2.4、ファッキン・弾・白蓮
「ふっざけんな!降りて来いゼイラムッ!!」
格納庫に帰投した試作機YFi-T00、通称【プロト・トライヴァー】から降り、ヘルメットを乱雑に外しながら怒号を挙げるのは雪夏であった。彼女は同じく帰投した機体に向かって中指を立てたりヘルメットを投げつけたりと、あらん限りの怒りを全身で表現する。
一方、その怒りの矛先であるゼイラムと彼が乗る機体XFA-03A、通称【アドバンスドレシカ】は静かに佇んでおり、開いたキャノピーから顔だけ出して彼女を見下ろした。
「文句があるなら、一発でも良いから俺に当ててからにしてもらって良いかな?」
「だからってあんなラクガキしなくても良いだろうがッ!!」
雪夏が叫びながら自分の搭乗機を指さす。そのプロト・トライヴァーの胴体にはペイント弾で大きく“私は負け組デス”と色取り取り丁寧に書かれていた。それとは対照的に、アドバンスドレシカは綺麗な姿のままである。
「それ実弾だったら死んでるからな?」
「クソ!クソったれッ!!」
雪夏も自分の技量が足りない事、本来なら死亡している事、悪態を吐けるのは生きている証拠を痛い程に理解しており、故にゼイラム、と言うより自分自身に怒りを覚えその矛先を制御出来ていない、その事にすら苛立ち感情が先走っている。
土星【マハト・パドマ】での救助活動を終えた【ミレニアム】は、現地財団員と艦船に合流し、次の目的地である冥王星軌道の財団基地へと航路を進めていた。その道中の時間を使って実戦形式の訓練を行っており、先程まで第二戦隊が巡洋艦【アビダヤー】の周辺宙域を飛んでいた。
戦隊長のゼイラムが敵役として、雪夏はじめ20名と15機の可変戦闘機が彼と戦闘訓練をしたのだが、結果は雪夏ら人間側の惨敗。全機がなんらかのラクガキを施されて終了した。この訓練から、来る【邪神】との決戦に向けて近い未来の主力機となる機体、そのテスト機である【プロト・トライヴァー】と教導機の【アドバンスドレシカ】が投入されている。
特に【プロト・トライヴァー】には一部、ユキとAirから提供された【アクト・ブランシュ】の技術が使われており、二機だけだが改善点の洗い出し目的に製造され、ポールと雪夏がテストパイロットに選ばれ搭乗する事になった。
「てか、何でコミューンの犬が『え、当たり前ですけど?』みたいな面で混ざってんだよッ!?」
「……ぇ、当たり前だけど?」
次いで雪夏の切っ先はゼイラムと一緒に敵役として対峙した痩躯の女性、緋野赫鍵へと向けられる。彼女は重火力型であるHi-Fiダイヴァーに搭乗し、彼と同様キャノピーから顔だけ出して疑問に答えた。訓練前に捕虜であった赫鍵が追加人員として紹介され、ゼイラムと近濠の監視下で行動すると伝えられていたのだが、雪夏をはじめ多くの財団員から不安と不満の声が挙がった。人を殺してきたテロリストの実行犯が故の、当然の疑念であるが当主L・Dを筆頭に【ミレニアム】へ迎え入れた以上、表立っての抗議こそ無いが割り切れる者も多くない。
「キィは今は俺の犬だし、ねぇ?」
「わんッ♪」
「チッ!くたばれ気持ち悪ぃ!!」
名前からゼイラムは赫鍵を“キィ”と呼んでいる。ノリが良いのか遊び心からか、こう言ったバカらしいやり取りにも乗ってくれる。が、やはりバカバカしいと思ったのか、雪夏は感情を露わにしながら格納庫を後にする。
「おーい雪夏ちゃんやー、後で反省会だぞぅ……て、聞いてんのかねぇ……」
「……ふふ、可愛いねあの娘」
「アレじゃあ折角の才能が台無しだ……」
「腕は悪く無いし伸びしろも感じる……キミが焚き付けなきゃ良いんじゃないかい?」
「他人にせっつかれてキレる様じゃ、危なっかしくて前に出せるかよ」
「それはそう」
人間を相手に殺し合いをする時でも、一瞬の油断や判断ミスが生死に直結する。相手が人智を超えたバケモノなら尚更だ。その事を嫌と言うほど知っている二人から見て、訓練でも感情的になり過ぎてしまう彼女は危うく見える。だが同時に、雪夏のパイロットとしての才覚は高く評価しており、そこには一切の疑問も抱いて無い。ただ、その逸材を一時の感情で失う事を危惧していた。
「へいへいユッキ、進捗どうだい?」
「あ、お茶ありがとーポールさん……んっく、順調だよ……だよね?」
――はい、現在主機と機関室の耐衝撃防壁と独立稼働機構の構築に入っており、当初の予定より10%前後の余裕を持って作業中です
ポールとユキは【アビダヤー】の展望室から、並走しつつ無人作業機によって建造されている新造艦の様子を伺い緑茶を呑んでいる。無人機はAirが遠隔操作しており、ユキはスケジュール管理と技術供与の策定を任されていた。
「ユッキが居た、えっと……「多銀河間同盟?」そそ、多銀河間同盟。その技術って、俺らの文明レベルで扱えるモンなのかねぇ?」
「流石に全部は無理かなぁ……けど、そこら辺も加味して選んでるから。例えば“無電源汚水処理装置”とか」
「……それって、おしっこを飲み水に、ウンチっちを喰いモンに……なんて言わないよね?」
「え、そうだけど?」
「あぁ、そう……」
あらゆるモノが限られる宇宙では必要だと頭で分かっていても、やはり眼をそらしたい事でもある。ひとまずポールはこの事を胸にしまい表には出すまいと決めた。
「ほいで、最終的にはあの船どうなんの?」
「んー【マハト・パドマ】から色々貰ったから……全長200キロメートルくらいの母艦と、20キロメートルくらいの無人艦が幾つか、かな?Air、どう?」
――はい、ユキの言う通りです。現在、建造中の新造艦はこちらの文明基準単位で全長2000キロメートル、全高40キロメートル、全幅100キロメートルの予定。巡洋艦【アビダヤー】と合流した航空母艦【マートゥフ・ダヤー】を内部に格納し運用されます。また、阻塞用途として全長20キロメートル前後の無人艦艇を建造予定。艦数は10です。
「んぅ~僕は詳しく説明出来ないダメな奴です……」
「人工知能と何を競った?」
卑下し落ち込むユキへ慰め、と思われる言葉を投げ掛けながらポールは携帯端末のモニターを開き、先程行った訓練のデータを睨む。
「あーやっぱ【プロト・トライヴァー】の【ココロユニット】、全然稼働出来て無いなぁ……てか、正式名称が“同期動力炉”なのは、何故?」
「僕が乗ってる【アクト・ブランシュ】もそうなんだけど、多銀河間同盟の艦載機には全部【ココロユニット】って言う、この世界での“動力源”と“走査機”を足した機器が搭載されてるんだよ。で、その機器は“パイロットと機体の神経系と制御系を同期”させる役割があって、何て言えば良いのかな、自分の手足を動かす様に機体を操縦出来る、て感じ?」
「はぁん、それで同期なのね……稼働率10%って、低いの?高いの?」
「低い」
「ふぅん、どれくらいなら性能を引き出せるのよ?」
「んー慣れとか個体差があるけど、大体40~50%は最低でも欲しいねー」
「ほぉん、じゃあ今はただのバラストかいな?」
「そだねー」
「ぁん……」
友人の容赦無い言葉に気圧されながらも、ポールは次の訓練に向け会話に挙がった【ココロユニット】の取り扱いについて一から学び直す事に意識を向けた。特徴や諸元はデータで共有されており、性能に直結する稼働率の上昇方法についても記されている。が、共有資料には赤い太字で“注意:未完成につき身体への危険性有り”と書かれているものだから、ポールは恐る恐る続きを閲覧する。
「……さっきの訓練で俺と雪夏が使ってた【ココロユニット】って、確かドクターとゼイちゃんが造った奴だよね?」
「うん、土星でゼイラムさんが使ったのは【試作型同期動力炉】で、今ポールさんと雪夏ちゃんが使ってるのは【ココロユニット弐号機】だよ」
「危ないって言ってたけど、弐号機は問題無いのけ?」
「全く無い訳じゃないけど……意図的に出力を抑えてるし、ポールさんと雪夏ちゃんなら改善点を洗い出せるでしょ、てD・Dが信頼してたね」
「そう言うのは丸投げって言うんじゃないかねぃ……」
ある程度の危険性を鑑みても、最終的な全体戦力の底上げに繋がるのであれば許容範囲内、と言ったところだろう。近濠とゼイラムがまとめた資料を読み進めていく中で、ポールはある疑問を抱きユキに訊ねた。
「あのさ……ドクターとゼイちゃんは、どうやって【ココロユニット】造ってるん?」
「確か【邪神】の細胞を使ってたはずだけど……工程は分かんないな、そう言えば」
「……悪い予想が当たるんだよなぁ、こう言うん時って」
ポールの危惧に多少のエグさを足してゼイラムは【ココロユニット】を製造していた。彼(とアカイ、赫鍵)が収容されている隔離区域の奥に【邪神】を用いた実験室が設けられている。そこでは、補器の核融合炉による大出力を動力源にし、様々な実験が他の多くの財団員には伏せられて行われていた。その一つが【ココロユニット】であるが、その様子は異形と言う他無い。
《それじゃあゼイラム、もう一度有機癒着から仕切り直しだ。電気縫合術でシアン化物に求核置換させよう……イケるか?》
「さっきは触媒も無しにザンドマイヤー反応があった、が……まぁイケるな……加圧、凝固点までのカウント頼む」
《おっけぃ……加圧、10秒前……7……》
実験室内の鉛ガラスに覆われた個室に、ヘッドギアを装着したゼイラムが正面に置かれている漆黒のフラクタルキューブに手を伸ばし、慎重に指を動かし始めた。彼の隣りにはアカイが無言無表情で座っており、数十本のケーブルが繋がれた端末を操作している。そんな二人を隔離している鉛ガラスの個室を、更に隔離している外で近濠はコンソールと二人の様子を注意深く見ながら推移を見守っていた。防音仕様の為、中とは通信でやり取りをしている。
《1……凝固》
「縫合開始……」
「……」
個室のフラクタルキューブは形も分からぬ黒一色であったが、近濠の合図と同時に青白く変色し、微かに発光し始める。同時に、ドライアイスの様な白い煙がゆっくりと流れ床に落ち、凍結した。自身の【縫合】でキューブに【邪神】の細胞を静かに縫い合わせるゼイラムの手は、薄手の作業手袋で覆われているが保温機能は無いに等しく、パキパキと凍り、ヒビ割れる。素人目にも凍傷だと分かるが、意に介さない様子で淡々と作業を進めている。
《冷たそぅ……》
《凝固点は100ケルビンで安定、そりゃ冷たいだろうさ》
《お姉さま、ひゃくけるびんって、冷たいの?》
《えぇ、冷た過ぎて火傷するから触ってはダメですよ?》
《冷たいのにやけどなのかッ!?》
