三十一話 誓約と糸口と
対抗魔戦の舞台である魔法闘技場。
予選一組。
誰もいなくなった闘技エリア。
いつの間にか<
ただ、既に生え終わって、闘技エリアのすべての生徒を駆逐し終えた<暗闇君>は、まるで自身の勝利を祝うかのように、闘技場の上空で群れとなり、円の軌跡を描くように周回を始めていた。
観客席の生徒たちが見上げた先には、無数の集団となって弧を描く<暗闇君>と、今ではすっぽりと青空を覆い隠した曇天。
先ほどまで熱狂が支配していた闘技場。
それが今では冬の厳しい寒さを生徒たちに伝えていた。
それは寒さか、恐怖か。
生徒たちの顔色は優れなかった。
沈黙が観客席を支配する中、ミュールがシトラスに囁く。
「おい、合格者なし、って嘘だろ?」
シトラスは、それには答えずに真剣なまなざしで、宙を周回する<暗闇君>を見つめ続けている。
貴賓席にいた大会責任者のアペルが、闘技場の中心部に降り立つ。
アペルは拡声魔法を使うと、まるで何事もなかったかのように次の組の招集を始める、
『……では次の予選二組の方は、これから私が作りますので、闘技エリアに――』
「――先生ッ!!」
一人の生徒が、アペルが立つ貴賓席に向かって声を張り上げた。
その生徒はミュールと同じ気持ちになったのだろう。
彼は、座席に座らずに最前列の防護柵から身を乗り出して、一組目を応援していた男子生徒のうちの一人。
闘技場エリアと観客席の境界線に貼り付くように現れた<暗闇君>によって、腰を抜かすことになった生徒が多い中、耐えたその生徒は肝が据わっているのであろう。
その男子生徒は言葉を続けた。
「予選一組の合格者なしッ、ってどういうことですかッ!! あんなのッ、初見殺しじゃないですかッ!! 私たちはッ、あんなよくわからないッ、児戯染みた魔法と戯れるためにッ、ここまでッ、研鑽してきたわけじゃッ、ないんですッ!!」
感情的になる男子生徒に対して、
『言い分はわかります。しかし、冒頭で説明しましたよね? 今年度は
落ち着いて言葉を返すアペル。
「そんなッ!? 私たちが一年間ッ、いやッ、これまでの学生生活でッ、対抗魔戦と魔闘会に向けてッ、どれだけ熱意と努力を割いているかはッ、先生もよくご存じでしょうッ!?」
悲痛な声を上げる男子生徒。
対して、アペルはただ淡々と言葉を返す。
『はい。それは十分に存じ上げております。……同様に貴方たちも私たちがどれだけ熱意と努力、知識を持って生徒の皆様の成長に寄与していることを御存じいただいていると思います。私たちの与える知識、経験はともすれば、時に生徒の皆様にとっては理不尽に、辛い痛みに感じられるかもしれません。ですが、成長には痛みを伴うものです』
「そんなッ、それで私たちがッ、納得するとでもッ!」
なおも喰い下がる男子生徒だが、
『あー。もう五月蠅いな』
アペルでも、声をあげた男子生徒でもない、第三者の声。
それは普段の彼からは想像もつかない声音であった。
彼は、貴賓席の奥から姿を現した。
色を忘れてしまったかのように白い髪と真っ白な瞳。
新入生と比べても小さな体躯に、幼い顔立ち。
白髪は床に届こうかという長さで、その中性的な容姿と相まって、少女と言っても違和感のない容姿を持つ人物。
しかし、その幼い見た目とは裏腹に、学園における最高権力者――ネクタル。
彼は貴賓席の防護柵ギリギリに立つと、その無垢な顔立ちを、声を張り上げる男子生徒に向けた。
そしてその瞳が男子生徒を捉えると、
『君は退学ね』
その一言は、言われた男子生徒を含めて、魔法闘技場にいる者のほとんどの生徒を硬直させた。
真っ先に反応を見せたのは当事者である男子生徒。
「へ? あッ? え、え、あッ……え?」
