第19話 姦計
結成翌日吉田宅の前 AM8:38
「朝早くにどうした?」
「いやー会議のお詫びと思って高級ジュースを渡したいと思いまして......」
「............」
マズい流石に怪しまれたか?
「私だけで無く、他の人にあげるのが1番ですよ。私には飲食必要ないので大丈夫です。みんなにあげてください」
「え!?い、いやーもちろん全員分ありますよ〜最初にリーダーのメテオブレイカーさんと思いまして!私はこれ苦手なので余ると困るんで貰ってください」
「そうでしたか......ありがとうございます!これ何味ですか?ぶどう入りミックスジュース?なんでラベル無いんです?」
「そんな感じですね、ゴミの分別ですよ。私はぶどうダメなので是非!」
「では頂きますね!」
ゴクゴクと勢いよく飲む貴音。
「飲食は最近していないので久しぶりですね、なんかちょっと変な味が......」
なんだ?視界が......立つ力が、力が抜ける......
「ちょろ、日頃の恨みだ!オラ!」
横っ腹を何度も蹴り紫色の痣ができたが貴音は一度だけ起き上がり無言で吉田の顔面を蹴り飛ばした。
「ぐああっ!?!?歯が......歯が折れた......この量飲んでもまだ力を失い切らないのか、この化け物が!」
そう言いながら貴音の足に発砲した。
「ぎゃああぁ............」
「テメェが安全のために持てって言った武器で攻撃されるのはどんな気分だ?......ふぅ、勢い余って殺すところだった......先輩にぶち殺されるわ......みなさん〜終わりました、運んでください」
そういうと自宅から何人か出てきて連れて行った。
「先輩にgps装置外してもらったし自由だぁ!それに先輩から100万貰ったし、俺も尋問と拷問に参加しよー!」
――――――――――――――――――
貴音宅 PM11:50
「遅い......朝出て行ってから連絡が無いわ」
「アタシの携帯も通じないや......」
「まあたまに隠れて息抜きしたいのかもね」
「あーし休みだから来たのに......」
「まあ完全極秘任務なんてこともよくあるししょうがないわ......」
「じゃあ寝ちゃうか」
「いやー、あーし貴音が好きなゲーム慣れてきたし2人もやっているって自己紹介で言っていたでしょ?ちょっとやろうよ〜!」
「まあ、確かにいいわね」
「じゃあアタシも!」
――――――――――――
貴音宅 翌日 PM10:01
「............」
「ど、どうしんだPCに向かってそんな顔して......未来?別に数日帰って来ない事なんてあっただろ?浮気と......」
「違うッ!吉田がGPSを昨日外していた......そして吉田の身体に隠していたもう一つのGPSの位置がデッドエンドの支部の疑いがある風俗店からずっと動いていないみたいなの......そして貴音が帰ってこない......これだけで最悪な事態が想定できる......」
「!?......なら今すぐ行かなきゃ......」
「あーしも行く!」
「ダメよ、ただ私たちの疑いなだけで行けないわ、国の組織だから......本國さんに連絡よ」
「え?貴音がSADFの最高司令官で首相の命令を待たずに動けるって......」
「貴音だけなのよ......序列は貴音、首相、私の順番なの......まさか大将首から取られるなんて......いや、まだ貴音は関係ない可能性もあるわ。取り敢えず、吉田はデッドエンドの内通者の疑いで動くわよ」
「あーしがもう本國さんに連絡取ったよ!貴音には極秘任務は出していない。そして今夜は危険だから明日に備えて朝突入しろって、許可証を出す。責任は私が取るから気にせず進め。って」
「響ナイス!仕事早いね!」
「響ありがとう、明日に備えてから寝るわよ」
「てか、これじゃあ組織が枷になってヒーロー出来ないじゃん......」
「......貴音が好きな創作物も国に属してから自由に動けなくなっていたわね......それを危惧して貴音が最高司令官になったのに............それに貴音はもう、もう生きてな......」
泣きそうになる未来に響が。
「大丈夫だよ!メテオブレイカーだよ!あーしらのヒーローだもん......」
「もし捕まっているなら、アタシらで絶対助けよう......」