実験の様子を伺っているのは近濠だけでは無い。24時間常にゼイラムの監視下で、の条件を甲斐々々しく守る赫鍵もその場で見守っていた。また、不測の事態に備え、リューヌとソレイユ姉妹も居合わせている。彼女らののほほんとしたやり取りが耳に入るも、作業の手を休める事無く縫い合わせていく。
「……ッ」
《ゼイ、大丈夫か?》
露わになっているゼイラムの口元が歪み、近濠が声を掛ける。が、彼は「問題無い」と一言だけ呟き作業を続行した。
《何か問題発生?》
《恐らくフィードバックだ。無機物と有機物を【邪神】で結ぶんだが、神経系と繋ぐ時に【邪神】の細胞が感じた痛みが返って来るんだよ》
《それは……問題なのでは……?》
「必要な手順だ」
《……と、ご主人が言っておりますが?》
《お前さんのご主人様が言う通り、必要な手順なんだ。痛覚が共有されていると言う事は、有機物との同期が成功した証拠だからね》
《ボクが言うのもおかしな話だけど……結構エグイんだね》
《……まだ入り口の手前の手前だよ》
近濠と赫鍵が視線を真っ直ぐに見据えたままに会話を弾ませるも、個室の冷たい空気が流れているのかと錯覚する程、徐々に緊張が場を支配した。
「……血管形成開始。アカイ、低温保管槽から2番、と……7番、用意頼む」
「……」
極小の針先をペンに見立て、青白く発光するフラクタルキューブに字を書く様になぞる。その先端の軌跡に沿って赤い、血の様に赤黒い線が刻まれ、それは比喩ではなく彼の血そのものだった。その彼の横で口を真一文字に閉ざしたまま、褐色の幼女は指示通り冷風が白煙になって零れる鉛ケースから、2と7のシールが貼られた手の平サイズの透明な板を取り出す。板には、まるで粘菌の様に枝分かれし伸びるピンク色の有機物が封じられていた。
《ドクター、ボクにはアレが脳細胞にしか見えないんだが?》
《見ての通りだよ》
《そう、なら良いんだ》
「血管形成術……終了。ニューロン移植に入る。アカイ、メリーランドとモスキート、13ナノで任せた」
「……」
無言で透明の板を差し出すと、顔も視線も動かす事無く綺麗に受け取る。彼が被っているヘッドギアは電子顕微鏡の役割も有り、ゼイラムの視界は極小の世界で広がったままだ。二枚の板を渡し、アカイは指示された器具を両手に立ち上がり、隣りに立って同様のヘッドギアを装着し作業の補助を始める。彼女の持つ器具は、取っ手こそ医療器具のそれであるが、先端は名前通りナノサイズの様で人類の視力では視認が出来ない。
「移植術開始、始発はA1968-S0406-Z2001……ッ、アカイぃ、カバー、を頼む……!」
《ドクター?色男の色んな所から色々と血がドバドバに見えるけど色々と大丈夫なのか?》
《必要な手順だ》
《いーあいやいや、手だけ落ち着いてるのは偉いけどそれ以外全部痙攣しているねぇ?》
《必要な手順だ》
《おぅい、おいおいおい待て待て、全身の血管バキバキに浮き出てあーぁ、裂けた……》
《リューヌ嬢にソレイユ嬢、造血と輸血の準備を》
《はい、ゼイラム様の血液サンプル……ありがとうございますソレイユ、偉いですよ》
《うむ!栄養剤にその他もろもろ必要な成分は揃ってますぞ、お姉さま!》
ダイアモンド姉妹は、まるで遠足の支度をする様な和気藹々とした雰囲気で、長テーブルの上に輸血パックやドリンク剤、固形栄養食を並べる。その様子を流し見し、赫鍵は三文役者っぽく「あらら……」とわざとらしく一言に感想をまとめた。
《ゼイ、終着はA1896-S1127-Z2001だぞ……まだイケるか?》
「煽るなッ……知ってる癖、にィ!」
《だよな……どうした、赫鍵君?》
《出会って間もないボクだけど、彼が手足の一本や二本程度じゃ悲鳴を挙げない事くらい分かる……積極的に知りたくは無いけど、どんな苦痛なんだい?》
《……本人曰く、脳天から脊髄の神経を直接、内側から錆びたノコギリでゆっくりと削られる痛み、なんだとさ》
《ならせめて、鎮痛剤とか使ってあげないのかい?》
《そりゃ試したさ、色々と……消炎鎮痛剤から始めて塗ったり飲ませたり、モルヒネだってフェンタニルだってとっくにさ……けど、痛覚と言うか五感の共有が必要不可欠みたいでな、麻薬はおろか市販の痛み止めすら使うとユニットが動作しなくなる……これでも、最初の時より随分マシになったんだぜ?》
「あぁッ!?」
《すまん、恥ずかしい話をして悪かったよ》
《……まぁ、じゃあそこは気合と根性で……血液は有機物での回路が必要だから、と言うのは分かる。じゃあ、冷凍じゃなくて低温で保存した脳細胞、ニューロンは?》
《……“生きたニューロン”じゃないと【邪神】細胞にヒトゲノムが負ける》
《あぁそう……培養した?》
《培養した》
《あぁそう……他の人間では試して、ない?》
《試してない》
《あぁそう……酷いんだね》
近濠の短い言葉と、苦悶に歪むゼイラムの口元を交互に見て赫鍵はおおよその二人が抱える葛藤を掴んだ。三重の強化ガラスと鉛ガラスに隔たれた先で、己の脳や神経をおぞましい恐怖に焼き付ける男を赫鍵は諦観した表情で見つめる。葛藤は分かっても、彼……いや、ゼイラムと近濠の二人を突き動かす根源がまだ、彼女の眼と耳と【直感】では知り得ず、無意識に触れたい欲求を抱いた。
その後、全行程を終えて【ココロユニット改訂版】は完成、息も絶え絶えに這い出るゼイラムの血を赫鍵が拭き取り、ダイアモンド姉妹が輸血する。その間、近濠は彼に急かされるまま親指程の太さを持つ、注射器型の複合医療器具をうなじに突き刺した。それは血管遮断鉗子と神経鈎も兼任しており、脳内出血を止めつつ脳細胞を直接吸い出して保存出来るモノであった。
