第11話 お風呂に入ろう
夜ご飯を食べ終わった私がフウカさんに連れられてやって来たのは、お屋敷の大浴場。
なんでも、神通力で空間を捻じ曲げて温泉から直接お湯を運んできているらしく、確かに微かな硫黄の香りがする。
温泉のニオイと言うのは独特だからすぐに分かるけど…このニオイが染み付いたりして大変なことになったりしないのかな?
それに、温泉って設備の劣化が激しいって聞くけど…その点は大丈夫なのかとても気になるところ。
「では私がサユリさんのお体を洗いますね?」
「まあ…はい」
「安心してください。変な真似はしませんから…」
「…そんなヨダレを垂らしながら言われてもなぁ」
私の体を洗うと言い出したフウカさんは、ヨダレを垂らし、ギラついた目で私の事を見つめている。
その影響か知らないけれど、体を洗うための手ぬぐいを持つ手が何処かいやらしく見える。
変わった石鹸を取り出して、手ぬぐいを泡だらけにすると…正直嫌がっている私に抱きついてきて、まずは腕から洗い始めた。
「楽になさってくださいね?緊張する事はありませんから」
「本当に大丈夫なんですね?」
「ええ。後は私に任せていただければ」
強張っていたのか、もっと力を抜いて良いと言われた。
この状況で力を抜いていいのかかなり不安だけど、フウカさんにそう言われたからにはやるしかない。
それに、疑っちゃ駄目。
フウカさんだって、自分の欲望と理性がせめぎ合って、なんとか耐えているのかもしれないし…
ここは一つ、フウカさんを信じてみよう。
…これでもしフウカさんがいやらしい事をしてきたら、私もただじゃ置かない。
やられた分はやり返さないとね?
私は肩の力を抜いて、フウカさんに身を委ねる。
手ぬぐいで丁寧に腕を洗うフウカさんの手を見つめ、何もしていないか見張る。
特に何事もなく左腕を洗い終わると、今度は右腕。
こちらも特に何事もなく、脇もしっかり洗ってくれた。
…ここまでは問題なしと。
「では、今度は背中を洗いますね」
「お願いします」
フウカさんが背中を洗うために私から少し離れる。
さっきまで抱き着いて洗ってくれていたため感じられていた、フウカさんの豊かな胸の感覚が離れてしまった事に、少し寂しさを覚えた。
抱きつかれていたからか、温度が上がって軽く汗をかいている背中に手ぬぐいを当て、丁寧に丁寧に洗ってくれていることを考えると…私の警戒は考えすぎだったのかもしれない。
気を許して気持ちよく洗ってもらっていると、気がついたら背中は洗い終わったらしく、私の前に手が伸びてきた。
「それでは…胸からお腹にかけて洗いますね…?」
「はい。お願いします」
もう完全に心をひらいている私は、なんの抵抗もなく受け入れる。
フウカさんは、私の体を触らることに緊張しているようだけど…まあ、大丈夫でしょ?
さっきまでずっと理性が耐えていたんだし、今度も耐えられるはず。
「緊張しなくていいのに。フウカさんならやれるよ」
「…っ!!そ、そうですね…」
私がフウカさんを励ますと、また背中に豊かな胸の感覚が戻って来る。
この胸は私のもので、今は誰にも渡さない特別なもの。
柔らかい豊満な胸を堪能していると、フウカさんの手が私の胸に触れる。
そして揉むような動きをし始めたのだ。
「…フウカさん?」
何かの間違いかもしれない。
そう信じて声を掛けると、隠す気のないような動きで私の胸を触りだしたのだ。
「サユリさんだけ羨ましいですよ…私はしっかり耐えながらやってるのに…自分だけ大好きな人の胸の感覚を堪能して…!」
お怒りの様子。
どうやら私がフウカさんの豊満なお胸の感覚を楽しんでいたことがバレてしまったようだ。
「また心読んだ?」
「いいえ?動きが全てを物語っているんですよ。私の胸に押し当てるように体を動かしていますから」
「そ、そうなの?そんな自覚無かったんだけど…」
体が知らないうちにフウカさんを求めていたみたいだ。
それに腹を立てたフウカさんが、私の胸を持ちに来たらしい。
…なんというか、石鹸でヌルヌルになった手が私の胸を揉みしだくって…なんか、えっちじゃない?
それを言うと、石鹸でヌルヌルになった私の背中に押し付けられているフウカさんの胸も…凄く背徳的。
……!
どうしよう、もし心を読まれてたら不味いかも。
今頭をよぎった考えが、あまりにも…その、フウカさんに読まれると不味い事なだけに、内心穏やかではいられなかった。
でも、こういう時ってだいたい…
「…サユリさんも、人の事は言えませんね」
「はぁ…やっぱりこうなるのか」
なんと言うか…やっぱりフラグだったか。
だよね~…
こんな事考えたら、そりゃあそうなるよね〜。
「さあ、こっちを向いてください!」
「はいはい…」
私が考えたことを実践しようと、フウカさんと向かい合う。
そして、フウカさんがまず軽く私と自分の体を洗って泡を付けると…そのまま抱き着いてきて、体を動かしてきた。
「ふふっ…凄く…いいですね…?」
「なんと言うか…悪くないって思っちゃう自分がいるのが怖い…」
やっていることは…その性的過ぎるんだけどさ?
それを平気で受け入れて、悪くないって思える自分が怖い。
結局石鹸の付いた体を擦り合わせてお互いの体を洗い、最後にフウカさんに足を洗ってもらった。
何もしないなんてことはやっぱり無かったし、私の警戒は無意味だった。
ちなみに、フウカさんの体を洗おうとしたら、『自分で洗います』と言われてしまった。
…仕返ししたかったのに。
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