五話 オススメの地名と種族
メダカは黒板に色んな地名の名前を書き終えた。
「例えば魔法都市サザエ! 今いるここだね! サザエでは都会のような暮らしが出来るよ!」
「確かに高い建物とか多かったな……」
凪は魔法都市サザエの街の風景を思い出しながらそう思った。
「颯……魔法都市サザエに今日初めて来たのですか……?」
ムベンガは颯にそう質問した。
「そうだ!」
「さっき颯が地球から来たって言ってたような……」
「続いてイソギンチャク王国! 世界で一番大きいテーマパークがあるよ!」
「楽しそうだな〜」
「そうね」
「じゃあ次はヒトデ村! ヒトデ村は自然豊かな所でそういう暮らしをしたかったらオススメだよ! ヒトデ村には
「藁暮らし!? 音漏れ凄そうだな……」
爽は藁の家での暮らし対しての感想を言った。
「藁の家は絶対嫌だな……」
そう凪は思った。
「あとは……モンスターだらけでダンジョンがあって打倒魔王の世界もあるよ! その名前はホタテワールド!」
「ホッ……ホタテワール!?」
潮は驚いた時になる表情になってそう言った。
「ホタテワールドっていうのはね、いわゆるRPGの世界なんだよ!」
「RPGってなに?」
ライノはメダカにそう訊いた。
「簡単に言えば仲間と共に色んな所を冒険して様々なダンジョンをクリアしていって最終的に魔王を倒したら終わりの世界なんだ!!」
「あぁ……RPG系恋愛もやってみたいなぁ〜……」
「なんだRPG系恋愛って……」
潮は爽に向かってそうツッコんだ。
「じゃあ次は種族について話すね!」
メダカは黒板に色々な種族の名前を書き始めた。
「他にも色々なスポットはあるのだけれど……他の所はこの世界に来たばかりの人にはオススメし辛いんでしょうね……」
「じゃあ種族について説明するよー! 準備は良い!?」
「はーい!」
爽と颯はメダカの言葉に元気良く返事をした。
「まず普通の人間ね! まぁ……そのまんまだね! バランス系みたいな感じかな!」
「バランス系……聞こえは良いけど酷いな……」
「普通の人間って……普通の人間ではないか!」
「残念ながらなんの特徴もない人のことだと思うわ……」
「転生者とかも普通の人間だからまぁ……平均的で良いってことで勘弁して!」
「普通の人間は一言で終われるのが辛いな……」
そう凪は思った。
「じゃあ光線族を紹介するね! 光線族は自然魔法と不自然魔法とさらに光線、つまりビームが放つことが出来るんだ! ビームは硬くて痛いよ!」
「いいなー! ビーム!」
颯は羨ましそうにそう言った。
「はぁ……そうですか……」
「え……今……誰かなんか言ったかしら……まぁ良いわ……」
「次はヒトデの民! ヒトデの民は魔力がもの凄く強くて握力が長い種族で髪が橙色が特徴の種族だよ!」
「握力が長い……? 魔法使いが杖を長く持てるってことか……?」
そう凪は思った。
「光線族とヒトデの民は運動が苦手って過去言われてたんだけど、最近のヒトデの民は運動能力も凄くなってるって噂があるよ!」
「運動能力も凄い……? 魔法使いっぽいのに……? やば」
「ちなみにヒトデの民はヒトデ村に多く住んでいるよ!」
「なるほど〜。ヒトデ村に住んでいるからヒトデの民なのか〜」
ライノはそう発言した。
「先生がヒトデの民だったら魔力が強いから強い酒を飲めたでしょうね! 先生は残念ながら普通の人間だけど……」
「先生……これからも頑張って下さい!」
爽はメダカに応援の言葉を贈った。
「ありがとう! じゃあ次はヒトデ村の近くの山に住む色んな種族のことを紹介するね!」
「山に住む色んな種族か……色々問題とか起きてそうだな……」
そう凪は思った。
「その山には獣人や妖怪などが住むらしいよ!」
「獣人や妖怪……魔法都市サザエの街中を歩いている時に見かけなかったから……そうなのかな……」
「あっ、鬼と人間のハーフもいるよ!」
「ふっ……もちろん俺はどんな女の子も愛せられるぜ……」
「じゃあ次は妖精ね! またの名をエルフ!」
「妖精ちゃんもカモン……」
爽はそう言って右手を手招きする動作をした。
「女性近寄り難しな存在だろお前」
潮は爽にそう指摘した。
「黙らっしゃい!」
「エルフはね! 他の種族には出来ない空中から魔法を放つことが出来るんだよ!」
「え? つまり妖精以外は自分の体からしか魔法は出せないのか?」
潮はメダカにそう訊いた。
「妖精以外は接している地面や壁や天井からだったら可能だよ!」
「じゃあ空中から魔法が放たれたら近くに妖精ちゃんがいるってことですね!」
「そう! あと他人の体の中から魔法を出すことは妖精でも誰でも絶対に出来ないからね!」
「……それを許すと簡単に心臓とかにダメージを与えることが出来るだろうからね」
「ちなみにエルフの特殊はみんな140cm以下で羽根が生えてて、小さくて可愛いんだよ!」
妖精の説明を聞いた爽は潮の顔を見つめ始めた。
「……どうした? 我に何かついているか?」
「いや小さいから妖精……?」
「我は妖精ではないぞ!」
「妖精は羽根が生えているから違うと思うよ!」
「失礼だぞお前!」
「あっそうかすまん……可愛くないし可愛気も無いから妖精ではなかったな……」
「可愛気無いは余計だ」
メダカは右手の掌と左手の掌を合わせるように一回強く叩いた。
「はい! これでここでの説明は全部終わりだよ!」
「終わった〜。終わったけど多くて覚えられなかったな〜」
周りに向かってそう言うライノはとぼけた顔をしていた。
「全然良いのよ。知りたいことがあったら出来るだけ教えてあげるから」
サギフエがそう言った後、颯は立ち上がった。
「メダカ先生! 説明ありがとうございました!」
颯は大きな声でメダカに対して感謝の言葉を贈ると、席に座っていた他の七人は立ち上がった。
「せーの……」
「……ありがとうございました!」
颯の呼びかけでメダカの話を聞いていた者が一斉にお礼の言葉をメダカに贈った。
「どういたしまして〜! もし良かったら魔法学校の図書室に寄ってみても良いよ! ちなみに魔法学校の図書室の本は全部無料で読めるから!」
「無料だと!?」
「学校の図書室はイヤらしい本が無いだろうけど読みに行って見るか」
「魔法学校はどの階にも無料の図書室があるから! じゃあ魔法学校が閉じる夜までには解散しといてね! あっ! 魔法学校が閉じるのは午後九時だから!」
数分後、メダカは教室からいなくなった。
「思ったよりあっさり終わったな……」
「混んでるのよここは。魔力を宿すのに失敗してリベンジしに来る人達が多く来るから」
「そのことで気になってたが、魔力を宿す確率は低いのか? 脱落者結構いたが……」
「えぇ、確か10%って聞いたことがあるわ」
「なら一回で魔力を宿した我達凄いな!」
「確かにね。それは超誇らしいことよ」
「……なんでそんなに魔力宿すのに厳しいんだろう? 簡単に魔力を宿せたら魔法学校の存在が微妙になるからかな?」
凪がそう思ったその時、颯の元にムベンガが近付いた。
「君か! 具合は大丈夫か!?」
「はい……あの……頼み事があります」
「何だ!?」
「私と一緒に家に来てくれますか……?」
「き……来てくれますかー!? しかも家にえー!? なんじゃそりゃあ!! ずる! 美少女に誘われるとかずる!! お前良いイベントに引っ掛かっててずる!!」
「う〜ん……」
「颯! 行ってあげなさいよ!」
サギフエは颯にそう言って、左足で颯の右足を蹴った。
「痛た!!」
「ずるいぞ!!」
爽もサギフエと同じように颯の左足を蹴った。
「あの……止めてもらってもいいですか……」
ムベンガはサギフエと爽に注意した。
「あっ……ごめんなさい……」
「美少女の一目惚れではなさそう……なんか変だな……」
「分かった! 誘いに乗ろう!」
「あぁ……来てくれるんですね……」
教室に来て初めて喜びの表情への変化したムベンガは颯の服の裾を両手で優しく握った。
「なんか引っかかるな……」
そう思った凪は何かに対して疑問に思っている時になる様な顔付きになっていた。
「一致してる……颯と……」
*
颯とムベンガの二人と別れた海・爽・潮・凪・サギフエ・ライノの六人は魔法学校から出て、歩きながら話しをしていた。
「いいなー! 美少女に誘われて……!! くそっ!! ずるいずるい!!」
「めっちゃ悔しそう……」
「でもムベンガには友達を一切作らないって噂を聞いたことがあるけど……」
「え? なんでだ? 美少女だから簡単に友達作れるだろ」
「知らないわよそんなの」
「サギフエちゃんも美少女だぜベイベ〜!」
「あぁ〜ありがとね」
「ってかムベンガちゃん友達作らないってことはあいつヤバい! あいつ襲われる! 今すぐあいつを連れ戻そう!」