手際もだが、その躊躇無い行動に「いや、これ大丈夫なのかい?」と赫鍵が若干引き気味に疑問を口にすると、近濠が「こいつは【邪神】で脳細胞ごと再生するから問題無い」と言い「そゆこと、真似するなよ」とゼイラムが苦笑いを浮かべて締めたものだから、一言「そう」と乾燥した笑いを零す他無かった。
「……マヒマ先輩、アタシの頭の中がパニックです」
「どうしたの……あぁ、訓練のデータ見てたんだね」
「頭では分かってるんですけど、身体が追い付かなくて……経験の差、ですよね」
「……うん、私もそう思う。だからこそ、ポールさんも……嫌だろうけど、きっとゼイラムさんも雪夏ちゃんに厳しいんじゃないかな」
「認めたく無いッス……けど、そうッスよね……」
二人部屋のベッドの上で、雪夏は端末と一頻り睨んで分かりやすく落ち込む。何か慰めの言葉を掛けようと思考を巡らせるが、下手な事は言えないと悩んだ末、マヒマは雪夏のベッドに乗り込んで顔を覗きつつ提案した。
「どど、しまし、たマヒマ先、輩?」
「雪夏ちゃん!」
「はいッ!?」
「パジャマパーティ、しよッ!」
「……は?」
上下関係(主に自分)に厳しい雪夏であるが、この時ばかりは目の前の小さい先輩の脳を疑った。
何の事は無い、ユキとポールの部屋にお邪魔して直接アドバイスを貰うだけである、と言う理由付けで押し掛けただけである。
「と言う事で先輩!ご指導お願いします!」
「お、おう……マヒマさんや?」
「んッんッ!」
後輩の様子から経緯を察したポールが視線を向けると、その先には「ごめん!」と「察して!」が混ざる表情で拝むマヒマが居た。特に断る理由も無いので小さく頷き、意図を汲み取る。
「まだ慣熟航行もそんなに、だよね?最初は【ココロユニット】に振り回される事が多いんだけど、ちゃんと操縦出来てるし動きはむしろ良くなってる……地力は備わってるから、あまり自分を責めなくて良いと思うよ?」
「ありがとう、ございます……けど、アタシは一発も当てられませんでした。まだまだ足りないモノが多いと、自覚してます」
一方、ユキは知ってか知らずかいつも通りの様子でポールとマヒマは互いに小さな溜め息を吐き、会話に交ざる。
「そうねぃ、俺から見てだけどね?雪夏は技術より、感情に影響され過ぎてる気がするのよ……まぁ、言われるまでもないか」
「はい……分かってはいるんですが、自分が未熟なばかりに……」
「課題点がハッキリしてるから、じっくり直して行けば大丈夫よ。精神面を鍛えるのは簡単じゃないけど、何も分からないよりは全然心配しなくて良いさ」
「うん、僕も同意見。けど、敢えて技術面の話をするなら……ブレイクのタイミングが早いかな。ドッグファイトもだけど、アクロバットで成否を分けるのは時間だからね、早過ぎても遅過ぎてもダメ……」
「雪夏の感覚で例えるなら、ちょっと遅いかも?位のタイミングが丁度良いかもねぃ」
「背中を取られる事が多いと思っていたんですが、あぁ……何か、しっくりきました。確かに今振り返ってみると、旋回が速かったな、て場合が多いです……あ、ムカついてきました」
「その辺りをゼイちゃんに見透かされてる事が、ね……テキトーに見えて、適当に見てるのよね、彼……」
ゼイラムに対する印象は、雪夏をはじめ幾人も日が経つにつれ最低値を更新し続けており、他のパイロットからも陰口悪口が絶えない。にも関わらず、未だに闇討ちや寝込みを襲われないのは、人間関係が破綻し切った彼を近濠やL・Dの意向で物理的に隔離しているからだ。実弾を用いた演習でも、彼の息の根を止めようと士気は否応無しに上がるも、悲願は達成されていない。
認め難いが、周囲を見渡し個々人の癖を把握する力量と余裕は見習うべき技術であると、他ならぬ雪夏自身が痛感している所だ。
「……ポールさん、【アビダヤー】って男女禁制だっけ?」
「いんや、そんな事は無いけど……でも妊娠には気を付けろってドクターが。託児所じゃないからね」
「あー地球から上がる時に検査してたね……任意で」
(はて、ユッキは“その機能”有るのかね……モノは付いてるけど)
「先輩、先輩?すみません急に、邪魔でしたよね……」
「んな事ぁ無いよ。あまり根を詰めてもしょうがないし、雪夏は考えるより実際に手足動かした方が覚えるでしょ?操縦桿を握ってる体でイメトレしてみよっか」
「押忍ッ!」
地上の大浴場で見た友人の裸体を思い出しつつ、手近にあった水筒や携行食糧の缶等をコックピットに見立て、訓練の映像と共に意見を交わす。その横でマヒマはユキの隣りに座り、やや緊張気味に会話を弾ませた。
「ユッキーは、その、怖かったりした?」
「ぇ、んー……分かんない、何も考えて無いから、戦う時は」
「そっか……いつか私も皆も、ユッキーみたいに強くなっちゃう、のかなぁ?」
「強さとは別かも……総司令が言ってた、僕たち【ミレニアム】は疲れ果てたって……多分だけど、僕は自分で自分を殺したんだと思う」
「それって、感情が邪魔だったから……」
「うん、逐一怖がってたら使えないし、怯えてた人は……まぁ“再利用”されてた、かな」
「……嫌な話だね」
「そうだね……こっちに来たから“嫌な話”だ、て思える。でも、その感覚が大事なモノなのかどうか、僕にはまだ分からないや……」
「それも分からなくなるくらい……ずっと戦ってきたんだね」
「……ねぇヒマ?疲れる、て言うのは何となく分かるんだけど……“疲れ果てる”って、何なのかなぁ?」
「きっと知らない方が幸せなんだと思うよ」
若干の哲学めいた話題で気落ちする二人に、ポールと雪夏が苦笑いしつつ言葉を掛ける。
「あっちのユッキもこっちのユッキも、考えると落ち込むのは一緒なんだなぁ」
「争いなんてサッサと終わらせて、遊び疲れ果てましょ、先輩がた」
「ふふ、そうだね、それが良い」
「こっちの世界の娯楽って、どんなのあるの?」
元の世界ではほとんど無かった“遊ぶ”と言う感覚を、ユキは徐々に吸収し興味を持った。交配し繁殖する生物にとって娯楽は余分な活動だ。だが、人間と野生動物の違いは何か、の問いの一つとして“娯楽”は妥当だろうと思われる。動物も群れ同士や木の枝などで遊ぶ事は珍しい訳では無いが、一つの文化として成り立たたせ体系付けるのは人間、知的生命体の特徴だ。その余分こそが、ヒトをヒト足らしめている根っこに在る。ユキと彼が居た世界は、そんな余裕が無かったから娯楽を極限まで削り、それが当たり前だと戦ってきた。だが、世界を渡った先で様々な人や文化に触れ、押し込んでいた好奇心が揺さぶられ欲求が生まれる。携帯端末でゲームを遊ぶのも、ポールやマヒマにとっては当たり前の感覚でもユキにとっては新鮮で、どこかいけない事をしている感覚に近い。第二次性徴を迎えた少年少女が性の話題に触れる、そんな感覚であった。
「アヴャー疲れた……風呂入って寝たい」
「お疲れ様、キミの部屋だよ……しかし、改めて思うけどキミだけ個室なんだね、広いし」
「そりゃ、不発弾と一緒に暮らしたい奴なんて居ないからな」
「それはそう……けど、まさかトイレもお風呂も専用だなんて、宇宙船じゃあ贅沢だね」
「俺が使った水やお湯は全部除染してから再利用しないと、どこ経由で【邪神】の細胞が悪さするか分からんし……アカイ、裾引っ掛かってるぞ、ほらばんざーいして」
「んしょ、と……ボクは適合術を受けてるしアカイ君も【邪神】細胞で縫合されてるから、キミと一緒にいても平気、と」
「あぁ、人工魔導の適合者は【邪神】細胞との親和性が高いし、細胞の浸潤には排他的だってのは分かってたからな。お前さんは俺程度の【邪神】細胞量じゃ、まず問題無い……アカイ、脱いだ服はこっちな?」
「あ、そっちだったんだ、ありがと。それでキミは隔離区画に軟禁されていると……ドクターに聞いたところ、キミの身に何かあった時はこの区画ごと宇宙に放り出されて自爆すると聞いたのだけど、アレ本当なんだ?」
「ほいほい、先に髪洗ってからだぞぅアカイ……自分で出来る癖に……あぁ、ホントのこった」
「ボクの髪も頼むよ……ふふ、キミは優しい手付きだ。それは言うまでもなくキミが【邪神】に乗っ取られた時、だよね?」
「流すぞー……うぃ、お先にどうぞ。あとは、俺が【ミレニアム】の敵になった時と、俺の身体に【邪神】が居ると他所にバレた時と、俺の戸籍漁って死人がなんで生きてるのかってバレた時な」
「多いね……ん、暖かい。お風呂なんて久しぶり、足も伸ばせるし。だとしたら、ボクも生きてるのがバレるのはマズいね?一応、戦死扱いなんだろ?」
「あー髪がスッキリなんじゃ~、アカイ、ちょっと後ろ空けて……無駄に広くしてもらって正解だったな。あと、正確にはMIAな?最悪、キィはバレても“潜伏して生きてました♪”って言い訳出来るから問題無いよ」
「おや、アカイ君は抱っこするんだ?ボクは?言い訳出来る範囲かい?」
「……つーか何で“え、当たり前だけど?”みたいな感じで一緒に風呂入ってんのよ……何で“何で?”って顔してんのよ?」
「いや、キミと24時間常に一緒に居る事が条件だったじゃないか?」
「部屋の出入り口は一つしか無いんじゃが?」
「キミが一人でトイレや風呂場を使っていたら出られちゃうじゃないか」
「おめぇさんは登録されてないからドアは開かないし」
「でも、ボクはキミの好みのタイプだろ?嬉しくないのかい?」
「嬉しいよ?けど、それとこれは別じゃね?って話をしてんの、て話なのよ、分かる?」
「いやーちょっと分かんないッスねぇ」
「何で分かんねぇの?」
「アカイ君、ボクがキミを抱っこしよう」
「それだと俺がキィを抱っこする形になるが?」
「それが目的なんだが?」
「あーのぼせそう!早く上がりてぇ!」
「ふふ、そこまで喜ばなくても、ボクはとっくにキミのモノさ」
「風呂にだよ、おめぇさんじゃねぇよ……何、何?俺の手とって何?何でお腹の下辺りに持ってくの?」
「ボクは憧れてたのかも知れない」
「憧れで終わらせて」
「こうやって生まれたままの姿で、誰かに背中を完全に委ねる……うん、良いねコレ、子宮にガンガン来る」
「情緒もクソもねぇな」
「次はこっち、だろ?」
「おしめーだよもう」
「雄蕊と雌蕊?」
「言ってないな?」
「でもキミのアレはアレしてアレに見えるけど、強がっちゃってるのかな?」
「なぁ、外れてるネジあんなら教えて?残り全部外すから」
「キミは自分で思ってる以上に不要なネジしか残ってないよ?」
「急にアクセル全開じゃん、どしたん?」
