第22話 情報


「そんな大事な情報は聞いてないぞ!」

「俺はちゃんと話したぞ?回ってこないのは俺の話をちゃんと聞いてないってことか…」

「そうだな、今からダンジョンに行けるか?」

「それはいいが」

「ではすぐに行こう!確かめなくてはな!」

 と言って6名の隊員と共にダンジョンの中に入って行く、俺らが倒しているのを見ている隊長は感心しているようだった。

「そこの石碑に触ってください」

「ウッ…こ、これが力か」

「なんて出ました?」

「剣術だな」

 ならこれを、と鋼鉄の剣を渡すと、

「よし!オラァ」

 とゴブリンを一刀両断していた。

「こ、これが力なんだな!」

「そうですね、レベルが上がるほどスキルも増えますから」

「そうか!本部に連絡を取ろう!」


 と戻って連絡をしているが怒号が飛んでくる。

 戻ってくると、

「すまないな!俺たちは本部に戻りこのことを知らせる!」

「はい!頑張ってください!」

「あぁ、君たちのおかげで道が見えたよ」

 と言って一応番号を交換して自衛隊は本部に戻っていった。


「良かったですね」

「はぁ、情報が回ってないなんてな!」

「くそ!あんなに親身に聞いてくれたから大丈夫と思った俺がばかだったな」

「まぁ、ここで会えたのですから!」

「そうだな」

「よし、腹減った!」

「はぁ、何食べる?」

「カレー!」

「カレーがあるんですか?」

「レトルトだけどな」

 と湯煎してカレーを作って食べる。

 おかわり用も作ってあるから大丈夫だ。

「美味っ!」

「カレーはやっぱりいいですね!」

「だな」

 とカレーの香りに誘われるのはモンスターばかりではない。

「あ、あの!」

「ん?なんだ?」

「私達は近くの避難所のものでして」

「おう、で?」

「もしよければ食料を分けてもらえないですか?」

 と女2人が来ているが奥に男がいるのはアキラが察知している。

「はぁ、こんな時だ、食料はやれないな」

「そ、そこをなんとか!」

「後ろにいる男どもに言われてきたんだろ?」

「な、なぜそれを?!」

 と同時に男どもが出てくる。

 カレーをかっ込むハルとアキラ、俺はもう食べ終わっておかわりの準備をしていたのにな!

「お前たちだけいいもん食いやがって!」

「こっちはもう2日も食べてないんだぞ!」

「はぁ、知るかよ」

 んなこと言われてもな。

「貴方達はそれでも人間ですか!」

「武器を持って俺たちに向けてる時点でその言葉をそのまま返すよ」

「そ、それは…」

「まぁ、俺たちに勝てると思ってるとこが甘いけどな!」

「グアっ!」

「グッ!」

「2人は骨を折ったがあと3人か」

「や、やめてください!すいませんでした!」

 アキラとハルは飯を食うのがゆっくりになった。

「で、でも本当に何日も食べてないんです!食料を分けてもらえませんか?」

「んじゃこれやるから帰れ」

 とオーク肉を2ブロック渡すと、

「い、いいんですか!ありがとうございます!」

「ヒール」

 骨折も治してやったので良いだろう。


 男達と女は逃げるように走り去っていった。

「ようやくおかわり…俺のは?」

「えっ?食べた」

「おい!このやろう!」

「いいだろ!また作れば!」

 と俺は満腹の2人をよそにまた1人で作る。


 次の日は朝から雨模様だ。

 3人とも車に乗っており、ゆっくりとひび割れた道を進んでいる。

 ラジオからはSOSがながれ、テレビは映らない。

 雨の音を聞きながら車を走らせる。

「昨日まであんなに良い天気だったのに」

「な!これじゃあ進みようがねえな」

「どっかダンジョンでも探すか」

「だな、ってかあっちに多分避難所があるぞ?」

「ならそっちに行こうか」

 と言って車をゆっくりそちらに向けて走らせる。

 ビルだな。

 地下の駐車場に車を停めて降りる。

 車を収納し、武器をつけると、誰か降りてくるな。

「だれだ!ここは俺たちのナワバリだぞ!」

「ガキかよ、んじゃここはガキしかいないのか?」

「お、大人は信用できないからな!」

「まぁ、その通りだなあ」

 俺も信用できないし。

「な、なんだよ!調子狂うな!」

「お前ら飯はあるのか?」

「ないに決まってるだろ!」

「はぁ、全員ここに呼べ、飯くらい食わせてやる」

 と言ってカップ麺を出すと、1人が上に走っていった。

「な、なんだよそれ?どうやったんだ?」

「それも教えてやるからまず飯を食えよ」

 と言ってお湯を沸かす。パンもあるから足りるだろう。

 子供達が地下に集まってきて…おいおい何人いるんだよ!

 しょうがないからドンドン作って渡して行く。

「こりゃ想定外だな」

「またショッピングモールにでも行くか」

「それ良いですね」

 と喋りながら作って渡すを繰り返していたらようやく最後の1人になった。

「な、なんで助けてくれるんだ?」

「ん?余裕があるからかな?他の大人も余裕があれば助けてくれるだろうが今はないみたいだな」

「そ、そうなのか?」

「ほれ、食べろよ?」

「うん」

 みんなお腹いっぱい食べられたみたいで上に戻って行く。

 でも5人の子は残って、

「どうやったら強くなれる?俺たちも戦う!」

「はぁ、そうだな、行くか!」

「だな」

「大丈夫ですかね?」

 

 ダンジョンは近くにあるらしく傘をさしてダンジョンに向かう。

 中に入ると傘はいらないので収納して剣に持ち替えゴブリンを倒して行く。

「よし、その石碑に触れ」

「うん!」

「なんだった?」

「剣術!」

「僕は槍!」

 とみんな剣か槍だったのでゴブリンソードとマーマンの槍を渡してやるとゴブリンを倒して行く。

「体が勝手に動く」

「すぐ慣れるし自分の思うように動けるさ」

「分かった!」

 と大人より物分かりがいいな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る