「いや……絶対颯の心配してないだろ……」
「変な目に合ってないといいわね」
「颯は天然で良い人っぽいから簡単に騙されそうだけど……」
凪がそう呟いたその時、一緒に歩いていた海が離れ出した。
「あなたどうしたの?」
「俺はここで別れる」
「えぇっ!? どこへ行く気なの!?」
「単独行動しない方が良いぞ」
「止まりなさい!!」
サギフエは海に向かって大きな声でそう命令したが、海は足を止めることをしなかった。
「俺はどこへ行こうと勝手だと思うが……」
「別にいんじゃね。好きにさせれば」
「いや駄目よ爽! 海を抑えなさい!」
「えぇ〜……俺、男を取り押さえたくな〜い」
「あいつ走り出したぞ!」
潮は走り出した海を見て指差した。
「爽! いい加減に追いなさい!」
「俺は男を追いたくな〜い……女の子を追いかけた〜い……」
気分が下がり気味の爽がそう言った瞬間、海は縄でぐるぐる巻きにされて身動きが取れない状態になった。
「あ、執事」
ライノはその場に姿を現した海を捕まえた人を見てそう言った。海を捕まえた人はサギフエの執事のオイカワだった。
「サギフエ様、逃げようとする者を捕まえました」
「ナイスオイカワ」
「離せ……!」
海は体を動かして抵抗しているが、一向に縛りから解かれる気配は無かった。
「まったく……大人しくおもてなしをされることも出来ないの?」
「俺は一人が良いのだが……」
「お前……サギフエちゃんからおもてなしを受けることが出来るのに逃げるとか訳わかんねーな」
「次勝手に逃げたら……しばらく外に出させないわよ」
「なんだこの女……」
「オイカワ! 夜も海を見張っとくのよ!」
「かしこまりました」
「かわいそうに……」
凪は捕まってる海を見ながらそう思った。
*
一方その頃、颯とムベンガの二人は魔法都市サザエの街中を歩いていた。
「颯……あなたの名前は颯で合っていますか……?」
ムベンガは歩みを止めて颯にそう聞いた。
「私の名前は颯で間違いないです!」
「……やっぱり不自然な名前」
「あっそうか……この世界の人は生き物の名前が普通なんだった……!」
「颯は……私のことを知っていますか……?」
「う〜ん……えっと……ごめんなさい!! あなたのことは知らないです!!」
「そうですか……」
「もしかして違う人と……その……勘違いしてるとかは無いですか?」
「……それを確かめる為にあなたに付いてきて欲しかったのです」
「あっそうか……ごめんなさい……」
「謝らないで下さい……私が何も説明をしていなかったから……」
「せ……説明……」
「颯はおいくつですか?」
「年齢か!? 今は十八歳で今年で十九歳だ!」
「そうですか……実は私……今日誕生日で十八歳になったのです……」
「今日誕生日!? おめでとう!」
「はい……十八歳になったばかりですけど同い年です」
「あぁ……なるほど! 今日四月一日ってギリギリ早生まれだから……今日十八歳で……えーっと……私と同い年だな!」
「はい……」
悲しそうな表情のムベンガはそう返事した。
数分後、二人はムベンガが住むという家の玄関前に着いた。
「家が大きい……!」
「私の父は魔法学校の学長なので……」
「本当か!! それは凄いな!」
颯はそう言った瞬間、ムベンガの両目から出た涙が頬を伝っていった。
「えっ!? だ……大丈夫か!?」
「やっぱり記憶に無いのですね……」
「……あぁ」
「取り敢えず……家に入って下さい……」
ムベンガは服の袖で涙を拭き取り、家の玄関のドアの鍵を開けて颯を家に招き入れた。
颯はムベンガが住むと言う家に入り、さらに颯はムベンガの部屋へと入った。
「えっ……!?」
颯は部屋に目立つ所に飾って貼ってある半紙に墨で書かれた颯の一字を見て驚きの表情になった。
「颯……!? 私の名前と同じだ……」
「実は私……小学校の頃に颯にあったことがあるのです」
「颯に会ったことがある……!?」
「もし宜しければ私が……小学生の頃に会った颯について話をしても宜しいですか……?」
「そ……それは気になるな……頼むっ!」
ムベンガは颯に自身が過去に会ったという颯について話始めた。
なんかの話 みかづき椛 @tanshio0721
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