「まぁまぁ、はぐれモノ同士、慰め合うのはベッドにしようじゃないか、ねぇ?」
「ねぇて、ねぇです」
「……!」
傍から見れば恋人同士が(褐色幼女成分を無視すれば)イチャついてる様にも見えるやり取りの中、その余分な成分であるアカイが無表情のまま、急に顔を上げて人差し指を天井に向ける。その直後、過去に一度だけ聞いたあの音が彼ら彼女らの全身を劈いた。
――ゴォォォォォンッ、ゴォォォォォンッ、ゴォォォォォ……――
遥か彼方から鳴り響く、鐘にも笛にも聞こえる轟音……【第二のラッパ】が吹かれた。
「おい何だよ……キィ、震えてるぞ?」
「はは、コレは強がれない、かなぁ……2年前に聞いた音よりずぅっと、重い……アレは夢でも幻聴でも、薬のキメ過ぎでも無かったんだね……」
「……ちゃんと言葉にしてくれ、こっちはキィと違って【直感】じゃないんだ」
「独りにしないで……背中、守って……怖い……」
「キィは犬、俺は飼い主……コレで良いか?」
「うん、もっと強く……お願い……」
「大丈夫、お前は独りにはなれない……もし、キィが今際の際に立った時その心臓を止めるのは……俺だ」
「約束だよ……」
――巡洋艦【アビダヤー】第一艦橋
「お疲れ様です、クエル操舵手」
「あ、クリス統幕長もお疲れ様です。お茶、ありがとうございます」
現在【アビダヤー】は自動航行で航路を進んでいる。だが、不測の事態に備え操舵手も三交代で休憩を取りつつ最前面の座席に座り、本艦周囲を走査し物体の有無を表示しているモニターを睨んでいた。
クエルと呼ばれた彼の名はクエンティン・フォン・キューブリック=カラヤン、艦長であるヘルレインの孫息子であり、本艦の主任航海士でもある。そんな彼を労いつつ、無重力下を想定したボトルにお茶を煎じ差し入れする女性はクリスティーナ・タランティーノ統合幕僚長。彼より3つ年上だからか、それともクエルが少し抜けている所があって放っておけない性分なのか、彼女は何かと彼を気に掛けている。眼鏡も掛けている。
「航路上に障害物無し、主機及び補機の駆動問題無し、艦内圧力正常、空気正常、省電力モードの運用と維持問題無し、電気系統に異常信号無し、各区画の空気漏れ無し、人工重力正常稼働中を確認……定期走査、全て異常無しです」
「艦長に叩き込まれたお陰か、すっかり慣れましたね、クエル操舵手」
「はい、祖母は手加減と言う単語を知りませんから、随分と厳しく教え込まれました……あ、ひょっとして定期走査の時間だから来たのですか?」
「えぇ、貴方がサボっていないか気掛かりでしたが……余計な世話でしたね」
「もしサボりでもしたら祖母に殺されます……て、俺そんなに信用無いんですか!?」
「まさか……クエル操舵手は私が見て来た航海士の中で、艦長に次いで優秀です。信頼、しているのですが……分かりにくかったですか?」
「いえ、次はお茶の差し入れ無しで貴女に来てもらえるよう、精進します!」
艦内時間は地球の日本に合わせている為、現在深夜の2時を回った所だ。各部署は最低限の人員で回し、多くの財団員は睡眠や軽食を取り、中には徹夜で電子ゲームや麻雀と言ったテーブルゲームに勤しむモノもいる。航行関係以外は本来、通信士や整備科が担当するが、非戦闘状態では航海士が一任する事がある。主計科から予備人員を配備する企業もあるが【アビダヤー】に余剰人員はほぼ居ない。軍隊では無い一企業故の悩みだ。ただ、機関部は稼働させ続ける必要がある為、常に複数の機関士が通常稼働の整備維持をしており、先程も彼らから上がった定期報告を読み上げたモノだ。
「えぇ、楽しみにしてます……おや?冥王星軌道拠点からの定時連絡が3時間前で最後になっていますね」
「そうなんですよ。ただ、1時間前に2度、着信はありました。ノイズまみれで内容までは分かッ!?」
――ゴォォォォォンッ、ゴォォォォォンッ、ゴォォォォォ……――
相思相愛の二人を引き裂く様に、第二のラッパが吹かれた。
「ュッ……!」
クリスが喉から空気を漏らしながら防衛本能か、両腕で咄嗟に自分を守る様に締め付けてしまい、呆然としていたクエルがそれを見て慌てながらも自分に言い聞かせるかの如く大声で全艦放送を開いた。
「ぎッ、総員起こぉぉおおしッ!!即応態勢ェェッ!!」
その一声で泥酔者を除き全員が起き上がる……いや、正しくはラッパの轟音で叩き起こされていた。ヘルレイン艦長は夢から引き釣り下ろされた苛立ちと、聞きたく無かった二度目のソレに恐怖を覚えつつも即座に起き上がり、寝間着の上に外套を羽織って艦橋へと走る。
同様に三人で雑魚寝していたポールらと、寝る必要の無いユキも強引に起こされていた。
「ぉぃ、おいおいおい待て待て、冗談だろッ!」
「おはよ、ポールさん」
「ユッキー、怖いッ……」
「ヒマもおはよ」
「ちょ、先輩ッ!い、今の、間違い無いですよね!?」
「間違いであって欲しいけど間違いねぇ!」
「やっぱり」
「……ユッキ、やっぱりて何が?」
「Airと考えてたんだ。僕達はあいつらが【三次元カーマン・ライン】を突破する時の音を録っていてさ。今聞こえたのはその音、を凄く大きくした感じに近かった……」
「マジか……じゃあ、ラッパの音が鳴る度にこっちの宇宙に来てるって事か……」
「えっと、その【三次元カーマン・ライン】って、ユッキーが話してた超光速移動に出てたよね?」
