第51話会議中
ー宝樹院製薬社長室ー
「で?契約書にサインをしてくださるんですよね?」
「その前に契約書を見せてください。」
「はぁ。どうぞ。」
社長が契約書を見せてくれといったことにイライラしたように契約書を机に滑らせながらこちらに渡してきた木野山。
改めて契約書を見るとやはり月兎達の会社が持っている権利をほとんど宝樹院製薬に譲渡するという内容だった。
「木野山社長。この契約書は余りにも横暴じゃないですか?どうでしょうここは元々そちらがほっしていた権利だけそちらに譲渡するというのは…。」
「何を寝ぼけたことを。その段階はとっくに過ぎてるんですよ!」
バン!
となんとか条件を良くしようとしていた社長だったがそれを押さえるかのように木野山は机を叩くとそれと同時に香りが強くなった。
その匂いを嗅いだ瞬間。それまでは木野山に抵抗していた社長が
「そうですよね。分かりました。書きましょう。」
といきなり木野山に賛同しだした。
「分かったら早くしてくださいよ。」
「はい。」
社長は、賛同するとニヤリと笑った木野山にいわれるままに契約書に名前を書いた。
「よし。ではもう帰っていただいて結構ですよ。」
社長が名前を書いた瞬間に契約書を取り上げると木野山はそういった。
すると今まで気配を消していた植田がスッと前に出てきた。
「残念です。木野山社長。」
「?誰だお前は?」
「その前に。」
と植田が木野山に正体を現す前に合図をしてきたので月兎は社長に近付き
「社長すいません。」
「?中村君。一体何を…ZZZ。」
と睡眠毒で眠らせた。
それを確認すると
「では改めて。私は植田ともうします。宝樹院グループの内部調査委員を勤めています。」
と自己紹介をした。
それを聞いた木野山は
「内部調査委員だと!…聞いたことはあったがただの噂話、眉唾物だと思っていたが実在するとは。」
「木野山社長あなたには非術士に対する違法な術の行使また、違法な事業の手続きの実施によって宝樹院製薬の社長の座から降りていただくことが決定しました。」
「何を!この事を御当主様は知っているのか!」
「ええ把握しています。」
そう植田に詰められ慌てていた木野山だったがふと寝ている社長を介抱している月兎を見るとニヤリと笑った。
「おい植田!貴様一般人がいるのに術士の話をしたな!それも重大な違反行為だぞ!黙っててやるから俺の件も黙ってろ!」
と自信満々に言う木野山にため息をつきながら植田が詰め寄っていく。
「だからこの件は御当主様も知っているといったでしょう。しかも彼は一般人ではありません。」
と植田が教えるとあてがはずれた木野山は呆けていた。
「い、いや、そんなはずは…こいつのことおれは知らないぞ!」
「金儲けにのめり込みすぎましたね彼は最近数十年ぶりにでた一般からの術士ですよ。かなり話題になったんですけどね。」
「そ、そんな。」
そううなだれている木野山に改めて植田が
「そういうわけで改めて言いますが木野山さん。あなたはたった今より宝樹院製薬の社長から降りてもらいます。今後あなたは宝樹院家の本家にて処分が下されます。おとなしく着いてきてくださいね。」
そう言いながら木野山に近付いていく植田。
すると、
「フフフフフ。ハハハハハ。どうせ本家に送られれば人知れず消されるだけだ。ならば!たかが香りだと!宝樹院の面汚しだとバカにされ続けた我ら木野山の!底力を見せてやろう!」
そう木野山が言ったとたんに木野山が漂わせていた香りが木野山を羽衣のように纏まった。
「貴様ら宝樹院は香りの術をバカにしていたが香りの術はバフからデバフまで応用が効く術だ!内部調査委員だかなんだか知らないが簡単には捕まらんぞ!」
そういうと木野山は深く息を吸った。
ドクン!ドクン!
息を吸った木野山を見た破月が
『主よ。戦いの準備をしておけ。こやつ恐らく今まで戦ったもののなかで一番強いぞ。』
(真二さんより?)
『あやつよりだ。』
そう破月に言われたのでいつでも戦いに参加できるように準備をし始めた月兎だった。
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