第13話 サクリファイスの真相
「じいさんの言っていた教会はここか」
中へ入ってみると牧師が独り、オルガンを弾きながら讃美歌を歌っていた。
その歌声は教会に大きく響き渡った。
ハオルドの気配に気付いた牧師は、演奏を止め用件を尋ねてきた。
「青い目と不老、それにまつわる薬草の話を知っているか?」
「その薬草で何がしたい?」
先程の讃美歌からは程遠く、ひどく冷たい声だった。
「妻の故郷の疫病を治したい。他にも薬草を待っている人がいる」
「…お前さんの望みはなんだ?」
「俺は…俺は元々いびきが雷鳴の轟音ほど大きくてな。それを消したかったんだが…最近は幾分マシになった。今は薬草を摘む代償について手掛かりがほしい」
「いびきか…お前さん、不老か?」
ハオルドが不老だと、いきなりピシャリと当てられた。
「不老はよく眠る。そして心の傷といびきが共鳴する。代償を聞きに来たということは薬草は咲いたのか?」
牧師は淡々と話していく。
「いや。やっと雪が降り始め、芽が出たばかりだ」
「ということはお前さんの伴侶は青い目の血筋か。その薬草は『サクリファイス』という名が付けられておってな。大昔に黒魔術から生成されたものだ。まさか今になって咲くことがあるとはな」
「そうだ、青い目の血筋だ。サクリファイス…?やはり何か犠牲が必要なのか?!」
「ほう、意味を知っておったか。その通り、代償とは犠牲、
「……80年ほどだ。その情報は確かなのか?」
「あぁ、私の遠い遠い祖先が青い目と不老の血筋でな。薬草を咲かせて、代償を知らずに摘んだ
「正直受け入れ難いが、信じるしかなさそうだな。情報が手に入って助かった。礼を言う」
「……ひとつ、決して普通の人間には摘ませるな。闇に飲まれて即死する上に、その薬草はただの草となる」
不敵な笑みを浮かべながら忠告をする牧師に頭を下げ、足早に教会を出たハオルドは必死に頭の中で情報を整理しようとしていた。
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