスが近い。プロポーズするには完璧なシチュエーション。頼子は当日が、楽しみだった。


そして当日、佐野からアドバイスをもらっていた事を言って欲しかった。しかし、レストランに入った挙句、英語が読めないときた。そして、ツリーを見てその綺麗さに感動してる時にトイレ…いよいよかと思いきやガチのトイレだったらしく、スルーされ、イルミネーションも大混雑でスルーされ。今年のクリスマスは無いかと落ち込んでる時にプロポーズホントはすっっごく嬉しかった。感情を表に出せないけど、完全に出し抜かれたけど、嬉しかったよ。と思った。

 


---しかし、問題はお父さんにご挨拶だな。

---そういえば、同棲も言ってない。

---それは不味いな。堀田さんにお父さんの好きな食べ物を聞くしかないそして、それを持って行くしか。


早速LINEして聞いてみた。帰ったら話すね。あと、大事な話があるの。返事を見て皆田は心辺りが無いことに気づくまさか別れ話?いや違う!と自分を納得させるしかなかった。


自宅に帰るとすでに頼子が帰っていた。


---先にご飯にしよっか。


頼子の提案に乗りつつも、しっかり聞いた。なんだか悲哀を感じる気がする。ご飯を食べつつも、緊張で喉が通らなかった。ご飯を食べ終え、頼子が話した。


---実は…


皆田が唾を飲んだ。脈が暴れてるのが分かる。

 

---佐野くんから全部聞いたの。デートにアドバイス送ってるってでもまさか、英語までアドバイスもらってるとは思わなかった。恥をかかせてごめなさい。


頼子は深く頭を下げた。


---よっちゃんは悪くないよ!むしろ、助かった。


皆田は別れ話じゃ無くて安心したが、頼子が頭を下げたので焦った。


---あと、今度の結婚の挨拶兄もくるかも…。 

---ぇえ〜お兄さんも?!

---気を使わなくて良いからね。とりあえず、父は餡子が好き。兄もかな?

こ翌日会社にて

---えー!お兄さんも来るの?お兄さんどんなか感じなの?

---聞いてなかった。お父さんだけでも大変なのにお兄さんもなんて。どーしよー。 

---とりあえず、落ち着け。お兄さんはいい。お父さんを何とかしろ!お父さんに集中しろ!お父さんの好みは聞いたか?

---餡子です。


皆田はいつのまにか敬語に。そして、弱々しく答えた。


---餡子か…じゃあラト屋の羊羹渡したら?!デパートや百貨店にあるし高級だから。

---はい、わかりました!水野の考えみたいだし


その日の夜、お兄さんはどんな感じなのか、聞いてみた。


---私の二つ上で人間ってゆうより、ゴリラに似てる。背はよっちゃんより一回り小さい感じ。肩幅広いから体重はありそう。


当日、近くのデパートで羊羹を買って電車に乗った。一回乗り継いで1時間かけて目的の駅に着いた。この距離を毎日往復よっちゃんすごいなと皆田は思った。

めかし込んだ2人は化粧が取れないうちにタクシーに乗った。時間より少し早めに着いた。

家に着くと母親らしき女性が迎えてくれた。


---どうぞ上がって遠かったでしょ。お茶を用意するからリビングまで来て。ほら、頼子突っ立ってないで案内しなさい!


居間に着くと、背中で顔は見えなかったが、男性が2人座ってるのを確認した。


---早かったじゃないか。


恐らくお父さんであろう男性から発せられた一言だった。


---そうなの。この時間でいいって言ってるのに、早く行こう早くいこうって


普段、遠慮せずどんどん言ってと言ってはいるが、この時ばかりは少し黙っててと思った。


席につく前にやラト屋の羊羹を渡した。自分からお父さんであろう男性に手渡しで渡した。緊張して相手の目が見れなかった。渡す手が震えた。昨日一応練習した通りに渡した。

お互い自己紹介を終え、イスから離れ床に両手をついて皆田がきりだした。


---娘さんと結婚させてください。必ず幸せにします。


声が裏返らないか心配だったが、ハッキリクッキリ言えた。


---お座り下さい。

---はい。



素直に言うことを聞いたが、初めて緊張で汗かいた。


---だーはっは!ダメだ我慢できん。


皆田は状況が読めなかった。呆気に取られた。


---いやね、威厳のある父親を演じたくてね。そんな固くならんでいいよー。

---失敗したね親父。

---かあさん、ラト屋の羊羹頂いたのでお出しして!

---オレ、ラト屋の羊羹大好きなんだ。ありがたい。


お兄さんは見た目は厳ついが、優しそうだ。


---結婚のことだが


頼子さんのお父さんが口を開いた。


---ホントに頼子でいいのか?


あれだけおっきなお父さんが弱々しく見えた。

---もちろんです。なぜそんなことを?


早く帰りたいと思っていたが、思わず聞いてしまった。


---頼子はもうすぐ30だろ?家に彼氏どころかお友達すら連れてこない。不満があるのかと思って一度聞いてみた。お節介と知りながら。頼子は、他人とのコミュニケーションが苦手だと。30近くなって言うセリフとは思えなくて心配だったんだ。そしたら、皆田君が現れてね。大変感謝しているよ。清も1人身で家から出ないし。困っていたんだ。

---1人身で悪かったな!

---頼子は何で皆田君を選んだのかね?


そういえば、聞いてなかった。よっちゃんの気持ち。


---選んだってゆーか、頼仁さんはドジだけどリーダーシップはあるし、責任感は強いしお父さんは昔から自分の足で立って歩けって言うけど、私は頼仁さんを支えたい。そう思ってる。

---はいはい。堅苦しいあいさつはそこまでにして、頂いた羊羹をみんなでいただきましょう。


お母さんがお盆に緑茶と羊羹を乗せ現れた。


皆田は早く帰りたいと思っていた。羊羹は美味しかった。

お父さんもお兄さんも良い人で良かった。皆田は安心したが、早く帰りたかった。話が盛り上がり頼子の幼少期のアルバムを見たりついつい長居してしまったが、皆田は早く帰りたかった。そして、夕飯前に帰った。食べてけと言われたが、丁重に断った。


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