――――――――――――――――
組織本部 AM6:00
「お集まりいただき感謝します、早速本題です。梶原貴音が失踪しました、これは事件と断定し吉田が関与している物と見ています」
「なっ!?」
「吉田如きに何故梶原が捕らえられる?」
「そうですわ、あんな下等な人間の力では......」
「最悪の事実があります、調査班によると吉田はデッドエンドのリーダーと学生時代関わりがある事がわかりました。更に吉田はGPSを外しましたがもう一つ体内にこっそり入れたので幸い場所は割れてます。そこはデッドエンドの支部の疑いが強い風俗店です。これはアンチ能力者兵器を完成させる為に、研究内容と研究所の場所を吐かせるために未完成の薬物で貴音を無力化したのでしょう。なので安否が......貴音の正義感を考えると絶対に吐かない......それこそ命に変えても......」
「あの時切り捨てていれば......」
「そこそこ生きてきてあそこまで醜悪な人間は私はいないと感じましたよ。確定なら赦せる事では無いですな」
「そして脳内を見れるような能力者が現れた場合、口を開く開かない関係なく情報抜かれます。ただそれが分かった場合は、貴音は......自害出来るならすると思います......どちらにせよ、メンバーを結成し突入します。」
「結成メンバーは私、千劔破、響、アルペシアで行きます。他の方は治安維持に努めてください、指定されたメンバー以外は解散、お疲れ様でした」
――――――――――――――――
「吉田だけに関しては金銭目的の犯行だと思う。場所はとても近いから目立たない様に徒歩で行きましょう」
「......金が目当てでも他にやり方あるっしょ......ここに所属しているだけでかなり儲かると思うんだけど......」
「だからアル言ったのに......」
「目先の端金に目が眩んだクズ、いや......最初からクズ。次は本当に切り捨てる」
「憎悪するのはわかるけど貴音自身が不殺掲げているからなるべく避けよう、じゃあ出るよ」
デッドエンドの支部付近 AM7:20
「徒歩でも目立つわよね......銀髪の白緑の死神、金髪の天才幼女、金髪白ギャル、自分の流派を持つ天才剣士......変装くらいするべきだったかな......」
「アルが考えるに貴音誘拐した時点で最大限に警戒しているだろうから、この方が威圧感あっていいんじゃない〜?」
「そもそも武装が許されているアタシ達がこそこそ動ける筈がないしな」
「着いたけど......あーしがこんな店に入るなんて......」
「そういえば未成年2人連れてきているじゃない!?」
「歳取らないのと高校生ならいいでしょ、というか朝なのにやってんだ〜」
「なんでアルがそういう事知っているのよ!まあ、仕方ないわ。入るわよ、変身ッ」
突入し未来は警告をする。
「SADFよ!全員動かないで!」
「ヒィッ!?」
受付がそう言いながら警報を鳴らした。
「動くなって言ってんでしょ!」
そうアルが殴り倒すと奥から武装した男達が出てきた、それとともに半裸の客達が走って出ていく。
「隠す気ないのね」
「あーしに任せて」
そういうと両手の装置を展開させた。
「それが貴音が作って研究員が改良した武器か!」
「あーし専用の武器ってわけ!散弾モード!」
そう言うとグリップのスイッチを押した瞬間に銅製の弾がばら撒かれる様に射出。
「炸裂!」
ぶち当たった男達は倒れていく。
「おお〜貴音らしい、殺さない様自分で調整させれるわけか」
「アルはただの炸裂弾の2丁拳銃なんだけど〜」
そう言いながらデザートイーグルよりも大きい銃を出した。
「なっ!?デカッ!?」
「なんだっけシャカールって名前の銃で非殺傷弾丸も撃て化け物にも効果ある弾丸も撃てるとか......遊ぶか!」
そう笑いながら轟音を鳴らしながら男達を撃ち歩いて行く。
「ねぇ?それ本当に非殺傷の方のマガジン入れているわよね?まあ見た限り出血無しで呻いているだけだし大丈夫かな......」
「あーしじゃあ片手撃ちどころか両手でもまともに撃てなそう......」
そう思っていると遠くからアルペシアの声が。
「終わったよー!最後のカスに聞いたけど地下にいるって!ここを押して......顔認証!?」
「うわあ、何人倒しているの......」
「おい!顔貸せ!」
