二十一日目
「このお菓子、おかわり!」
橋川さん、そのお菓子。
わざわざ、二個ストックしないよ。
「人の家なんだから、しっかりして!」
自由な橋川さんとは違い、特に今日の高田くんは緊張している。
怖いと思っている人の家だから、まあしょうがないか。
うん、悲しい。
「高田、どうした。女子の家に緊張してんのか?」
あなたは、緊張しなさすぎ。
でも、緊張してるって言われて当然。
高田くん、正座なんだもん。
「早く、大富豪を始めよう。」
その声に、カードを見る。
「はい。」
ダイヤの三のカードを、床に置く。
「お、スートを縛れるぜ!」
ダイヤの三のカードの上に、ダイヤの二のカード。
「脳筋、飛ばしすぎだろ。」
当然のように、二人はパスする。
私も出したくない。
「パス。あ、高田くんのところにパスされたカードを移すね。」
パスされたカードを、高田くんのところに滑らせる。
「あ、ありがとうございます!」
手を巻き込んで、カードを受け取る。
触られたところが、ゾクッとする。
力が入らない。
心臓まで、跳ねる。
もう、嫌だ。
好きなのは楽しいけど、好きすぎるってのは辛い。
「あ、す。すみません。」
しかも。
その恋の道のりが、とても長いなんて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます