【第七足】JKだもの

「それじゃあ授業を始めます…stand up!!」

「「「お願いしまーす」」」

「sit down.thanks.Today is April 20,Friday.it's sunny.えー…今日は関係代名詞なので教科書開いて」

「愛先生!今日の下着何色っ!」

「愛先生〜今日も一段と可愛いね〜!今日は紺色かなぁ?」

「先生胸何カッ「あなた達うるさい。廊下に立ってなさい…あとセクハラ発言はダメだってこの前言ったわよね…?学習しなさい」

「(愛先生……よう耐えれるなぁ…)」


─学校生活やアルバイトに少しずつ慣れてきた四月のある日。その日は英語の授業が四時間目にあり、私達は愛先生の説明を聞きながら板書をノートに書いていた。

─院長から聞いた話だが、愛先生は大学時代に海外留学の経験があり、そしてTOEICを一発で満点を採ったのだとか─。

─そのお陰で彼女の授業は分かりやすく、そして板書の字も綺麗で、そして何より先生が可愛過ぎる─。だがしかし難点がある。男子生徒からのセクハラ発言が絶えず、授業が中々進まないのだ。それに時々女子生徒が学校に不要なものを持ってきており、その生徒指導もしてるので、このクラスは学年では一番英語の授業の進捗が悪いのだ。


「本当に懲りないわね…」

「愛先生、分からへんところがあるんですけど…」

「どれどれ…」

「(愛先生…めちゃくちゃええ匂い……大人の女性や…舞姫さんとはまたちゃうええ匂い…)」

「………夢玖ちゃん?」

「…愛先生が可愛過ぎて……中々目見れへん」

「もう……関係代名詞は、先行詞が物か人に寄って違うの…二つの文を接続詞と代名詞で繋ぐのよ」

「そうなんや……そんなら、whoとthatってどう使い分けるん?」

「それはね……」


─やがて授業は終わり、昼休みとなった。午前中の授業が全て終わったことでホッとし、私達は弁当の準備をした。いつもは舞姫さんが作ってくれるのだが、何故だか今日は自分で作りたくなり、舞姫さんに見てもらいながら弁当を作ったのだ。


「うわぁ…!夢玖ちゃんのお弁当…自分で作ったの?」

「せや。いつもは舞姫さんが作ってくれてんけど…今朝自分で作りたくなって、舞姫さんに見てもらいながら作ってん……卵焼き焦がしてもうた…でも初めての料理、楽しかったで」

「やるじゃない!懐かしいわねぇ…中学生の頃、お父さんお弁当忘れて、よく二人で届けに行ってたわ…お父さん、お弁当だけ忘れてお箸と煙草だけ持っていくのよ…ふふっ」


─卵焼きは少し焦げてしまい、おかずの詰め方も雑にはなってしまったが、それでも皆は褒めてくれた。それと同時に愛先生が、中学生の時の思い出を語ってくれた。それは院長がよく弁当を忘れて舞姫さんと一緒によく届けに行ってたのを─。─院長で思い付いたのか、愛先生は夜海と仁愛に提案してきた。今度のお祝いで二人にも来て欲しいと、当然二人は承諾した。


「先生のお父さん、多忙なんだ…」

「えぇ。南北北病院の院長なんだけど、大の甘党なのか、ご飯にいちごミルク掛けて食べてるのよ……四十代のおじさんなのに」

「……ご飯にいちごミルク……実は先生も?」

「流石にやらないわよっ!そうだ…今度お父さんが、新しい家族が加わったことを記念して、冰山駅前のイタリアン予約しててね、友達も連れて来て欲しいって話してたの!だから、良かったらあなた達にも来て欲しいのよ」

「うわぁ…!行きます!」

「行きたい〜!」

「決まりね。バイト先でお友達も出来たのよね?彼女も誘ってくれないかしら?」

「はい…」


─そして、私達は昼休みを終え、午後の授業や清掃にも励み、そして放課後になった。この時を楽しみにしていたのだ。何故なら、初めて友達と遊ぶから─っ!