と言いながらアルは男を顔スキャンに顔面を押し付ける。
アクセスを拒否「は?」バンッ!アクセスを拒否「じゃあこいつ?」バン!アクセスを拒否 バン!アクセスを拒否「あーもう偉そうなコイツ!」バン!アクセス許可ドアが開きます。
「ふぅ......アルの手を煩わせたな......」
ドアが開くと銃を構えている男達が待ち伏せしていた。
「手を上げろ!この数を考えるんだな」
「アル疲れたぁ未来よろしく〜」
「なっ!止まれ!止まらないとガキでも......」
と言いかけた瞬間殴り飛ばされた。
「子供を撃とうとするなんて感心しないわね」
「撃て!」「死神だ!あれもってこい!」「燃やし尽くせ!」
「こんな狭いところで火炎放射器って......」
そう言いながら1人ずつ殴り弾き飛ばした。
「この超振動ブレードならどうだ!」
それを片手で受け止めて奪って足を払い転ばせ顔面を踏みつけた。
「まだいる......こんなに居て支部なの?」
「ならアタシも加勢しよう、未来を敵のど真ん中に送る」
敵と未来の位置を交換させ理解できていない男を刀で殴り飛ばす。
「1発で伸びたか、あとはちまちま削るだけ」
そう言いながら中心で暴れてる未来の周りの男を気絶したやつと交換してジワジワと再起不能にしていった。
「はぁ終わった......もう完全に黒だから警察と救急呼んで......」
「あーしがもう通報した、と言うか外から来た奴らをあーしがやっていたからもう通報されていると思う......」
「ありがとう、じゃあ進むわよ」
「すごいわ......地下にこんな空間があるなんて......」
「でもそこまで広くなさそうだよ」
そのまま関係ない部屋を無視し突き進むと研究部屋があったが誰もいない。
「あーしらハメられた?」
「いや待ってアタシの右側の壁の奥から音がする」
「アルも聞こえる」
「耳が良いですね。スキャンした限り部屋が裏にあるわ急ぎなのでぶち壊すわ!」
そういうと壁を吹き飛ばし入った部屋は想像を絶する惨憺たる光景だった。
「だれぇだあ......話ひゃない............」
貴音の四肢は完全に切断され身体中に釘が刺されている。目と陰茎は杭で刺され、髪と皮膚は燃やされている。部屋には輪切に細かくされた四肢や折られた歯が落ちていた。腐臭と血生臭い臭気が籠る部屋。そして死ねないように輸血されていたが雑であった。
「ッ............そんな......貴音......」
と泣き崩れる未来。
「畜生ッ!!畜生ッッッ!吉田さえいなければアァア!!」
周りの壁を斬りつけて八つ当たりする千劔破。
「きゃあああああぁあ......嫌だよ......もう失いたく無い......」
またもトラウマで動けなくなる響。
「アルの友達............貴音の能力が無い今はアルの血で回復出来ないよ......それに切断面を見る限り新鮮ではない......初日に切り落としたんだ......」
先程の男達より重武装なデッドエンドの戦闘員が集まりその真ん中には吉田がいた。
「吉田ァ!!」
「そんなに怒るなよ、どうせお前らはここから生きて帰れない、だから冥土の土産に良い物見せてやるからさぁ?」
「随分と慢心しているわね、それで何?」
「これよぉ!記録として編集してあるから短えけど」
そう笑いながら部屋のスクリーンに映像を流し始めた。その内容はこの数日間で貴音に何をしたのかハッキリとわかる動画をダイジェストで見せてきた。
――――――――――――――
「誰だ!!くだらない事を考えるな!今なら大した罪には問われないからやめろ!」
「まだヒーローごっこを続けるのか?なら指から始めて脚をスライスされえはどうだ?」
「ぎゃあああああああぁあ......」
「これで昔の無力な車椅子の姿に戻ったな!」
と嘲笑する男。
――――――――――
「さっさと話せよな?俺らが世界征服した時はお前だけは助けてやるからよ?俺らを信じてヒーローの使命なんて捨てて俺らの仲間になれよ?まあオナホだけどよ?」
「誰が信じる?誰が屈する?この俺をナメるな!俺はメテオブレイカー!日本のヒーローの象徴だ!俺の使命は人々に希望を与える事ッ!使命を捨てる?自己中心的なお前達が考えつきそうな事だ!俺は絶対に喋らない!お前達の様に自分の利益の為だけに人を殺す様な奴にはならない!何度でも言おう貴様らは間違っているッ!絶対に話さない、殺したくば殺せ!俺に何かあったと分かれば俺の仲間達が......友が!必ずここに来るっ!」
