mission 8 フリカケッテジッサイケンコウメンドウナノ


俺は今宇宙服を着て宇宙空間を漂っていた。この宇宙服は体から排出された二酸化炭素や汗などの水分を人工光合成によって酸素に変える機能がついているらしく酸素ボンベなんかなくっても呼吸ができるらしい。よくわからんが。


てかなんで無重力の中俺たちは平泳ぎで進めているのだろうか。


「アラタ、大丈夫かい?」


「ああ。なんとかな…。」


かれこれ1時間くらいだろうか。俺たちは何も無い宇宙空間をただただ彷徨っている。道筋は発信機を通してメガネ女が教えてくれる。ある程度は宇宙服に装備された暗視ゴーグルで近場は見えるが、実際ほとんどなにも見えず何もないこの空間は恐ろしい。

こんなマザコンでもいないよりはマシだ。


「こんな真っ暗な中、宇宙怪獣にでも襲われたらどうしようね。」


滅多なことを言うな。そう言うのはフラグって言うんだぞ。ほら変な音が聞こえてきた。ごおおおって。ごおおお?え?


音のする方を見てみると俺たちを挟むように小型の宇宙船が2機並走していた。


「フラグ回収早すぎだろぉおお!!」


「聞こえますか?2人とも。未確認の機体が2機反応しています。敵襲の可能性がありますので戦闘に備えて下さい!」


「おい聞こえたか?マザコン!」


「ああ。早速、僕たちの合図の出番じゃないか。」


そうだ!俺たちには念入りに決めた作戦がある。

ここは意思疎通を図ってこの場をどうにかやり過ごすんだ。


「まずはこれで行こう。」


そういうとテンマは俺に向かって俗に言うグッドポーズをとった。


よし。その合図だな。えーっとその合図の作戦は…ん?作戦?


「おい。マザコン俺たちって合図決めたけど作戦決めたっけ?」


「あ。」


「え。」


終わった。俺たちは合図を決めるのに夢中になりすぎて作戦なんて1つも考えていなかった。


「ア…ア。キ…えるか?」


なんだ?通信機から見知らぬ声が聞こえる。


「こ…んなところでなにをしている…?」


この宇宙戦の操縦士か?話し合いの意思があるってことはまだ俺たちを敵として認識していないってことだ。だとすれば話し合いで敵意がないと証明すれば攻撃を受けずに済むかもしれない。


「あっ!俺たち−−−」


「とりゃ!」


え?俺のまなこに映り込んだのは宇宙船目掛けて蹴りをぶちかますマザコンの姿だった。


「い…まのは敵意と見做す。攻撃を開始する。」


やめてくださーーい!僕は関係ないんです!!

宇宙船のミサイル発射口から発射されたミサイルはマザコンに向かい飛んでいく。そしてマザコンに衝突…


「しなーーい!なんでお前ミサイル素手でキャッチしてんだよ!!」


「お、重い!」


いや普通それだけじゃ済まないよ…?

ミサイルを受け止めたテンマはそれをそのまま宇宙船へと投げ返した。


わあ。綺麗な花火だなあ。

いやそんなこと考えてる場合じゃない!

1機破壊された敵はまたミサイルをキャッチされることを恐れてレーザー弾へ切り替えた。


レーザー弾をくらったテンマだったが…

無傷!これまた感動レベルで無傷!


「なん…だこいつ…にんげんじゃないのか…?」


テンマを堕とすことを諦めた敵は標的を俺に変えた。


「待ってください!僕はただの人間で−−−」


あれ?あんまり痛くない。勿論テンマの様に全く痛くないと言う訳ではないし擦り傷程度の傷もある。あ、そうか俺今マザコンの能力コピーしてるんだった。恐らくコピー能力には限界があり、100%その力を複写出来るわけじゃないらしい。80…いや75%程だろうか。


「これなら俺も怖くなんかないぜ!!」


「あ。アラタ危ない。」


「え?」


何故だろう。この力なら俺もヒーローみたいになれるかもしれないって思った瞬間たまたま隕石が俺を襲った。隕石に押されながら俺は宇宙のチリとなるのだろうか。


いや、なんでええええ!?!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る