「よし夢玖ちゃん……まずは寿賀河駅に行こうっ!」

「ゆっくり行こうね〜!途中でコンビニあるし、アイスとか買いながら行こうよ!」

「(私もやっと、普通の青春の中に居られるんやなぁ…)」


─夜海や仁愛は自転車、私は徒歩のため、ゆっくりと寿賀河駅に向かった。大体一時間くらい経過しただろうか。寿賀河駅に着くと、沢山の高校生がいた。嗚呼これが普通の高校生の放課後なんだと、分からされた。電車で冰山駅に行くので交通系ICカードを取ると、仁愛は驚いた。


「何このカード…」

「イコカやけど…?これで阪神電鉄や地下鉄とか乗るんよ?」

「東日本でいうスイカかぁ…さすが関西人だね」

「ほな、冰山に行くで」


─私が手に持ってるのは、西日本で主に使われる、交通系ICカードのイコカだった。これで地下鉄や阪神電鉄、JR線に乗るものなのだが、東日本ではスイカという交通系ICカードが主らしい─。改札を通り、ホームに行くと、あることに気付いた。


「なぁ夜海ちゃん…見てや……電車にボタン付いとる…!」

「東北本線とか東北の電車にはこのドアの開け閉めボタンが付いてるんだよ。なんか乗務員の負担軽減と車内温度の保持とかだって……」

「へぇ……大阪で見いひんなぁ…これが東北の普通なんやなぁ…」

「そうっ!とりあえず乗ろうか」


─なんと、電車のドア付近に開け閉めボタンが付いていたのだ。夜海曰く、東北の電車のドアには開け閉めボタンが付いているとのことだ。久しぶりに乗る電車に胸を踊らせながら、電車に乗った。


「次は〜、安栄永盛〜安栄永盛〜。水軍線ご利用の方はお乗り換えです」

「夢玖ちゃん楽しそう」

「ねっ!」

「ゴロゴロ…」

「「(猫みたいに分かりやすい…)」」

「そういえば夢玖ちゃん、冰山駅初めてだよね?色々案内するからね!」

「おおきに」


─電車の窓から見える景色にひたすら心が踊っていた。多分、大阪の電車から見えるそれと重ねて、だろうか。大阪は─関西は沢山の路線があるのに、ここ─東北は至って少なくシンプルである。まもなく冰山駅に着いた。


「次は終点冰山〜冰山〜。福島・奉川方面お越しの方、東北新幹線、水軍線、磐悦西線、磐税東線ご利用の方はお乗り換えです」

「着いたよ!まずはクレープ!クレープ食べよ」

「うん…!」

「よし、改札出てエレベーター降りようか」


─改札を出て、私達は冰山駅内に着いた。仁愛曰く、高校生は皆ここで遊ぶことが多いのだとか。冰山駅内にはコンビニはもちろん、ドラッグストアや花屋、隣には駅ビルもあった。私達はクレープを食べに、エスカレーターで降りたのだが───


「エスカレーター右立ちなんだ…」

「東日本では左立ちなんやな…」

「うん…ブレザー熱い…よいしょ」

「に、仁愛ちゃん……!」


─なんと東日本ではエスカレーターは左立ちらしく、大阪と明らかに文化が違い驚いた。それと同時に仁愛が制服で暑くなったのか、ブレザーやセーターを脱いだのだが──私と夜海は目のやり場に困っていた。


「二人とも…どうしたの?」

「いやぁ…別に…(仁愛ちゃん…シャツキツそう…特に胸の部分がっ!)」

「(谷間と刺青が丸見え……てか思った以上にたわわ…)」


─そりゃあ─カッターシャツの襟から胸の谷間と同時に鎖骨の刺青が見えたのだから。完全に─。というか、彼女の制服のスカートも短く見えた。


「仁愛ちゃん、思ってたんだけど、制服サイズ合ってなくない?」

「そうなの…お姉ちゃんのお下がりだし…」

「そりゃカッターシャツがキツいわけやな…私はよクレープ食べたいっ!」

「よし、食べに行こうっ!」


─あまりの色気に魅了される私と夜海であったが、何とかクレープ屋に着いた。私はストロベリー抹茶アイスクレープ、夜海はアップルシナモンアイスクレープ、仁愛はバナナチョコアイスクレープを注文した。


「これがクレープ……っ!」

「ふふっ。まずは食べてみて」

「うん……んっ!な、何や…この凄いスイーツっ!めちゃ美味いやんか!」

「そんなに美味しかったんだ。私の一口あげる」

「ええよ昨日とお弁当のおかずもらってんに」

「新しい味の冒険じゃん…あーん」

「んっ!うみゃあ〜!」

「「(可愛い〜!餌付けしたくなる…)」」

「仁愛のチョコバナナも…ほらっ!」

「ん〜!美味ひ〜!」


─これが予想以上に美味しくて驚いた。夜海や仁愛も一口をくれ、甘い一時を味わった後はプリクラを撮った。カメラや画面に向かって─


「このプリ機で撮ろうよぉ!」

「うわぁ…」

「ほら夢玖ちゃん、笑って…ピース」


─パシャリ、というシャッター音と光が響き、私は目を瞑ってしまい、目を瞑ったまま写真が撮れてしまった。だが、プリクラの機械によっては盛れたり、撮り直しが出来ると知った。そしてようやく撮り終えた。


「嘘やろ……目瞑ってもうた…」

「大丈夫大丈夫。このプリ機は撮り直しも出来るの!」

「ほら、撮るよー!」

「かっわいい〜!うちら盛れてるね!」

「楽しい〜!」

「ふふっ。夜海ちゃん…なんか他の女子高生、化粧とか髪巻いとるんやけど…あれは何や?」

「ふふっそれはねぇ……」


─初めての友達。初めて遊ぶ放課後。そして初めてのクレープにプリクラ─とても楽しかった。しかしプリクラのコーナーで、ドレッサーのような台が何台も置いてあり、そこで化粧や髪を巻いてる女子高生も多かった。プリクラを撮ると、私達は冰山駅に戻り、化粧品を見た。


「夜海ちゃんにはこの色似合うよー」

「ありがとう。買おうかな」

「化粧品…見るん初めてや……ファンデーション…?アイシャドウ……?」

「ふふん。ねぇ仁愛ちゃん…夢玖ちゃんに合う化粧品、探しまくろうよ」

「うんっ!このアイシャドウとかどうかな?」

「うんうんっ!それなら…このハイライトにチーク……あとリップ、絶対似合うよー!」


─色んなブランドに沢山の色やパレット、似たような色の化粧品が沢山並んでいた。鮮やかな色の化粧品もあれば、明るい色の化粧品も多かった。何とか二人についていくために、舞姫さんが化粧してる場面を想像するが────美容の用語も多く、ついてはいけなかった。

