乾の章2 最強魔法少女タトーとオークとブラックドッグのハーフ

 オークとブラックドッグのハーフのオブラは、拳銃に弾を仕込んだ。

 オブラのやりたいこと。

 それは、最強魔法少女のタトーと戦うことである。

 カフウ国のカフェでタトーを見つけたときから、本当に最強なのか気になったらしい。

「よし、準備は、出来たぞ! 」

「では、やりましょう! 」

「タトーさん。頑張って! 」

「ありがとう。ナナレイ! 」

 岩場で囲まれた朱雀の山の道。

 タトーとオブラのバトルが始まった。

 最初に動いたのは、オブラ。

 彼女は、二丁の拳銃で二十発の弾を打っ放した。

「おりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃぁ! 」

「ふふん! 」

 しかし、撃ち落としたは、軍服のボタンだけ。

 タトーには、弾痕すらつかなかった。

「くっそおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」

 オブラは、次に拳銃にある赤い玉を一つずつ取る。

 そして、おにぎりのように赤い玉を両手で隠す。

 すると、大きな斧が現れた。

「行くぞ、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! 」

 オブラは、大きな斧を両手に持って走り出す。

 そして、大きく斧を振り下ろした。

くろ豚犬ぶたいぬ紅蓮斧ぐれんふ! 」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」

 真っ赤に燃えたぎる斧は、タトーの服をぶった切った。

「うううん…………」

 起き上がると、軍服とブラウスと下着が剥がれ落ちて、パーカーだけの姿になっている。

「ははぁぁぁぁぁぁ……タトーさん、もう降参したら? 」

「うううん。パーカーは無事だから、まだ戦える! 」

「ううん…………」

 顔を赤くして恥ずかしそうな様子のナナレイ。

 しかし、ナナレイのことは気にせず、タトーはほぼ全裸の状態のままバトルを続ける。

「よく耐えきったなぁ。次は、パーカーを燃やしてやるよ! 」

「ふふん。モード『イヌイ』」

「ううん? 」

 タトーは、燃やされる前に魔法でパーカーのデザインを変えた。

 黒い犬耳をした猪のパーカーだ。

「デザインが変わっただけじゃねぇか! 今度こそ、燃やしてやる! うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……黒豚犬紅蓮斧くろぶたいぬぐれんふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ! 」

 オブラは、燃えたぎる斧を両手で持ってタトーに斬りかかる。

 すると、タトーはギュッとしゃがんだ。

「何!? 」

 そして、呪文を叫びながら勢いよくタックルをする。

焔獄戌えんごくいぬ転移亥突てんいいとつぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ! 」

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」

 腹を強打したオブラは、燃えたぎる斧とともにどこかへ消えて行った。

「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……バトル終了っと! 」

 すると、パチパチと手を叩く音が聞こえてくる。

「ううん? 」

「タトーさん。お見事。全裸同然の姿で戦えるなんて、まさに最強魔法少女! 」

「それ、皮肉で言ってる? 」

「さぁ、想像に任せる」

「ううん…………」

 タトーは、ナナレイの本心が気になった。

 しかし、考えすぎれば下山が遅れる。

「ううん…………じゃあ、山を下りよう! 」

「はい! 」

 その後、タトーとナナレイは朱雀の門をくぐった。


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