「うん、ただ【邪神】は僕達と違った原理らしいって事しか分からなくて……Airは理論上【邪神】の宇宙間移動はコレじゃないか、て推測してたよ」
「ユキさん、それだとポール先輩の言う通り【邪神】が、言ってしまえば宇宙の壁を突き破ってる、て……事になりません、か?」
「恐らくそう。【邪神】は本隊が標的を攻撃してる間、無数の超小型が哨戒行動を取ってまずは斥候役が、次に威力偵察、偵察戦闘小隊、大隊、師団と順に規模を大きくして、最後に本体が物量で押し流すのが基本行動だから」
「正にラッパ8回で終わりを迎える訳か……ん?よく宇宙で録音出来たねユッキ」
「あー僕が乗ってた戦艦は全長30万光年だったから、船体の周りに大気層が出来ていてそれでね」
「規模も桁違い……て、話し込んでる場合じゃねぇ!格納庫行くぞ!ヒマは艦橋に上がれ、主任通信士が居ないとヤバい!」
「うんッ!ポールさんも雪夏ちゃんも気を付けて!」
「あざッス、マヒマ先輩!行きましょうポール先輩!」
「僕も艦橋に行くよ。まだ【アクト・ブランシュ】の運用方針を艦長やD・Dと決めてないから」
恐怖や不安や戸惑いで身体が震え、思考も判然としない中にあっても各々が与えられた役割を全うしようと手足を動かす。それは一種の錯乱状態とも思考停止とも言える防衛本能であるが、する事が無ければパニックが伝搬していたであろう事は容易に想像出来る為、無益な手間が掛からなかったのが僥倖である。
そして、多くの部下を預かる財団の当主は努めて落ち着いた雰囲気を消さず、若干慌てた素振りで彼の様子を伺いに来た二人の娘にいつもの柔らかい微笑みを浮かべて声を掛けた。
「お父様ッ!ご無事ですかッ!?」
「とーさまッ!大事無いかッ!?」
「私は幸せモノだ、自慢の娘達が目の前に居るよ……この通り、大事無い」
穏やかな義父を見て二人は「「それは重畳……」」と安堵の息を吐きながら慣れた手付きで車椅子を用意し、その主を座らせ部屋を出る。
「艦橋に頼めるかな?急がなくて結構、今頃はヴィル先輩が寝間着で指揮を執っているだろうからね」
「はい、では少々だけ急ぎますので揺れます、ご注意を」
「ばぁばは即断即決の化身だ、平和に身を窶す事は女傑の立脚点が許さぬだろうしの!」
そんな緊張感とヘルレイン艦長の指揮の下、臨戦態勢を執って予定より足を速めた2時間後、星間開発財団【Lex Stella】所属巡洋艦【アビダヤー】と航空母艦【マートゥフ・ダヤー】、そして【アクト・ブランシュ】と牽引する【マハト・パドマ】から受領した艦艇群が冥王星軌道にある財団の第19基地宙域に到達した。
この宇宙で3度目の、人類と【邪神】の望まぬ逢瀬……
――まず初め、光在れと言い闇も。次いで水、上は天。そうして最後に生命の音が鳴り、7つ目の日に眠る……
【TIPS】
<人物紹介その1>
★ユキ=0410 男性 身長150cm 体重40kg(BMI値17.8:低体重) テーマ:愛と勇気
→多銀河間同盟27番銀河団第3089億201万9331空戦部隊所属 一等戦尉 51世代目強化人工生命体人間タイプ 外見は15歳程度の少年
→【ミレニアム】創設者三人の一人、マヒマとは恋仲にあったが死別、再会した別宇宙のマヒマにも同様の感情を抱くも無意識に罪悪感を覚えており忌避している
→【邪神】の脅威を伝え備えるべく、位相分離を試みて別宇宙へと跳び、思考電算機(Artificial Intelligence:AI=人工知能)【Air】と小型艦載機【アクト・ブランシュ】を伴って沖縄に不時着し、近濠麦秋に出会い“こちらの宇宙の【ミレニアム】”に協力し、星間開発財団【Lex Stella】と行動を共にする
→価値観が全く違う世界故に他の財団員からドン引きされる、いわゆる捨て奸(すてがまり)が当たり前の様な兵士であり、戦士でもあるパイロット
→性格は内向的だが優しく、誰に対しても礼儀を持って接している……が、時たま思った事をそのまま口にしてしまう所も
→星間開発財団【Lex Stella】ではAirと共に最重要人物として迎え入れられ、艦載機パイロット兼オブザーバー
★マヒマ・シャンカール 女性 身長153cm 体重42kg(BMI値18.4:低体重) B:77 W:57 H:80(Bカップ) テーマ:博愛
→多銀河間同盟27番銀河団旗艦【フェニックス】主任通信士 二等戦佐 世代不明の強化人工生命体人間タイプ 外見は細く小さい15歳程度の少女
→ユキやポール、ゼイラムと幼馴染で、幼少の頃からユキに好意を抱いている
→6年前に亡くなったユキに想いを伝えられなかった事を今でも悔いていたが、思わぬ再会に喜ぶも距離を置くユキにもどかしい気持ちでいる
→学生時代は地球にある航空宇宙工学専門校の星間通信技術科課程を合格点ギリギリで卒業、繰り上がり当選だ枕営業だと悪態を吐かれていた
→性格は温和で、分け隔てなく他者に優しい一方、自己肯定感の低さから自分には厳しい
→献身的で裏表の無い聡明さを持ち、的確なサポートにより【ミレニアム】では良い意味でマスコット的な扱いを受けている
→魔導力は【再生増進】で、多少の傷や軽い中毒症状であれば治療が出来る(あくまで本人の身体が持っている再生機能を向上させるだけなので、欠損や重篤な症状には対処出来ない
