第14話「グワノ兄弟」
-アウカマンの住居付近-
マイロンゴ「なんだよ、お前ら突然?気色悪りぃやつらだな、誰だよ?」
マイロンゴ「ん?なんだこの斧・・柄に何か付いてるな・・」
マイロンゴに対し、奇怪な2人は再び同時に話し始めた。
「グワノだ。」
マイロンゴ「グワノ?グワーノって言や・・・まさかトゥンベス島のグワノ兄弟・・」
グワノ兄弟「トゥンベス島は我らの地だ。」
フェニストンは2人を見て、頭の中で呟いた。
フェニストン「確かトゥンベス島は、ここから北の地域・・噂では新たな勢力が大きな町を作ったと聞いたが・・」
フェニストン「この2人は居場所を失って、南下して来たって所か・・」
グワノ兄弟「どうした?
お前の言う情けない奴に、こいつをぶつけてみてくれないか?」
マイロンゴ達は奇妙な感覚に包まれながら、グワノ兄弟のおどろおどろしい声に呑まれている。
マイロンゴはグワノ兄弟から渡された斧を改めて見た。
斧の柄を握ったままの腕が切り落とされた状態でぶら下がっている事に気付き、青ざめた。
そして腕の切り口からはまだ血が滴り落ち続けていた。
マイロンゴはあまりの衝撃に斧を手放す事も出来なくなっていた。
マイロンゴ「そ・・遭遇した者の体の一部を奪うってのは、本当みたいだな・・」
フェニストンがまた頭の中で呟いた。
「聞き間違えれば耳を・・言うこと違えれば口を・・」
マイロンゴ達と共にいた横幅のある少年コルピジャンは、理解が追いつかなく、
ただただ目を泳がせながら思考が停止している。
グワノ兄弟「器用に動かせるのは口だけか?
うまく投げることが出来ぬのであれば、おまえのこの腕は不要であろう。」
グワノ兄弟「我らが今この場で。」
グワノ兄弟は各々が持つ一振りの長柄の斧を傾けぶつけ合わせ、マイロンゴの前でクロスさせた。
斧がぶつかり合ったカンという冷たい音が響き渡り、再びグワノ兄弟は口を開いた。
グワノ兄弟「切り落とす。」
マイロンゴ「ま、まってくれ・・」
マイロンゴはそう言葉を発する事以外できなかった。
グワノ兄弟達の斧が動き、ブンと音がすると、ボトッと地面に何かが落ちる音がした。
マイロンゴは悲鳴を上げた。
「ぎゃあぁああぁ!俺の腕が!!」
表情一つ変わらないグワノ兄弟たちは、調子外れな柔らかみのある声を発した。
「さっ、投げよ。」
マイロンゴは恐る恐る、自身の手元に目線をやった。
「・・あれ?あっちの腕か・・
脅かすなよ・・」
マイロンゴの声はまだ震えつつも、去勢を張る様な言動で、精一杯自身を保とうしていた。
マイロンゴは考えた。
「今はこいつらに大人しく従うしかないか・・
ええい、どうにでもなれ!」
マイロンゴは、ルカを修理しているエルネイの背を目掛けて、思いっきり斧を投げた。
-河原-
ラウタロ達が半裸で水浴びをしている姿があった。
ラウタロは、ナウエルの傷だらけの逞しい身体に目をやりながら、呟いた。
ラウタロ「またお前とここに来るとはな。
どんな形であれ・・生きていたとは・・」
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