第15話 夜のお仕事

1年分の家賃を2カ月後には出さなきゃいけない。

そのお金を全部リーはスポーツギャンブルに使い果たした。

2カ月で払う為には今のバイトではどうしようも無かった。

高収入のバイトを探し、バーのお仕事。

当時は時給580円でレストランで働いていた私には、バーの時給1500円が倍以上のお金を稼げる事に衝撃を受けた。


お酒を好まず弱い私が夜のお仕事をするなんて…。

セクシーな服装と濃いめの化粧とアクセサリーを身に着け、毎日のようにお酒を浴びる日々が続いた。寝る間も惜しんで働いた。リーも車の装備のお仕事が終わると、夕飯だけ食べたら直ぐにコンビニバイトをするようになった。


期限を2週間延長してもらい、なんとか払い終えた家賃。

お互い頑張ってやっと終えた返済にあの出来事が一瞬記憶に消えたのか、リーとお疲れ様って言っていたまともじゃない私。


スパルタな日々を過ごしすぎて、もう感情が麻痺してたんだろう。

唯々成長していくリーを家族のように思っていた。


ここまで悲劇が重なったんだ。

これからは良いことしかないだろう。

生涯の中で一番つらい時期を乗り換えたとなぜか知らないけれど、勝手に思い込んでいた。無駄にポジティブだった私が起こした取り返しのできない20代。

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人間の皮を被っていただけだったのかも エスケープ @escape03

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