六十五話 鍵




 アニスはすぐにジョーンズの後を追った。

 ジョーンズは、メランポードへと向かっていく。


 メランポードは、フェンネルの持っている鍵を奪おうとしていた。

 フェンネルは攻防しようと彼の杖が剣へと変化した。たちまち、二人の激しい打ち合いが始まった。


「助太刀するっ」


 その時、森の中から狼にまたがった魔法使いフランキンが現れ、彼もメランポードに向けて攻撃をした。フランキンの攻撃で、メランポードの体が吹き飛ばされた。しかし、彼女は飛ばされざまにフェンネルに切りつけた。フェンネルの腕が切られ、鍵が地面に落ちる。


「お師匠さまっ」


 フェンネルの手から落ちた鍵をジョーンズが拾った。

 メランポードは、タンジーの姿に戻り、ジョーンズに駆け寄った。


「ジョーンズ、ねえ、その鍵を渡して」


 ジョーンズがびくっとして立ち止まる。その一瞬の隙に鍵を奪った。


 ジョーンズは茫然としていた。

 何が起きているのか、彼には理解できていないようだった。


「鍵を返してっ」


 アニスは、タンジーに向かって魔法をかけた。

 森にたくさん群生している蔦を巻きつかせる。

 簡単にはほどけない蔦でぎゅうぎゅうにされたタンジーは、ジョーンズに助けを求めた。


「助けてっ、ジョーンズっ」

「アニスっ、やめろっ」


 ジョーンズがハッとして、アニスの手をつかんだ。


「離してっ」


 アニスがジョーンズを振りほどこうとすると、鍵が光り輝き、ノアの姿が現れた。


「兄上っ」


 ノアは人間の姿に戻るなり、地面にがくりと膝をついた。

 ジョーンズは、アニスのそばに立つ男を見て、あっと声を上げた。


「ノア……?」


 ノアの姿を見て、ジョーンズは頭を押さえた。


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