青春時代編②
「放課後暇?私と映画行かない?」
いつものように教室でナクアと机を合わせて昼飯をしていると、そんなことを言われた。
我々の昼飯はナクアが作ってきたハムサンドイッチ重箱である。ハムとパンだけが重箱にうんざりするほど詰められている。次回はチーズとか野菜とか違う具も入れて欲しい。ナクアは味覚が鈍感ではないのだが、美味しいと不味い以外の感覚がほとんどない。何を食べても美味しいと言う馬鹿舌だ。
「男と行かないのか?」
ナクアには現在の肉体年齢的に年上の彼氏が居る(ナクアの本体は惑星の年齢と同じくらいだろうが)。ノロケを聞かされることも多い故に余は彼氏の存在を知っていた。表向きは。実際はもっと前から観察していた。
「
じゃあ扱いで余と映画見に行くのか?構わないが……
ちなみにナクアの彼氏である
「ちなみにタイトルはなんだ?」
「『ガメラ2 レギオン襲来』」
怪獣特撮映画を女子高生二人で見るのか?
『ガメラ2 レギオン襲来』は面白い映画だった。札幌近郊に宇宙から怪獣が落ちてきて、自衛隊やガメラ(空飛ぶ巨大な亀)が地宇宙怪獣と戦う映画だった。
人類とガメラは友好関係であって欲しいものだ。妙に教養のある自衛官の台詞やガメラがレギオン(小さい方)に覆われるシーンは官能的だった。
余は特撮に詳しくないのだが、人類に友好的な怪獣と心が通じ合う人間は何だ?
「人類に友好的な怪獣―モスラとか味方のときのゴジラとか―と超能力で交信ができる登場人物は怪獣映画にけっこう居たりするのよ」
ナクアは意外と怪獣映画に詳しかった。
「作劇的都合でそのような設定がありがちということか?」
「これは私の解釈の話になるんだけど、誰か一人くらい怪獣の側に寄り添って欲しいじゃない?人類の側に怪獣が寄り添っているんだから」
ナクアの怪獣映画の
「しかし貴様は怪獣に寄り添い過ぎだ」
「そう?怪獣映画の怪獣はキャラクターであって共感を寄せる先でもあるはずよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます