第41話 魔石


 教会を後にした俺たちは近くのビルに入り夕飯の準備をする。

「ウキュー」

「なんだ?腹減ったのか、ちょっと待ってな」

 ツキ用のオーク肉を焼いている匂いで腹が減るのだろう。

「俺たちはカップ麺か?」

「なんでもいいぞ?別に」

「んじゃカレー出してくれよ」

「はいよ」

「あっ!私はカップ麺の焼きそばで!」

「はいよ」

 と出してやり肉をそのまま焼いたから中はレアだが関係ないみたいだな、ガツガツ食っている。

「なぁ、ツキはそのうちあのでかいドラゴンになるんじゃないの?」

「ん?そんなことないような気がするんだが、アキラはどう思う?」

「俺もそう思うんだよな、体ピンクだし違う種類なんじゃないか?」

「そう、直感がそう言ってるならそれでいいけどね」

 と焼きそばを啜る。


「ウキュー」

 とチフユのとこにやって行くと、それを食わせろと言っているようだ。

「なぁに?食べるの?ちょっとだけだよ?」

「アムアムアムアム」

 結局全部食べられたらしく、もう一度作っている。

「なんで全部食べちゃうかな?もう」

「ハハッ!美味かったらしいぞ?」

「あ、だめよ?これは私のだからね?」

「ウキュー?」

「はぁ、もう一個作るから出して」

「はいよ」

 なんだかんだでみんなに馴染んできたな。


 外を見ながらコーヒーを飲むと、やはり電気がついてるからそれだけ人が生き残ってるんだ、ライフラインを自衛隊で守ってくれてて助かったな。あとは復興あるのみだ。

 ラジオをつけると魔石にエネルギーがあることがわかりそれを使って街を復興して行くと言うことらしい。魔石ならたくさんあるがどこにあげればいいんだ?


 隊長さんに電話してみる。

『やあ、元気にしてるか?』

「はい、早速ですが魔石は入りますか?」

『あぁ、たくさんあるなら欲しいね』

「沢山あるんですがどこに持っていけば?」

『今はどこにあるんだい?』

「今は大和市と言うところにいますね」

『では、明日待ち合わせしようか、大和市の大和駅でいいかな?』

「分かりました、検索してそちらに向かいます」

『了解』

 と言って電話を切ったが、隊長さんと呼んでいるが偉い人なんじゃないだろうか?…まぁいいか。


 次の日は大和駅と言うことで検索したらあったのでそこに向かう。

「こっちだ!」

「あ、良かったです。会えましたね」

「お疲れ様です」

 とアキラも頭を下げている。

「で、どこに出せばいいですか?」

「とりあえずマジックバッグにはいるかな?」

「入れていきますね」

 と入れて行くとすぐにいっぱいになる。

「す、凄い量だな。からにして来たのだが」

「あ、マジックバッグならありますから入れてみますね」

 と収納からマジックバッグを出して入れて行くとこれもまたいっぱいに、マジックボックスが一個あったのでそれに入れて行くとだいぶ入ったな。

 最後にマジックバッグを出して、なんとかマジックバッグ二つとマジックボックス一つになんとか収まったな。隊長のも入れると三つか。

「凄い量だな、だが助かったよ!」

 と封筒を渡される。

「ん?これは?」

「少ないが気持ちだ、これからも旅を続けるのだろう?こちらも整備なんかに時間がかかるしなかなか会えないからね」

 お金を貰ったが使い道が今のとこセルフのガソリンスタンドしかないんだがな。

「ありがたくもらいます」

 収納に入れると、

「このボックスなんかはもらっても?」

「あ、どうぞ!またどうせ出ると思いますし」

「ありがとう!」

 あとは少し世間話をして別れた。


「魔石エネルギーはすごい発明らしいぞ?化石燃料みたいにデメリットがないらしいぞ」

「へぇ、排ガスとか?」

「だな、そのうち原付も魔石エネルギーに変わるかもな?」

「へぇ、新車に乗ってみたいね」

「だな!かっこいいんだろうな」

 アキラが言うみたいに夢が広がるな。


 海老名のショッピングモールに着いたが、なかなか荒れているな。

 とみていると普通に中から人が現れた。

「なんだよおっさん!ここは俺らが解放したから他所に行きな!」

「あぁ、分かったよ」

 と帰ろうとすると、

「ちょっと待てよ!お前いい剣持ってるじゃねーか!それ置いてけ!」

「あ、私にはスクーター置いてって!」

「は?バカじゃねーの?」

「誰が置いてくもんですか!」

「悪いがじゃーな!」

「ちょっ!瞬歩!」

「へへ、捕まえエデデデデ!」

「あっちゃん!」

 剣が鞘ごと腹に突き刺さる。

「あーあ、痛いだろ?」

 と原付を降りて鞘ごと抜くとヒールをかける。

「テメェよくもやってくれたな!」

「いや、自分から突っ込んできて何言ってんだ?」

 鞘が汚れたのでタオルで拭く。

「はぁ、大人しく帰せばいいのに」

 とアキラは戦闘体制だ。

「な!お前ら…おい!みんな出てこい!」

「あー?なんだ?」

 と大人数だな。

「これで勝てると思ってるのか?」

「まぁ、使ったことないから加減がわからないけど、グラビディ」

 使ったことのない月魔法だ。

「「「グオオォォォォ!!」」」

「へぇ、ちゃんと重力がかかるみたいだな」

「それ使えば飛竜落とせたんじゃねえ?」

「…まぁ、そうだな」

 使わないと忘れるよな。

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