言葉にならない言葉が彼の口をついて出てくる。
その直後に、ネクタルの発言を理解した他の生徒たちから、この日一番のどよめきが生まれた。
アペルが貴賓席を見上げると、
『こ、校長。退学は……』
それに対して、覗き込むように貴賓席から闘技場に立つアペルを見下ろすネクタルは、
『えー。だって面倒くさいじゃんー。僕たちが生徒のためにがんばって色々やっている、っていうのにそれに対して文句を言うなんてさー』
『彼も校長の設けた規則を破ったわけではありませんので……。今回はなにとぞ、なにとぞ』
衆人の前で頭を下げるアペルにネクタルは、
『まー、アペル先生がそこまで言うなら……。ごめんね、君。退学はなし!』
先ほどより大きなどよめきが魔法闘技場内に生まれる。
生徒たちの退学の決定、取り消しが校長のさじ加減だということに。
いともたやすく行われるえげつない行為であった。
当事者である男子生徒は、腰を抜かして通路に倒れ込んだ。
『ただ、この機会に規則を増やすね」
それは学園の敷地にいる、すべての生きとし生けるものすべての脳内に響いた。
≪学園で正式に定められたルールに基づく結果に、異議申し立てをしてはならない≫
その直後、魔法闘技場の頭上に見える空が、一瞬だけ虹色に輝く。
たまたま空模様が視界に入っていた生徒は、その光景に二度見をする。
二度目に見たときには、空は変わらず曇り空で、ほとんどの生徒は気のせいかと気にも留めなかった。
しかし、シトラスは違う。
瞳を抑えると、声を押し殺して、悶え苦しみ始める。
すぐに両脇のメアリーとブルーがその異変に気がついた。
「シト、大丈夫?」
「シト? シト?」
二人は心配そうにシトラスの肩や背中をさする。
シトラスとはメアリーを挟んで座るミュールも、心配して身を乗り出してきた。
「おい、シト。何があった」
シトラスの顔を覗き込んだミュールが、瞳を抑えるシトラスに気がついた。
頭に響いたネクタルの不思議な声が、一種の魔法の呪文であった可能性に辿り着いた。
周囲の生徒に聞こえないように、シトラスの頭を胸に抱え込むように抱きしめた。
その耳元に口を近づけ、
「魔力視だな。魔眼で何か見たんだな?」
と囁くと、シトラスは涙を流しながら、立て続けに何度も頷いてみせた。
ミュールは抱えこんだシトラスの頭を物理的に開放する。
精神的に頭を抱える番であった。
「くそっ、よりにもよってこのタイミングでかよッ」
頭に響いた声に気を取られ、観客席全体がざわめいていたおかげで、シトラスの不調は目立っていなかった。
しかし、ざわめきが収まれば、体をよじって痛みに悶えるシトラスに注目が集まることは当然なわけで、
「おいッ、メアリー、ブルー。シトに肩を貸せ。ここを離れるぞ」
次第に周囲の注目を集め始めたので、シトラスを観客席から退避させる。
魔法闘技場の施設内部の通路。
メアリーとブルーが肩を貸して、シトラスをとりあえず人目のつかない場所に連れてくることができた。
ミュールはブルーの優れた五感を頼りに、
「ブルー、急いでアドニス先生を探してきて貰えるか」
メアリーには、
「あの人たちは気づいているとは思うが。念のため、ベルガモットかヴェレイラを探してきて貰えるか」
メアリーが視線をまっすぐに返してくる。
その視線は、なんで私が……あんたが行きなさいよ、といわんばかりだ。
ミュールは一つ息を吐くと、真っ直ぐにその視線を見つめ返し、
「俺がいない間に、誰かここに来たときに上手いこと言い訳できるのか。――おっと、暴力はなしだ。それに対応を間違えると、シトはこの後の予選に出られなくなる。その意味、お前ならわかるよな?」
大きな瞳をさらに見開いたメアリーは、
「待ってて」
