第12話 「長老へ」

 あたりの活気が少なり、公園の空気が落ち着いてきたころ。3人は少し気まずそうにしながらも、残ったご飯を食べ何気ない会話をした。


 「ご飯も食べたことだし、寝床を探すか」

 ご飯を食べて出たゴミを片付けながら、マナトは2人に問いかけた。


 「ミサ、いつも長老のところで寝てるよ!」


 「長老!?」

 マナトとカミヤは同時に聞き返した。


 「うん、長老優しいよ」


 野宿は怖いし、ホテルに泊まるにしてもお金がかかる為、一行はミサの言う長老の家に向かうことにした。


 長老の家は街の中心部から少し外れた田舎町にあった。長い長い上り坂を上り、家についた3人。


 「きつい...」

 息を切らして、ひざに手をつきながら呼吸を整えるカミヤ。


 「弱っちいな~」

 煽るマナト

 「よわっち~」

 それに便乗するミサ


 「はぁ...はぁ...はぁ...」

 カミヤはそれに怒れる気力もない様子であった。


 その異変に気づき、マナトはカミヤに手を差し伸べた。


 「しゃーねーなー、俺に乗っかれ」

 そう言うとマナトは、カミヤの腕を引っ張り自分の背中に乗せて、坂の歩き始めた。


 「へへ」

 ミサはその一連を見て、嬉しそうに微笑みながら、マナトに乗っかっているカミヤの背中を押して、補助をしていた。


 そうして3人は協力し合って、長老に家に着くことができた。


 「うおぉ~」

 玄関を開けてすぐ、マナト達を見た長老はびっくりしていた。長い口髭がゆらゆらと揺れていた。けれど、ミサが一緒に居ることに気づいて、すぐに家の中に招いてくれた。


 既に今日一日だけで、巨大サメ戦闘や財布取り返し、涙あり、この長い上り坂を上っていたので、マナト達はヘトヘトであった。


 軽い挨拶をしたあと、詳しい説明はミサにお願いして、マナト達は長老のメイドに空き部屋に招待してもった。


 汗や海水でベトベトだったため、眠い目を擦りながらシャワーを浴びた。そして、ベットに入った瞬間、深い眠りについた。


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 コケコッコーーー!!!


 長老が飼っている鶏の鳴き声で、マナトは目を覚ました。隣ではまだ、カミヤが寝ていた。起こさないように、そおっとベットから出て、リビングへと向かった。


 リビングの長テーブルに長老が座っており、既に朝食を食べ始めていた。近くにミサもいて、メイドと一緒にマナト達の朝食の準備をしていた。


 「おはよ!」

 マナトが起きてきたのをみて、ミサが元気よく挨拶をする


 「お、よく眠れたかね?」

 ミサの元気な声を聞いて、長老もマナトに気づく


 「はい、泊めてくれてありがとうございます」

 と、深々とお辞儀をする


 長老は優しい顔で手招きをする。マナトは近くに寄ると長老は話し始めた。


 「今すぐ、そのスキルを捨てなさい」


 今までの長老の優しい顔とは一変して、怖い表情で訴えてきた。マナトは一瞬、自分の聞き間違いかと勘違いしたが、長老の目を見るや、すぐに勘違いでないことを察した。

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