第16話 僕と彼女

ティナが部屋に入った頃。

僕とウェンディは僕の部屋で、ベッドに腰かけていた。


「あの女と一緒のパーティなんて反対~~!」


そう言って、ウェンディは拗ねている。

彼女の様子がおかしい様な・・それは僕もか。


はぁ~。

ウェンディはため息をつくと、僕に近寄ってきた。

あれ?距離が近い・・・。


「はっきり言わないと解らないのかな・・私トワの事が好きなの」


「え?「「ええええ?」」


「そんなに驚かなくても良いじゃない」

「だって・・弟って思ってるってばっかり・・」


びっくりした。

まさかウェンディが僕の事好きだなんて。


「それで・・トワには他の女が近づいてほしくないのよ・・私の勝手な言い分だけど・・。でもトワはあの少女気に入ったみたいだし?」

「あ・・そっか。そうだよね。うん」


ドキドキして顔が熱くなる。

心臓の音がうるさい。


「えっと・・トワは・・」


じっと僕を見つめるウェンディ。

静かに返事を待っているようだ。


「僕も好き・・実は最初に見た時から・・」


僕は彼女の瞳をじっと見つめていた。

透き通った水色の瞳に吸い込まれて、引き寄せられる。

彼女は目を瞑り、僕は彼女にキスをした。




コンコンコン。


ドアがノックされて意識が現実に引き戻される。


「トワ様、話したいことがあるのですがよろしいですか?」


訪問者はティナのようだ。

僕は腰を上げて、ドアを開いた。


「どうしましたか?」

「ちょっと、ご相談が・・あら、先客がいらっしゃいましたのね。失礼しました。また後に致しますわ」


ドアの隙間から、ウェンディの姿を確認した彼女は遠慮したのだろう。

自分の部屋に戻って行った。


「邪魔入っちゃったね」

僕はドアを閉め、ベッドへと戻った。


「続きしよ?」

ベッドに戻るなり、ウェンディが僕を押し倒した。

え?

ええええ?


その後、誰か訪ねてくると困るので僕は慌てて部屋のドアが開かないように魔法をかけ、防音の魔法をかける。

ウェンディが意外と積極的で驚いてしまった。

これが普通なのか?





数時間が立った―――。

なんか、部屋もこの際一緒で良いんじゃないかな。

良いよね。

恋人になったんだし。

ウェンディは安心した様子で、穏やかな表情になっていた。

隣で、すうすうと寝息を立てて寝ている。


いつの間にか深夜になっていた。

そういえば、ティナが後で話があるって言ってたけど悪いことしちゃったな。

まあ、明日聞けばいいか。

僕はそっと部屋を抜け出し、外に出た。


この世界にも月があって煌々こうこうと町を照らしている。

満月は明るくて好きだ。


「邪魔して悪かったですわね」

振り向くと、いつの間にか後ろにティナが立っていた。


「ああ、別に大丈夫だったよ・・」

(その後・・色々あったしね)

「彼女さん大切にしなさいな。わたくしが言う事でもありませんけど」

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