と言って、いまだに瞳を抑えて苦しむシトラスの頬に頬ずりをすると、爆発的な速さでこの場から駆け出して行った。
場内から声援が通路に響き渡る。
早くも予選二組目が始まったようだ。
最初に駆け付けたのは、勇者科の教師であるアドニスであった。
「はぁ、いったいどうしたんですかッ? ブルーはシトラスの眼がおかしいというばかりで……」
ブルーに先導される形で、押っ取り刀で駆けつけていた。
荒い息で瞳を抑えて地面に座り込んでいるシトラスに視線を送る。
ミュールがアドニスに状況を説明する。
「校長の魔法で、魔力視の魔眼が焼かれちまったみたいなんだ」
ミュールの言葉に驚いた様子のアドニスは、
「……はぁ、なるほど。
それは呪いであり、祝福でもある。人知を超越した力。
ミュールが眉を顰めて尋ねる。
「天への誓約? なんだよそれは?」
礼儀を気にする余裕は、今の彼にはなかった。
アドニスも、その無礼を咎めることはなく、
「はぁ、誓約魔法です。中でも天への誓約の効力は強力で、誓約魔法に限らず、それは全ての魔法の中でも最上位に位置する御業です。はぁ、おそらく、シトラスは契約で捧げられるその魔力を視たのでしょう」
ミュールはその説明を聞いて、少なくともアドニスが現状を把握できたことを悟り、一息いれて、冷静さを取り戻す。
「それで、どうしたらいい――んですか?」
ミュールの問いに、アドニスは、
「はぁ、医務室で見てもらう方がいいでしょう」
と無難な回答を返した。
しかし、その回答はミュールが期待してるものとは程遠いものであった。
なぜなら、
「だけど、いま医務室に行ったら――」
「これから始まる本日の予選には出られないでしょう」
きっぱりと言い切るアドニス。
ミュールは下唇を噛み締めると、意を決した様子で口を開く。
「先生ッ――」
しかし、アドニスはミュールの言いたいことを察して、言葉を被せる。
「はぁ、ミュール、貴方が言いたいことはわかります。しかし、私がその提案を呑むことはありません」
「――なんでッ!? シトの成長はあんたも見たはずだ。その努力もッ! それがこんな事故で、こんな終わり方って!」
興奮するミュールに対して、落ち着き払った様子のアドニスは、
「はぁ、先ほどアペル先生も仰っていたでしょう『成長には痛みを伴うものです』。かねてからお伝えしていたとおり、勇者科の生徒全員の対抗魔戦と、魔闘会双方で本選の初戦突破。はぁ、これが達成できなければ勇者科が今年度で閉講することに変わりはありません――」
「そんなッ!」
「――理不尽をはねのけてこその勇者です」
普段の気怠さが嘘のように、アドニスはピシャリと言い切った。
ブルーが、座り込むシトラスと彼の背後の間に体を滑り込ませて、シトラスを安心させるように背後から彼を抱きしめる。
肩に置かれた彼女の顔に、頬を寄せるシトラス。
「ありがとうブルー」
闘技場内からひと際大きな歓声が聞こえてきた。
割れんばかりの大歓声。
どうやら二組目が終わったようだ。
歓声は、予選一組から合格者が現れなかったことで暗くなった雰囲気を吹き飛ばすように、大きなものであった。
合格者が出たようだ。
『おめでとうございます。いま残っている二組を予選通過とします。次は予選三組目の皆様、準備をお願いします』
主審を務めるアペルの声が闘技場に響き渡った時、シトラスたちの耳に誰かの駆ける足音が聞こえきた。
それはあっという間に近づいてくる。
その正体はメアリーであった。
そのすぐ後ろには宙に浮かぶベルガモットの姿。
「シトッ!」
「シト、大事ないか?」
二人は一目散にシトラスに駆け寄ると、触診をしていたアドニスを押し退けた。