「チッ、くだらねぇ。空虚な人間が与えられた使命に溺れたか」
――――――――――
「ぐったりしてんじゃねぇよオラ!」
「あっあああ......目が......目に杭が......こんな事をしても損するのはお前達だぞ!」
「うるせぇよ」
「ぐぎゃああああああ!!!!!股間が......股間が......」
――――――――――――――――
「おい、これじゃあ情報聞き取れねぇだろ!目は潰して良いと言ったが片耳の鼓膜破ってんじゃねぇよ!」
「すんません......」
「他の拷問担当は舌と耳は触れなかったぞ、吉田!」
「いやー本当にすんません......」
「まあいい、もうこれ以上やるなよ。俺は行く」
「クソっ燃やしてやるか、おらよ!」
「ぐっ......ん......うぅ......」
「大して反応もしない、つまらないぞ。もう良い飽きたから俺も帰る、あとはテメェらが見張ってろ。俺はここの女で遊ぶ、ディープキスでヒィヒィ言わせてやるからなぁ〜」
「うっす」
――――――――――――――――
「終わったか俺の説教はカットして欲しかったなクソっ、まあ感動的だよ、金は命より重いって言われるのにこいつは命を、それも他者の命をなんてなぁ。おいお前ら新しい銃ならこいつらを殺せるだろ?早くヤ......」
言い終わる前に頭は落ち地面と熱いキスをする吉田。
「アル忠告したのに......でも!報復どころか貴音からは何もしていないのに!全員この真祖アルペシアの残機にしてやるッ!!」
雷光の如く動き、そして約20人を文字通りに秒殺した。血塗れのアルは泣いているのか血液が垂れているのかわからない顔で。
「終わったよ......」と呟きへたり込んでしまった。その間フェムトテクノロジーで治療をしている未来に対して響と千劔破が。「「何か出来ることはない?」」と言ったが。
「今は特にないから見張っていて!警察も来るから!」
「アルは血液型を変えて貴音に綺麗な血を輸血する......」
「ありがとう!」
「はか......はか......みん......な?幻聴?」
「!?気がついたのね......貴音」
「わざわざ助けに来てくれたのか......ありがとう......!」
「違うわよ、まだ助けられていないじゃない......恨んでくれた方が良いわ......」
「仲間を恨む訳ないだろ?それより吉田さんはどこだ説教が必要だ」
「......」
この期に及んで説教?何故、そこまで優しくなれる?
「............あーしらの前で勝手に暴走して爆発して死んじゃった......」
「そうか......残念だ。年上の人に言うことではないが真っ当に生きてほしかったな」
「何故......何故そんなに優しくあれるの?」
「まず大前提で私は性善説を信じている。、優しくしてもらうと気分が良いでしょ?ならみんなで優しくし合えば、みんな常に幸せになれるんだ、そう信じている。それに精神病で仕事もできない脚無しのゴミになった私に訪れた
「あなたのそんな姿を見て心配し惚れた身になって欲しいわ」
「すまないな......でも、もう気にする必要はない。私は助からないだろう、ラッキーで助かっても能力が戻るか不明......要介護......2人とも別れよう。それと響も私に尊敬とは別の感情を抱いているよね、忘れな」
「「「!?」」」
「ふざけないで、例え地獄に堕ちようと着いていくわよ」
「アタシはあなたの剣、持ち主からは離れないよ」
「あーし......まだ自分で伝えてないのに諦めろって?嫌だね、貴音には生きてあーしを惚れさせた事を償わせる!」
「じゃあアルも......便乗して付き合って〜法律はもう年齢制限も人数も撤廃され12歳未満は保護者の承認があれば結婚できるから〜......それとだから絶対に死なせない、出会った時言ったでしょ!アルと友達になるって!更にその先の関係にもなってよ!永久に8歳の見た目で天才じゃあ誰も相手いないしさ!面白そうだからさ!」
そうアルは泣きながら昔を思い出す、初めて児童養護施設に貴音が来た時を。
――――――――――――――
児童養護施設 貴音と出会った日
