「お年玉といえば...?」

『シュウカのお眠顔可愛い』

『素の顔は意外とまだ子供なのな』

『今までボイチェンおっさんだと思って接してたわ、すまんやで』


コメント欄の眷属上がりのラヴィがまともにコメント欄を見てすらいない半ば以上眠っている秋華に対して謝罪する。一方の一般人上がりのラヴィは、リアルでの可愛さに脳を焼かれていた。


所謂ユニコーン化こそしなかったものの、ガチ恋勢がいたらユニコーンに進化―――いや、退化していただろう。ちなみに作者はコーンアンチです。叩かれても構いません。


「えー、それでは。ちょっと所属ライバーを起こしますので、音量ゼロをおすすめします」

皆が頭に?を飛ばしている中、章は「そろそろいいか」と声を出した。同時に、他11名が耳栓をし、ラヴィが慌ててヘッドホンを取り―――そして。



「さっさと起きんかい、このクソ孫があぁァァァァァっっっ!!!!」

「ッ!?!?」

ラヴィがヘッドホンを取り終えるより早く、章の推定118dbの大音声―――いや、寧ろ爆音と形容すべき怒鳴り声が対策を施していない秋華の耳を震わせ、秋華本人が飛び起きた。


被害はそれだけではなく、当然ではあるがヘッドホンを外し切ることができなかったラヴィの鼓膜が破れるのではと思わんばかりに耳に響き、また外しきれたものでもヘッドホンから漏れ出た大音声によって家族及び隣室の人間から苦情を呈されることに。以下、一例。


「あ、シロから名前変えたシュウカだ。―――あれ?なんか見覚えある顔。...お爺ちゃん?なんでそこに『さっさと起きんかい、このクソ孫があァァァァァっっっ!!!!』御免なさいー! ゴンッ『うっせぇぞ!』すいませえんっ!」

...なんか一例が覚えのある人で、なおかつちょっと前までライブ配信していた気もするが、気のせいだろう。きっと気のせいだ。


ちなみに、イヤホンで聴きながら電車に乗って帰省帰りのある人物はもっと酷い目にあったとかなんとか。

「...あ、可愛いかも。どれどれ...『さっさと起きんかい、このクソ孫があァァァァァっっっ!!!!』―――ッ!?あ、すいません」

周りから敵意に満ちた目で見られる未来のライバー、可哀想。


とまあ、爆音叱責は割と諸悪の根源だったりする。さらに言うならば、真の意味での諸悪の根源はおととい夜からの長時間配信にあったのだろう。初代スーパーメリオノンセーブ攻略で11時間ほどで3−4まで進んだはいいものの、そこにいた偽クパオに残機だった三つを連続タテで無事死亡。その後はラヴィに2時間近くも愚痴っていたせいで長くなっている。そうすると秋華本人も諸悪な気がする。


「あ、えと...おぁようぉじゃますぅ...ふぁぁああ...。」

おはようございますすら呂律が回らずに上手く言えない秋華は、半眼で固定カメラを見つめた。ほんの僅かに見える、かつて崇めていた邪神を彷彿とさせる萌葱色の目―――ではなく、現実にあるのは黒と赤の二色が混ざったような瞳だった。


『お〝っ(尊死』

『あぁっ(尊死』

『しゅき』

『ラブ』


「ぅあ?あぁ、みんにゃ、ありゃとおじゃます...」

ラブコールにみんな、ありがとうございますと返そうとした秋華だったが、まだ眠気が残っているようだ。


「お爺ちゃん、もっかいさっきのお願いしてもいいぁな?」

わかったと返した章に、『やめて』『死にたくない』『社会的に殺される』などの悲痛なコメントが連投される。本人もそれを見たか、やめると―――秋華の頭をこづいた。

「イィッヅァァァァ!?」

視聴者の耳、部位破壊成功。


―――関係ないコラム


ラヴィの耳 RARE4

ラヴィの耳。食用にできる他、油を抽出して残りを灰として肥料に用いることもある。

―――怖っ!?



「―――ああ、みんなおはようございます。宵月シュウカ完全覚醒です。ふぁ...流石に1日寝ても半日以上の連続配信の疲れは抜けないか...若い体なのに...」


なんだか年寄りみたいなことを言う秋華。それは単純に寝不足と徹夜による疲れだろうとは思うが、その気持ちはわかる。当方15歳だが、それでも胃が非常に弱い。焼肉を少しつまんで腹を下すようなものだ。そう、体の機能は年齢に比例しない。君には徹夜配信は向いていないと言うことだ、長時間配信は諦めて昼からにしなさい(論点が違う


「―――で、確かお年玉、だったっけ?なんかするの?」

その言葉に、皆がずっこけるふりをした。そりゃそうだ、何も聞いていないのだからこんな言葉が口をつくだろう。


「何も聞いていなかったのか?」と尋ねる桜華に、「うん!正直に言うと、ちょっとイラストの素材集めてたんだ。鉄十字って難しいねー」などと言い出す始末。再び皆の頭に?が飛び交う中、Ia Iaの最後の配信を見ていた眷属上がりのラヴィは『そう言えばあんときも電波な感じだったなー』と、慣れたことと言わんがばかりの対応をとっていた。それどころか、少し優しく(比較的)新参ラヴィに昔のことを鳩(他の人の配信内容リークという意味)にならない程度で教えてあげるくらいだ。あったけぇ...。


「ここからは私が説明しますね」

と、唐突に『ホロストリーム初期メンバー紅一点・スタッフω』というプレートがかけられた女性が話し始めた。


「新年会。アットホームな感じでやる新年会といえば?そう!」

『カラオケ大会!』

「イグザクトリィ!さあ、皆さんも歌って踊りましょう!レッツ・シング・アンド・ダンス!」


―――


どうも作者です。1日一本ペースでギリギリな投稿時間ですがお許しを。

今回は懐かしいキャラが出つつ次回の配信内容も決まりましたね。『歌を歌おう!新年会楽しもうぜぇ!』楽しみにしててください。では(^・ω・^§)ノ

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