やれやれ、といった態度でアドニスは大人しく場所を譲る。
「姉上、メアリー。心配かけてごめんね。でも、だいぶん良くなってきたよ。まだ痛くて目は開けられないけど、この感じならあと一時間もすれば、見えるようになると思う」
笑顔を見せるシトラスに、ほっと胸を撫でろす二人。
ミュールが心配そうに、
「だけど、予選のこの感じだと、シトの出る予選五組まで、一時間どころか三十分もあるかどうか怪しいぞ」
今も場内から声援に交じって、悲鳴や怒号が聞こえてくる。
予選三組目も盛り上がりを見せているようだ。
ミュールの発言に、シトラスの笑顔が曇る。
それを見てシトラスの周囲に陣取る女性陣から、ミュールに向けて冷たい視線が飛ぶ。
ヒュッと息を漏らしてミュールはアドニスの背に隠れた。
ベルガモットは、水を差したミュールに鼻をならすと、安心させるようにシトラスの頬を撫でながら、
「安心しろ。シトは予選は気になくていい」
訝しむアドニスは思わず口を挟んだ。
「それはどういうことでしょうか?」
アドニスにではなく、シトラスを安心させるようにその髪を撫でながら、シトラスに語りかけるベルガモット。
「私たち――私とレイラも今年は予選から出場するんだ」
昨年度の個人の総合成績で一位と二位。
そのコンビは入学以来敵なしで、既に学園の生きる伝説となりつつある二人。
本来であれば前年度の優勝・準優勝のコンビは本選への優先出場権があり、予選に出場する必要はない。
実際に、初年度以外は二人は予選していない。
その彼女たちが
アドニスはベルガモットの発言に嘆息すると、
「シトラス。やはり、君は何か持っているようですね」
再び場内から大歓声が伝わってくる。
どうやら予選三組目の決着がついたようだ。
『おめでとうございます。予選三組目、今残っている二組を予選突破といたします。あッ。あらら……連れて行かれてしまいましたね。ちゃんと予選突破を聞き取ってもらえたでしょうか。お手数ですが、教員のみなさま、誰かセーフティポイントに転移させられた今の生徒たちに、合格を伝えていただけますでしょうか? あ、はい。それではよろしくお願いします』
再び場内で歓声が爆発した。通路が震えるほどの大歓声。
城内から伝わる興奮に、二組目に続きどうやら、三組目でも暗闇君を攻略した生徒たちが現れたようだ。
最後に油断して、ブローチに触られて強制転移が発動してしまった様子だが。
『遂に残るも二組になりました。それでは予選四組目の皆様準備をお願いします』
アドニスの背中から飛び出して、ミュールは肩をぐるぐると回すと
「それじゃあ、シト。ちょっと行ってくるわ」
名残惜しそうに抱きしめたシトラスの背中から離れるブルーも、
「勝ってくるね」
シトラスは両脇のベルガモットとメアリーに肩を借りて立ち上がると、
「がんばってね!」
声の方角に向かって笑顔で声援を送った。
◆
闘技場の中心部に立つミュールとブルー。
ミュールが周囲の生徒を見渡しながら口を開く。
「前の奴らがどうやって攻略したのか見れなかったのは痛いな。わかっているとは思うが、前半は魔力を温存して、後半は最小限の身体強化だけど乗り切ろう」
基本的にシトラス以外の人族には塩対応のブルー。
「ヘマするな」
これでも彼女基準では、ミュールには比較的心を許している判定である。
「誰に言ってんだ昨年の一年生の最優秀生徒だぞ? 任せとけ」
冗談めかして笑うミュールは、それだけ言うとステージ外の後衛のエリアに足を運んだ。
前衛と後衛が分かれたことを確認するとアペルが口を開く。
『それでは対抗魔戦、予選第四組はじめッ!』
アペルの開始宣言を皮切りに、前衛と後衛の間の五メートルラインに、次々と浮かび上がってくる<暗闇君>。
