第33話


日曜日に、俺は晴と一緒にショッピングモール前で茨木家の女性陣を待っていた。


先日、妹の晴はメイクを妲己さんから習っており、今日は、晴に合う服を見てもらう予定だ。


「アニキ〜、ところで、カレンダーでは、日曜はその週の一番前にあるじゃん。だけど、週末って言うのはなんでなの?」


「どうしたんだ?いきなりそんなことを聞いてきて?」


「アニキは小さな頃、疑問に思わなかった?ウチは小学生の頃から疑問に思っていたよ。」


うん。妹よ。そんなに昔から疑問に思っているなら自分で調べた方が早く解決すると思うぞ。


「基本的には某宗教の救世主が日曜に復活したから、週が始まるのが日曜ってなっているはずだな。後、労働基準法でも週の始まりは日曜始まりになっているから、カレンダーもそうなっているんじゃないか?」


「へー。アニキ詳しいな。」


「いや、最近はネットで調べたらすぐに分かるぞ。妖怪の名前なんかも見た目で検索したら一発で分かるぞ。」


「何でいきなり妖怪の話が出てきてたの?」


妹が不思議そうな顔をする。


「最近、ちょっとな。」


皆も『妖怪 肉の塊』で検索してみよう。


俺は言葉を濁して、腕時計を見て時間を確認する。

もうそろそろ約束の時間だな。


「あ!アニキ!玉ちゃん達だよ!」


おっと、茨木家は電車で来た俺達とは違い、自家用車で来たらしい。

母親である妲己さんがいるとそうなるわな。


因みに俺達の両親については、今日は2人でデートをするらしい。

仲がよろしいこって。


俺は手を挙げて茨木家の面々に位置を知らせる。


晴は親友の玉藻ちゃんと会えるのが嬉しいのか、両手をブンブン振っている。


「おはよう。忠明くん。」

「忠明兄さん!おはようございます。」


「おはようございます。玉藻ちゃんもおはよう。あれ?今日は紂さんは来なかったんですか?」


俺が妲己さんに茨木家の父親である紂さんのことを尋ねると、


「今日は忠明くんがいるから、荷物持ちは任せたって言っていたわよ。」


やはり、山ン本五郎左衛門の顔から女性の声がするとかなりのインパクトがあるな。


「今日は晴のための買い物だから、荷物持ちは問題ないですよ。」


その横にいるぬっぺっぽうと毛羽毛現の2人(2妖怪)は今日は仲が良さそうにしていた(多分)。


俺の目では、2妖怪の表情は分からないので雰囲気くらいでしか判断できないのだ。


ぬっぺっぽうの葛葉が


「おはよう!忠明!今日は久しぶりのデートだね。」


などとふざけたことを言っているので、


「どこをどう見たらデートになるんだ?」


俺が呆れて、葛葉に尋ねると


「好き合う2人が出かけたら、それはデートでしょ。」


「自分の母と妹がいるのにぶっ飛んだ発言をしていると思わないのか?そもそも、『好き合って』はいないだろ。」


「障害があればあるほど、愛は燃えっ!」


と葛葉が言うと、後ろから妲己さんと玉藻ちゃんのチョップと髪の毛の触手攻撃が、葛葉の頭に振り下ろされて発言が止まる。


「姉さん、いい加減にしてください。今日は晴ちゃんの服を見にきたんですよ。」


と言って、妲己さんと玉藻ちゃんの2人で葛葉を引きずりながらショッピングモールに入って行く。


俺と晴は3人(3妖怪)の後について行く。


ショッピングモールに入ると、様々なアパレルショップに連れて行かれるが、俺はまったく知識がなく、女性物の服の店に男が1人でいるという独特の気まずさに耐えきれず、どの店にいても入口付近で待っていた。


葛葉と一緒にいて、店員さんから


「彼女さんの服を一緒に買いに来たんですか〜?仲が良いですね〜!」


などと言われるのも何か悔しいしな。


「忠明兄さん!ちょっとこちらに来てもらっても良いですか?」


玉藻ちゃんが触手の髪の毛でちょいちょいと手招き(?)をするので俺が行くと、


「この服などどうでしょうか?」


なんて言って俺に聞いてくるので、


「うん。玉藻ちゃんにとても似合うと思うよ。」


「私じゃなくて、晴ちゃんにですよ?!」


などと言って触手の髪の毛をブンブン振る毛羽毛現と話をしていると、店員さんが


「彼女さんの服を一緒に買いに来たんですか〜?仲が良いですね〜!」


と言ってきた。

うん。相手が葛葉ではないから良いかな。

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