寝すぎたオッサン、無双する〜親友カップルをかばって昏睡から20年、目覚めたら俺のハズレスキル〈睡眠〉が万能究極化してて最強でした。超人気配信冒険者の親友の娘姉妹が、おじサマと慕って離してくれません〜
寝すぎ21 試される度量と覚悟と精神。――み、見えっ……!?
寝すぎ21 試される度量と覚悟と精神。――み、見えっ……!?
「……? ん。聞こえなかった、の? ネルおじ。わたしもいっしょに入る。だから、背中流しっこ、しよ……?」
夜の屋上露天風呂。
背中ごしにふたたび聞こえた甘い甘い蜜のような声。
それを聞くネルトの頭はいま、混乱の極地にあった。
――い、いっしょに入るぅっ!? せ、背中の流しっこぉ!? 15歳の体のあちこち、育ちに育ちに育ちまくった女の子がっ!? い、いや待て……! あれだ……! お、落ち着け……!? こういうのは、きっちりタオルを巻いてたり、水着だったりと相場が決まって、いやそれでも十分やばいけど……! って、え? 衣擦れの音がかけらもしな、い……?
いまやハワードに匹敵する英雄冒険者並となったネルトの感覚。
さらにそれを研ぎ澄まし、鋭敏に知覚するも肌とタオルの擦れや、動くたびにほんのわずかにずれるはずの水着の肩ひもといったかすかな変化すら感じとれず、いよいよもってネルトの混乱は最高潮に達し、そう結論づけるを得なかった。
――う、うあっ……!? じゃ、じゃあ、マジでこのうしろには、振り返ったら、い、一糸まとわぬ……!?
「ネルおじ……? なんで何も言ってくれないの……? もしかして、だめ……なの……?」
「い、いやっ! ダメじゃない! ダメじゃ…………!? あれ……? ス、ピー……?」
甘えながらも拗ねた子猫のような声を出すスピーリア。反射的に思わず振り返ったネルトは、さらに困惑を深めた。
「……? ん。どうした、の? ネルおじ?」
一糸まとわぬ、すぴぷるぷにゅんと出るところが出まくったその肢体――の胸をはじめとする体のあちこちを不自然にもやが覆っていたのだ。
ガララ……!
ぺた、ぺた。
「……ふう。どうやら、うまくいったようね。それにしても、はあ。まさか、あたしたちがこの機能を使う日が来るなんて思わなかったわ」
「ぱ、ぱぱ、パフ……!?」
「パフねえ」
扉を開けてあとから入ってきたのは、娘姉妹の姉パフィール。
ぱふぷるぷにゅんと妹に負けず劣らず育ちに育ったその一糸まとわぬ肢体も胸をはじめとしてやはりあちこちもやに覆われている。
それと、ずっと結っていた金色ツインテールがいまは下ろされ、ネルトの目には新鮮で少しだけ大人っぽく映っていた。
ネルトが目をパチパチと瞬き、何度か指でゴシゴシするも、やはりそのもやはとれはしない。
「……べ、別にオジサマの目がおかしくなったわけじゃないわよ? せ、センシティブモードで逆にあたしたちからもオジサマのそ、それ……もやで見えてないし……」
「そ、それ? ……って、うわぁっ!?」
いまさらながらにネルトは、自分がタオルで覆ってすらいない真っ裸であることに気がついた。あわてて逃げるように湯船の中へと沈みこむ。
その後、かけ湯で軽く汗を流して、ネルトといっしょに湯船に浸かり、「「はあ……」」とそろって感嘆の息をつく娘姉妹。
その姉パフィールの説明は、こうだった。
センシティブモード。それは、屋上を覆う結界内の空間調整機能の一つ。簡単に言うと視認対象に対する結界内の魔力濃度を自動調節し、対象の局所に視覚阻害のもやをかける、もっとぶっちゃけて言えば混浴用の機能。
「スピーがどうしてもオジサマといっしょにお風呂に入りたいっていうから、あわててさっき起動したのよ。初めて使ったからどうなるか不安だったけど、うまくいってよかったわ。スピーったら、起動を待たずにさっさと先に行っちゃうし」
「ん。だって、ネルおじも今日からわたしたちの、家族。家族はいっしょにお風呂に入るもの、だから」
――そうか。だから、スピーは、あんな…………ん? 家族いっしょにお風呂?
「お、おい? パフ。スピー。それって、いつも一緒に入ってるってことか? は、ハワードもか……!?」
「え? あたりまえじゃない。最近は忙しいからあんまりだけど、帰ってきたときは、必ず一回はパパとママとあたしとスピー、家族みんなでいっしょに入ってるわよ?」
あっけらかんとしたパフィールのその答えに、ネルトは驚きと戦慄を禁じ得ない。
――は、ハワード……!? おま、おまえ……!? そりゃ娘とは言え、マジで、マジですげえよ……! 俺の、親友……!
鋼鉄の精神力で抑えているのか、育ちに育ちまくろうともいつまで経っても手のかかる幼い娘感覚でまったく気にしていないのか、いまだに夫婦超熱々ラブラブすぎて
「ま。と言うわけだから、お互いに絶対に見えたりはしないわ。だから、オジサマもこ、このままいいかしら……? あたしとスピーとの、こ、混浴……!」
口に出した途端に恥ずかしくなってしまったのか、ブクブクと湯の中に真っ赤になった顔ごと沈んでしまい、最後は聞きとれないほどに小さくなってしまったパフィールの言葉。
けれど、ここまで自分といっしょに風呂に入るためにいろいろと娘姉妹がしてくれたことにネルトが応えないはずもなく。
「おう! い、いいぜ! こうなったら背中でも髪でも、洗って、洗わせてやらぁ!」
とにもかくにも、見えないんならネルトもまあ大丈夫かと思い、なしくずし的にはじまった娘姉妹との混浴。
「ん……! ネルおじ……! じゃあ、まずはわたしに背中流させて……!」
――だが、それは油断以外の何ものでもなかった。
ざぱっと水音とともに、もやのかかった雫の滴る裸体のスピーリアがすぴぷるんと立ち上がる。
――その度量と覚悟と精神が限界を超えて真に試されるのは、まさに、これからだった。
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