ステージ上で一人の生徒が口を開いた。
「わかったぞッ! <暗闇君>の条件式の起動条件は攻撃だッ!」
その声に貴賓席に座るネクタルが反応する。
『お~。君、やるねー。この短い時間で一つとは言え、僕たちの作った魔法の条件式を見抜くなんて。君は研究者としての才能があるねぇ。たしかに、<暗闇君>は最初の一体が攻撃されない限り、動き出すことはないよ』
おぉ~、と感心する声が場内を満たす。
その条件式を見抜いた生徒は、観客席や周囲の生徒からもてはやされる。
起動条件を知った生徒たちは当然<暗闇君>への攻撃を躊躇う。
その結果、あっという間にその数は数えきれなくなる。
それでもまだその数は増え続けている。
そして、<暗闇君>は縦にも積み重なっていく。
後衛のミュールは、
「おいおいおい、これ放っておいていいのか」
と踏み出そうとすると、周囲の生徒がいらんことするなとばかりに、その進路を塞ぐ。
ステージ内のブルーも同じであった。
一部の生徒は状況のまずさに気づき始めていたが、同調圧力に負けて、事態の推移を見守ることしかできなかった。
何もしなければ何も起こらない。
何かことを起こせば、それまでの予選の組同様に魔力枯渇の地獄が大口を広げて待っている。
何もしない、という行為は実に甘美な誘いであった。
積み上げられた<暗闇君>は、観客席の最上段の高さにあり、来賓客や校長であるネクタルが見守る貴賓席の高さに達した。
観客席からせり出す形の貴賓席。
その席の柵の前に立つネクタルは、目の前まで積み重なった<暗闇君>を見つめている。
その数はもはや予選四組の参加者の数よりずっと多いことを、場内のすべての人間が理解することができた。
固唾を飲んで見守る観客と
そして――。
『君たちは何のためにそこに立っているんだい?』
ネクタルがその小さな口で、貴賓席から一番近くの暗闇君に唾を飛ばした。
魔力を込めた唾を。
ネクタルの唾を浴びた一体の<暗闇君>が、力なく空から地面に落ちた。
その幽体は地面に吸い込まれるように消えていった。
そして、すべてが動き出した。
重なった半透明の紫色は視界には黒く映る。
それが圧倒的な数で迫り来るのは、恐怖そのものであった。
一斉に魔法でこれに応酬する参加者たち。
予選四組は、最初から乱戦模様であった。
ミュールは壁に背を預け、周囲の生徒を盾にして魔力の温存に努める。
なるべく強そうな生徒が固まっている場所を探しては彼らを盾に、それが叶わないなら、壁に背中を貼り付けることで接敵の面積を減らし、最少限の力で暗闇君を凌ぐ。
時間と共に、みるみるうちに参加者は暗闇君によって転移させられていく。
ミュールがチラッと、ステージ上に視線を送ると、ブルーが人間には出来ない柔軟な身のこなしで、<暗闇君>から逃げ延びているのが薄っすらと見えた。
それを見て口角を上げるミュール。
「俺も負けてらんないな」
ステージ上に生き残っている人数が五分の一ほどまで減ると、人を盾に暗闇君から逃げのびることが難しくなる。
上級生にも魔力枯渇の兆候が表れ始めていた。
ミュールは温存していた魔力を、全身に回し始める。
「結果として、シトには感謝だな」
魔力視の魔眼を得たシトラスの恩恵を受けた勇者科の生徒は、他の課程のどの生徒より効率的に強化魔法を鍛えることができるようになった。
そうでなくても、同学年の上澄みの生徒たちである。
彼らはこの一ヶ月で劇的にその精度を高めることができた。
ミュールは預けていたその背中を壁から放すと、拳と掌を胸の前で打ち鳴らして、一歩前へと踏み出した。
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