第22話「弱い立場の強者」
ママニ「これをチカ様の護身用にどうです?」
オトナ「これは・・」
ママニの手元を見てから、少し怪訝そうに顔上げた。
ママニ「ご安心ください。
その武器の握る部分をご覧ください。
石が埋め込まれているでしょう。」
オトナ「この石は!?
貴君の一族の家宝の3つの石の1つではないか。」
ママニ「おっしゃる通りです。
そしてこの石は毎日私が無事であるか確認する義務があり、
もし失くなっていたなら即座に大騒ぎしなくてはいけません。」
オトナ「なるほど、
実は数日前から家宝が失くなっていたなんて言い逃れは出来ない訳か。」
ママニ「流石、お察しが良いですね。
これがくすねてきた物であったり、要人を殺めてきたいわく付きの代物であるならば、
私のせいに出来るでしょう。」
オトナ「貴君はなぜそこまでする?」
ママニ「チカ様が安全である事は、私どもにも都合が良いからです。」
オトナ「ふむ。今の所は・・というとこですかな。」
ママニはどうぞと武器を差し出す様な仕草をした。
「私に妙な貸しを作りたくないでしょうし
貴方のその腕輪と交換でどうでしょう?」
オトナ「こんなありきたりの物で良いのですか?」
ママニ「黄金は彼らとの取引に非常に役立ちます。
今なら人気もございませんので、試し撃ちをしてみて下さい。」
ママニはオトナに銃の使い方の手ほどきした。
オトナは銃を構えた。
ドシュン!
-アウカマンの住居付近-
エルネイの背を目掛けて、斧が迫っている。
ガシッ!
エルネイは後ろを向いたままマイロンゴの投げた斧を流れる様にキャッチした。
エルネイ「こいつは丁度いい。」
エルネイはそのまま手にした斧で、ルカの修理に使いだした。
その様を見ていたマイロンゴ達は、驚きの表情を隠せないでいた。
エルネイは遠く背後にある気配を感じながら、目線を斜めに落とした。
エルネイ「口は禍の元ってか。
しかし、どうして人は人を蔑むのかね。」
アウカマン「他の地域では、ルカを直すってのは、下働きのやる仕事らしい。
強者に見えるが弱い立場。
そういった者は力を誇示するのに格好の獲物ってところなのだろう。」
エルネイ「強者ねぇ。
ここを除けば、この世界は強さが最も価値のある事とされているらしいな。
しかし、単純に強い奴が他の要素を加味せずに、最も高い地位にあるままでは、北の二の舞になるだろな。」
アウカマン「そうだな。」
エルネイ「アンタの息子は、最強の戦士になるかもな。
けどよ、アンタや俺と同じで、上に立つって柄じゃないよな。
余程の事でもあったら別だが・・」
アウカマン「そうだな。」
トンカトンカン・・・
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