第11話 S級クエスト受注しちゃった!?

 やる気に満ちたルイさんとは対照的に、消極的なエマさんとスピカさんはルイさんを説得しようと試みる。


「なにいってんねんルイ! 二つ返事で了承していいクエストちゃうでこれ?」


「そうよ、頭湧いてんの!? 4人でどうにかできる問題じゃ―――」


ルイさんは2人の会話を遮るように話始めた。


「教会の人達が大切にしている物を奪うなんて、許せません! 神父さん、私が絶対取り返しますんで!」


ルイさんは凄く意気込んでいる。


両手をグッと握りしめ、その眼は真剣そのものだ。


僕はルイさんが積極的なのを見て、感動しそうになる。


こんなに積極的にクエストに前向きになってくれるなんて、


なんていい人なんだルイさん!


僕も何か手助けできることを探さないと!


「わかりました、神父さん、この依頼引き受けましょう!」


「おぉ、ありがとうございます。助かります」


神父は立ち上がり僕の手を強く握りしめた。


「マジか、え、ほんまに行くん!?」


「あぁ~、入るパーティ間違えたわぁ」


「えぇ、そんなこと言わないでくださいよスピカさん~」


「ジード盗賊団はこの付近に潜伏していると聞いています。たしか大きな空き家に拠点を構えているとか」


「わかりました、それでは少しの間お待ちくださいね、それでは行きましょ……ん? あれ? ルイさんは?」


気付くとルイさんの姿が見えない。


「あれ? さっきまでいたはずやけど……」


「もう、行ったんじゃない? 1人で」


そんな!


せっかく仲間になったのに、ルイさん1人で行ったのか!?


「ここから大きな空き家ってどこにあるんでしょうか?」


「山のふもとに元資産家の屋敷があるはずです。資産家の方が亡くなってからは買い手がいなくてずっと空き家だったと思いますが……」


「おそらくルイさんはそこに向かってます、僕たちも急ぎましょう!」


「ったく、ルイのやつ、1人で行くとか馬鹿じゃない?」


「今はそんなこといったってしゃーないやん、ほら行くで!」


エマはスピカの腕を引っ張り、半ば強引に連れて行った。


僕たちは元資産家の屋敷に急いで向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る