「皆!今日はサプライズであのヒーロー、メテオブレイカーさんが来てくれたわよ〜!」
「メテオブレイカー?このアルペシア名前は聞き覚えがあるわ」
このバカガキ共がギャーギャー喚いているものね。
「うるせぇよ、白人が」
「黙ってろ病弱変人」
「何を言われてもアルより頭の悪い人間の言葉なんて意味ないわ」
「やめなさい、アルペシアちゃん!謝りなさい!」
「理解できないわ、先に差別的発言したのは遥かに年上のそこのバカでしょ」
なんでいつもアルが差別されているのに謝らせるのよ。
「アルペシアちゃんは人より頭が良いからわかるでしょ?」
「職員さんよりアルペシアは頭が良いからわかるよ、小さいアルを責めた方が楽って事は」
「なっ!この!」そう言いながらアルペシアをビンタする。
「痛っ!何よ言い返せないなんて頭の悪い証拠じゃない!」
「良いから黙りなさい!これからメテオブレイカーが来るの!大事な事なんだからアルペシアちゃんは端にいなさい」
みんなニヤニヤしている。そうか、ヒーローが同情して宣伝したらお金が入るからだ。アルは友達という物がいない、物心ついた時にはお祖父様しか家族がいなかった。そしてそのお祖父様は白血病で倒れ、ここに入れられたけど外国人だから誰1人優しくしてくれない。だから諦めて自分を保つために高圧的に振る舞っているけどもう限界......
そう思っていると部屋に入ってくるメテオブレイカー。
「初めまして〜!」
歓声が上がる。
「今日はみんなの為に来ましたよ!」
盛り上がっている、何故だか辛い。
「質問はありますかー?」
「両性ってなに〜?」
「それは男でもあり女でもある身体を持っているという事ですよ〜」
そう色々やり終えたメテオブレイカーは最後のレクリエーションに移る。
「そこの端にいる方!」
アル?アルのこと?
「このアルペシアになにかしら?」
「今日の目玉企画の空を飛ぶのは貴女に決まりです!」
そう言いながらアルペシアを抱き上げる貴音、白い肌に目立つビンタの跡に気づく
アルペシアが選ばれたことに対してヤジや罵倒が飛び始める部屋。
「ちょっと、あの子は放っておいて良いと......」
そう言おうとする職員の手を掴みアルペシアの顔の跡に合わせた。
「どういう事ですか?最初からアルペシアさんには触れるなと言ったり対応がおかしいと思いましたが暴力までなんて......」
アルの為に怒っている......?
「うるさいっ、アルペシアはIQ205で態度も大きく扱いにくい!こんな外人のガキはどうで......」
その瞬間、職員の顔をビンタする。
「ぐっ......ヒーローが暴力なんて許されない!警察に通報してマスメディアにも流してやる!」
「いや、本来ヒーロー関係無く暴力は許されない、ヒーローが許されないのにあなたは許されるのですか?虫がいい事ですね、ではアルペシアさん命綱と補助器具を着けて空に行きましょうか!」
「う、うん!このアルペシアが許可するわ!」
「待っ待ちなさい!本当に通報してやるっ!」
「もうしましたよ、私はここの噂を聞いていたので念の為に最初から音声付きの動画を盗撮しているので、では」
何かを喚き散らす職員がどんどん遠くになっていく。
「アルペシアさん、どうですか?この光景は?」
「綺麗......それにしても子供に敬語を使うなんて変な人」
「まあ確かによく言われますね......ただ対等でいたいのですよ。この考えが生まれるという事は対等では無いという意識があるからダメな事ですが......」
「いえ!子供扱いばかりされるアルにとっては幸福よ!だから......アルの......初めての友人になる事をアルペシアが認めるわ!」
「ありがとうございます!これから更に友人を増やしていきましょう!アルペシアさんのフルネームは?私は梶原貴音です!」
そう優しく微笑む貴音に久しぶりの家族からの愛の様な優しさを感じた。
「アルは......アルペシア・クルツよ!貴音!忘れない事ね!」
――――――――――――
知っているよ、アルを勧誘させる為に来させた時もこの事件が無かった様に、アルペシアを贔屓した様にしない為に外で職員と話していたのは。だからアルは失いたく無いのアルの大切な
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