第25話 滑れない少女
「ようやく家に着いたか・・・」
もうクタクタだ・・・。
夕方だし、そろそろ飯に・・・
「ん?」(玄関に誰か座っている?)
玄関のドアを背にして誰かが座り込んでいた。
気になって玄関に近づいてその人物に声をかけようとしたが・・・。
座り込んでいたのは俺の知っている子だった。
「ま、愛菜?」
「涼兄・・・」
とりあえず、家に入れるか・・・。
◇
家に入れたこの女の子は"
俺の従妹で、小学5年生。隣町に住んでいる。
そんな愛菜が、なんで家に・・・?
「ーー家出してきた!?」
「うん・・・」
まさかの
「じ、実は・・・」
愛菜は隣町でフィギュアスケートを習っている。
実力はまあまあだが最近は実績が振るわず、その事で母親と言い合いになったらしい。
「叔母さん・・・お母さんが何を言ったんだよ・・・」
「お母さんってば・・・」
『ーー愛菜、無理なら止めても良いのよ・・・』
『何よ!私はまだやれるわよ!』
『でも、これ以上続けても・・・』
『もう良い!お母さんのばか!』
「んで家出してきたって訳か…。」
まあ、良くある痴話喧嘩だな・・・
「ところで・・・」
「ん?」
「なんでルカ姉も一緒に居るの?」
「え?」
愛菜は小さい頃に夏休み等の長期休暇で家に遊びに来ることがあった。
その為、隣人であるルカとも面識はあった。
だが、どういう訳か愛菜はルカを好きではないらしく、いつも嫌そうな眼で見るんだよな・・・。
何でだ?
それ以前に俺には気になることがあった…。
それは、愛菜の隣にある明らかに多すぎる荷物であった。
「おい、愛菜・・・その荷物って・・・」
「え?これ?しばらく厄介なるからその…」
「はあ!?厄介なるだあ!?」
何言ってんの!?
まさか
「っという事で!よろしくお願いします!」
「よろしくじゃねえよ!お前学校どうすんだよ!」
「そんなの休むわよ!」
「休む!?」
なんかおかしな方向にむかってきてんぞ・・・
ってかどうすれば・・・
「愛菜ちゃん、そんな事言ったら涼くんに対して迷惑だよ・・・」
「え?」
「ルカ?」
「愛菜ちゃんのお母さんは愛菜ちゃんの事を想って言ったんじゃない?それに、そう言ってくれる親がいるのって、幸せな事だと思うよ!」
「ルカ姉・・・」
ルカの言っている事ももっともだと思う・・・。
叔母さんが愛菜に言った事は正しい事だったと俺も思っていた。
そう言えるルカもルカだな・・・。
親の大切さはルカが一番知っていると思うし・・・。
「・・・私が間違っていたわ!私・・・やっぱり帰るね!それでお母さんにもう一度話してみる!『フィギュア続けたい!』って!」
愛菜の決心した表情を見て俺も安心した。
そう言って愛菜は自宅へと帰って行った。
ばたばただったが、何より無事に解決できてよかった。
昼間の事もあったが、今日は最後まで慌ただしかったな・・・。
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