─最初は仁愛と夜海がお互いに合う化粧品を探していたが、仁愛に引っ張られ、二人は私に合う化粧品を探してくれた。そのせいであっという間にカゴが化粧品で一杯になった。


「てか夢玖ちゃん肌白過ぎる…可愛いのに化粧しないともったいない!」

「化粧か……あまりやり方知らへんのよね」

「それなら今度教えてあげる!てか今度また買い物とか行こうよ!夢玖ちゃんプロデュースしたいっ!」

「そして廉命さんと……」

「「ぐへへ……」」

「二人とも何か……悪い顔しとるで?」


─そして会計を終え、冰山駅から少し移動して、しゃぶしゃぶ屋に向かった。受付を済ませ、待ち時間に出汁やコースを決め、私達は席に座った。


「初めてのしゃぶしゃぶ、どう?」

「……食べ放題やから、緊張しとる…昨日生野さんにおすすめ聞いとったのに忘れてもうた…」

「もう…まあ何でも美味しいから大丈夫だよ。そういえば同じバ先の子とは連絡取れた?」

「あ、忘れとった……ええと、是非行きたい、らしいで」

「やった〜!楽しみ〜!」

「しゃぶしゃぶはね……出汁が一つ選べるんだよ…夢玖ちゃん、何食べたい?」

「……せやなぁ…私、この豆乳出汁、かなぁ」

「決まりね。野菜やお肉、あとデザートも食べ放題なの!薬味も色々あるし…ジュる」

「ドリンクバーも要るよね…よし、お肉頼んだから、野菜やご飯取ってこうっ!」


─仁愛がタッチパネルで肉を注文し、私達は野菜やご飯を取った。注文したものを猫ロボットが運んでくれたり、取った野菜や肉を煮込んで、そして薬味に付けて食べ、満喫していた。


「んにゃ〜!おいひ……」

「本当に美味しそうに食べるねぇ…可愛い」

「ねっ!今度遊んだ時は回転寿司とかラーメンも行こうっ!カラオケも良いよねぇ…」

「ボウリングとかもスポッチャも良いよ!」

「………高校生ってこんなに楽しいんやな」

「私ね…家庭環境悪くて休学して、卒業が遅れたからまた高校生三年生をやり直すことになったんだけど、まあ高校に入ってからずっと辛い思いしてたけど、夢玖ちゃんが来てくれたから、毎日楽しいよっ!これからも一緒にいようねっ!」

「仁愛もね……よく容姿で周りの女子から嫌がらせを受けたり、教師から下着姿の盗撮されて辛かった…でも夢玖ちゃんに出会えて…毎日楽しいっ!」

「うんうんっ!今年は文化祭も体育祭もあるんだからっ!精一杯楽しもうよ!」

「色々事情あるんやなぁ…私と友達になってくれておおきに、二人とも……ぐすっ」


─高校生ってこんなに楽しいんだと思っていたが、実は仁愛や夜海達はそうでなかったらしい。仁愛は容姿の良さや周りからの嫉妬により、夜海は家庭環境により、高校生活が楽しくなかったらしいが、でも今は私がいるから毎日高校が楽しいと言ってくれた。

─その言葉に嬉しくなり、私は泣いてしまった。


「あとね…今年の夏には寿賀河で花火大会もあるの。県内で一番規模の大きい花火大会がね…あとはハロウィンにクリスマス……最後の高校生活なんだから、目一杯楽しもうね!」

「……うんっ!」


─こうして、私達の絆はより深まった。ここに来るまではずっと絶望に満ちていたが、生野さんとの出会いにより、日常が大きく変わった。学校も、アルバイト先も、友達も、何もかもが初めてだった。

─色々辛いことは沢山あったが、私を大切に思ってくれる彼女達と、最後の高校生活を目一杯楽しみたいと思った。

─願わくば、この時間が永遠に続けば、と思うばかりだった。




……To be continued








――――――――――


<キャラクター紹介⑥>


名前 : 加堂 霧也(かどう きりや)

血液型 : A型

誕生日 : 6月14日

身長、体重 : 178cm、83kg

MBTI : ENTP

好きなもの : チョコレート、アメフト

嫌いなもの : タルタルソース(変な味でムカつく)

趣味・特技 : 喧嘩、アメフト、筋トレ、ゲーム


某スポーツ用具で働く、競技担当の28歳。

幼い時からアメフトをやっていて、大学時代では日本代表候補に選ばれる程の実力があったものの、ある練習試合により、アキレス腱断裂という大怪我を負い、余儀なくアメフトの世界から引退した。その為気性が荒くなり、その素行で某スポーツ用具店の社員やアルバイトは激減してしまった。希望とは気が合うのかよく喧嘩している。悪人面と言われてるが、実は相談上手。

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