第52話VS木野山1
ー宝樹院製薬社長室ー
ドクン!ドクン!
木野山が勢いよく自身がだした香りの術を吸い込むと木野山の身体が大きく膨れだした。
「スゴい身体だろう!この術は使った後身体にダメージが残るが身体能力を何倍にもするものだ!さらに…。」
そういうと木野山の両手からあらたに香りが出てきた。
「こいつはお前達が散々吸ってきた催眠の香りを強くした洗脳の香りだ!これで宝樹院製薬の社員から野生の鳥や野良猫まで俺の意のままだ!」
するとそれを聞いた植田は
「それを聞いてそのままにするわけ無いでしょう?」
というとポケットから種をだした
「では、結界草。」
そう植田が唱えると彼が握っていた種から何本もの蔦が出てきて社長室を包み込んだ。
「なんだこれは!」
「これは結界草です。これがあれば貴方のその洗脳の香りは外に出ることはありません。」
「なんだと!」
「さらに…鉄槍竹。」
また植田がポケットから種を出し床に落としてから唱えると今度は鉄のような見た目の先端が尖った竹が生えてきた。それを植田は抜くと木野山に構え、
「特別に教えると我ら植田家は内部調査の他に植物の改造をおこなっている家でもあります。なのでこのように自然界には存在しない植物を戦闘に使うのです。」
といった。
「ふん!植物を改造したのか何なのか知らんがお前自体は強くなって無いんだろ?だったら意味がない…な!」
「ッッッ意外ですね。貴方がここまで強いとは。」
最初は見たことのない植物が出てきて驚いていた木野山だったが強化した身体で植田の前に一瞬で移動すると植田に殴りかかった。それをギリギリで槍を使い受け流した植田は想定より強い木野山に冷や汗をかきながらそう言った。
『しかし木野山の洗脳の香りを封じ込めるためとはいえ中村さんと社長を結界草の中に取り込んでしまったのは失敗でしたね。できれば彼らは外にだしたかった。』
「おいおい余所見してて大丈夫かよ。」
「なッ!」
植田が一瞬月兎達に意識が向いた瞬間に植田に蹴りを食らわせた木野山
「弱いな。これが宝樹院家内で恐れられている噂の内部調査委員かよ!弱すぎる。噂に踊らされたか。」
「…いつまでその余裕が続きますかね。」
「じゃあ続いている間に貴様らを倒すとしようか。」
そういいながら植田を仕留めようとする木野山を見ながら、
「中村さん!本気をだすので全力で防御してください!」
と植田が言った。
「!分かりました!毒壁!」
言われた月兎が防御をしたのを確認した植田は次の攻撃に移った。
「いきます!切り花!守り木!」
と植田が種を沢山ばら蒔きながら唱えると二本の小さい木と多くの花が生えて来た。
「なんだ?ピクニックでもしたいのか?」
と笑いながら植田に近付こうとした木野山にむかって
ヒュンッ!
と何かが飛んでいった。
「あ?」
と言いながら木野山が後ろを見ると壁に花びらが力なく刺さっていた。
「…この切り花は刃物のように鋭い花びらを打ち出し生き物を狩り栄養を得ようとする花です。」
「なら刈り取れば良いだけだ…!!」
切り花を刈り取ろうとした木野山だったが切り花に近付くと花の中に植えられていた木が鞭のようにしなって木野山を攻撃した。
「それは守り木です。生えてきた時に一番近くにある草木や生き物を攻撃しようとした物から守る植物です。」
そういいながら植田は自分の近くにも守り木をはやしながら
「ここは室内なので十分な大きさではなく小さいですがそれでも厄介でしょう?」
といった。
そう植田にいわれている最中にも切り花に襲われ続けている木野山はイライラした様子で切り花の攻撃を躱していた。
「ふん!腐っても内部調査委員か。最初は弱いと思っていたがやはり強いな。」
「そうですね。中には貴方のように暴れる方もいますからね。」
「…どうせまだ手札はあるんだろ。」
「ええ。この程度まだまだですよ。」
そういわれると不機嫌そうにしながら木野山は植田に言った。
「なら本気で来い!こんな花と木で勝てると思うなよ!」
それを聞いた植田も
「では、全力でいきます!」
といった。
それを毒壁の中から聞いていた月兎は思った。
俺たちのこと忘れてない!?!?!?…と。
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