→マヒマ:梵字で「偉大な、大いなる」 シャンカール:梵字で「幸運を与えるモノ」ヒンドゥー教で主神シヴァを示す
→旧姓は時東、インド系日本人(祖父がインド人)
→星間開発財団【Lex Stella】では主任通信士を務める
★ポール・キング 男性 身長186cm 体重86kg(BMI値24.9:普通) テーマ:覚悟と友情
→多銀河間同盟27番銀河団第6011億1029万501 6代目空戦部隊所属部隊長 三等戦佐 50世代目強化人工生命体人間タイプ 外見は細めの筋肉質の20歳程度
→【ミレニアム】創設者三人の一人、ユキとゼイラムとは戦友であったが死別
→ユキが位相分離した別宇宙の先でも再会、同姓同名で見た目も全く同じ存在だった為、ユキが錯乱するきっかけになった事に若干傷付いている
→ユキやマヒマ、ゼイラムと幼馴染で彼らをよく知る数少ない人物であり、表にはあまり出さないが三人を大切にしている
→後輩達の面倒見が良くポールを信頼するモノが大勢おり、特に天川雪夏はポールに明確な好意を表に出しているが、本人は敢えて気付かないフリをしているが理由があるらしい……
→地球の工学系専門校の航空宇宙技術科を卒業、パイロット資格を得て財団にマヒマと共に就職し、後に第一航空戦隊第一小隊の部隊長に任ぜられ後輩達と切磋琢磨していく事になる
→性格は快活で、言葉足らずな所も見受けられるが卑怯とは無縁と言い切れる素直さが在り、また余程の事が無ければヒトを嫌うことも無い気持ちの好い人物である
→魔導力は【瞬間強化】で己の身体能力を短時間だけ飛躍させ、瞬発力や観察眼も研ぎ澄まされるらしく素の操縦技術の高さも相まって艦載機パイロットとしての実力を底上げ出来る
→星間開発財団【Lex Stella】では前述の通り、第一航空戦隊第一小隊部隊長を務める
★ゼイラム(偽名) 男性 身長171cm 体重52kg(BMI値17.8:低体重) テーマ:復讐と狂気
→多銀河間同盟27番銀河団第1701億3980万1009空戦隊部隊長 三等戦佐 39世代目強化人工生命体人間タイプ 外見は痩躯の20歳前後
→【ミレニアム】創設者三人の一人、ユキとポールとは戦友であったが死別し、後にユキが位相分離した別宇宙の先で偽名と外見が同じのまま再会する
→ユキやポール、マヒマと幼馴染であり彼らはゼイラムの本名と過去を知っているが堅く口を閉ざしている
→財団の頭脳と言えるD・Dこと近濠麦秋に匹敵する多方面への豊富な知識を持つが、その経緯や理由はゼイラムと名乗るきっかけになった過去にあるらしい……
→性格は非情且つ排他的で多くのモノから憎しみに近い嫌悪を抱かれており、特に致命的なのは倫理観と道徳観の無さにあって、更にそれを自覚しても改めない所がトラブルを生み続けている
→しかし、ポールら友人の他、財団の当主であるL・Dことルクス卿やD・Dこと近濠麦秋、リューヌ・ソレイユ姉妹やヘルレイン艦長と言った極限られた人物には礼儀正しく、どうやら“結束の為の嫌われ役”を買って出ている様だがその真意は不明である
→魔導力は【縫合】で、透明の針と糸を生み出しどの様な物体でも繋ぎ合わせる(針と糸は無菌状態で、同時に殺菌と消毒を副次的に行う)
→これにより外科手術や溶接同様の接合が可能な他、自身(の脳細胞)と綺来アカイを介して【ココロユニット】の製造を行っている
→星間開発財団【Lex Stella】では、第一航空戦隊第二小隊部隊長を務める
★天川雪夏(てんかわ せっか) 女性 身長167cm 体重50kg(BMI値18:低体重) B:80 W:60 H:83(Bカップ) テーマ:感情と成長
→生まれながらに魔導力を持つ【適合者】で、姉の冬鸙と共に財団に操舵手兼護衛機のパイロットとして就職
→姉妹で互いに由来するタトゥーを彫っており、雪夏は左肩に鸙(ヒバリ)を入れている
→外見は20代前半の、細くも太くも無く健康的に筋肉が付いた女性
→雪夏が財団に就職した時からポールは先輩職員であり、彼の気持ちの好い性格と誠実さ、面倒見の良さに惹かれ好意を抱いており隠す気もあまり無い
→一方、姉である冬鸙の死に関わったゼイラムに(憶測も含め)憎悪を抱いている(後に、綺来アカイの一部が冬鸙であると知らされより強く嫌悪する)
→対して綺来アカイには複雑な感情を持っており、一部が姉であるが他者も混ざった、言わば合成人間に加えて無口無表情ゆえに何を考えているか判断が出来ず、どう接して良いか分からない様子
→本人は自覚していないが、パイロットとしての技量は高く才能も在ると周囲(主にポールとゼイラム、そして赫鍵)は評価している……が、後述の性格ゆえに未だ開花していない
→性格は良くも悪くも正直且つ素直で、自他共に認める短気であり感情的でもあるが、責任感は強く自分に厳しい努力家の一面もある
→魔導力は【超感覚】で、一時的に五感のいずれかを強化出来る為、ポールと同様にパイロットとしての技量の底上げが可能
→星間開発財団【Lex Stella】では、第一航空戦隊第二小隊に配属され、前述の理由から部隊長のゼイラムとは度々衝突している
VA -夜明け- @kirai-shiroi
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